太陽フレアの問題がNHKなどのニュースにもなっているので、取り上げます。
発表元は、国立研究開発法人情報通信研究機構。
英名は National Institute of Information and Communications Technology で、略称は NICT です。
(information には s を付けず、communication には付けるものなのですね。)
2015年に法改正で頭に付くのが現在の「国立研究開発法人」となりましたが、それ以前は「独立行政法人」と付いていました。
現在も、独立行政法人通則法の適用される独立行政法人で、そのうちの国立研究開発法人ということです。
で、このNICTが宇宙天気予報を行っていて、自らのサイトで公表しているわけです。
宇宙天気予報については、次の記事をご覧ください。
宇宙天気予報、太陽フレアの被害想定 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
今回のNICTの発表文は次の通り。
大規模フレアに関する臨時情報 | 宇宙天気予報 (nict.go.jp)
概要部分を引用しますが、見やすいよう改行を入れます。
>日本時間5月8日(水)10時41分以降、10日(金)15時54分までに、太陽面中央付近に位置する黒点群13663および13664で大規模な太陽フレア6回を含む複数回の太陽フレアの発生を確認しました。
この現象に伴い、コロナガスが地球方向へ放出したことが複数回確認されました。
コロナガスは、日本時間の5月10日(金)の夜以降、順次到来することが予測されています。
この影響で、地球周辺の宇宙環境が数日間大きく乱れる可能性があります。
地球周辺の人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害などが生じる恐れがあり、宇宙システムの利用に注意が必要です。
尚、地上・航空の人体被ばくや、通常の携帯電話による通信・測位には影響はありません。
今後数日間は、この非常に活発な黒点群による同規模の太陽フレア及び関連現象の発生に注意が必要です。 <
さて、まず太陽フレアとは何かですが、
太陽フレアとは、太陽表面の黒点付近で生じる爆発現象のことです。
今回のフレアについては、発表元の上の画像をご覧ください。
左の可視光画像で確認できる黒点群の位置を、右の紫外線画像で見ると明るくなっているのが分かります。
太陽フレアでは、強い紫外線やX線、電波等が放射されるほか、コロナガスが放出されることもあります。
今回はコロナガスが放出されています。
コロナガス放出(Coronal Mass Ejection;CME)とは、太陽の上層大気であるコロナのガスが惑星間空間に放出される現象のこと。
5月9日19時54分に発生したコロナガス放出については、発表元の一番下の画像をご覧ください。
中心部の白丸が太陽の位置で、それを取り巻くようにコロナガスが放出されている様子が分かります。
(太陽が明るすぎるので、太陽とその周辺を隠しています。)
発表資料では、概要の次に観測した現象の解説があります。
項目名を列挙し、簡単な説明を付けます。
1.大規模太陽フレア(上で説明済)
発生したフレアのX線強度の最大値により、小規模なものから、A、B、C、M、Xの順にクラス分けされている。
今回、Xクラス以上のフレアが3日間で7回発生したことは、観測史上初めてとのこと。
2.デリンジャー現象
電離層に何らかの理由で異常が発生することにより起こる通信障害
>5月11日の10時から13時の時間帯は日本各地で強いデリンジャー現象が発生しており、短波帯の通信途絶が発生した可能性が高いと考えられます。 <
3.太陽コロナガス(上で説明済)
4.太陽高エネルギー粒子
太陽からの相対論的エネルギーに加速された陽子が到達する現象。
陽子は英語のカタカナ読みでプロトンともいう。
5.太陽風
これは発表資料をそのまま写します。ただし、改行を加えてあります。
>大規模太陽フレアに伴い放出された太陽コロナガスが、日本時間5月11日1時半頃に地球周辺に到来したことが観測されました。
太陽コロナガスの到来に伴い、太陽風の速度は770 km/s、磁場強度は72 nTへ急上昇し、磁場の南北成分は一時 -50 nT前後の非常に強い南向きの状態となりました。
8日以降、複数回発生したコロナガスが順次、地球周辺を通過する見込みです。 <
「nT」は磁束密度の単位で、「ナノテスラ」と読みます。
6.地磁気じょう乱
地磁気の乱れのことで、漢字で書くと擾乱です。
その変化の大きさを表すには、対数的に指数化したK指数というものを用います。
また、地磁気の変化の方向は、減少の方が大きいです。
次は、発表資料から。
>この期間の最大K指数は10段階中で上から2番目の「8」です。
なお、地磁気観測所(柿岡)で、K指数「8」が最後に観測されたのは2005年8月であり、約19年ぶりとなります。 <
7.電離圏嵐
電離圏電子密度が急激に増加あるいは減少する、数時間~数日間の短期的現象
心配されているのは磁気嵐のようなので、これだけNHKニュースウェブから引用します。
太陽フレアとは 詳しく解説 磁気嵐で通信衛星やGPSなどに影響のおそれ | NHK | 宇宙
>磁気嵐は日本でも観測されました。茨城県石岡市にある地磁気観測所が発表しました。
「磁気嵐」は11日午前2時5分から始まり、午前9時までの地磁気の変動幅は最大で517ナノテスラに達し、通常の1日(50ナノテスラ)の10倍を上回ったということです。
石岡市の観測所で500ナノテスラを超えたのは1991年3月以来で、変動幅としては、1924年に観測を始めて以降9番目の大きさだということです。
「磁気嵐」が起きると、通信などの障害が起きるおそれがありますが、影響の程度については現時点で不明だとしています。
地磁気観測所は「久しぶりに大きな変化となった。太陽の活動が来年にかけて活発化する見通しで、今後も磁気嵐の発生が増える可能性があるため注意深く監視したい」としています。
<
まあ、今のところ心配するような問題はなさそうです。
ただ、欧米の北方ではオーロラの観測が報じられており、日本でもこの機会に北海道でオーロラが見られることを期待したいですね。
(以下5/12追加)
続報があったので、NHKのサイトから追加引用しておきます。
太陽フレアの影響 オーロラが北海道の各地で観測 通信衛星やGPSなどに影響のおそれも | NHK | 宇宙
>さらに、11日午前10時半ごろ、これまでで最も規模の大きい新たな「太陽フレア」の発生が確認されました。
大規模な「太陽フレア」が72時間で7回発生したのは観測史上初めてだということです。
この「太陽フレア」によって、陽子などの電気を帯びた粒子が大量に放出されていて、地球の磁場が乱れる「磁気嵐」が発生し、日本でも北海道などで「オーロラ」とみられる現象が確認されているということです。
これまでのところ大規模な通信障害などは確認されていないということですが、今後、数日間は通信衛星などの人工衛星やGPSの位置情報、それに短波の無線通信などに影響が出るおそれがあるとしています。
情報通信研究機構宇宙環境研究室の津川卓也 室長は「予想していたよりも大きな磁気嵐が観測されているが人体に影響が出るほどではなく、通常の携帯電話の通信などには影響しないとみられる。一方で、高精度のGPSの利用や一部の無線通信などには影響が出るおそれがあるので、引き続き、数日は注意してほしい」と話しています。 <
★ 今日のロジバン
lo balji be la likoris. cu vindu mutce
ヒガンバナの球根は毒性が強い。
balji : 球根/球茎/鱗茎だ,x1は x2(植物種)の [生命・植物・部分]
be : ~の。後ろの項sumtiを前の内容語brivlaに接続する。縛位詞BE類
vindu : 毒だ/中毒性がある,x1は x2にとって。-vid- [生命・生理学・消化]
mutce : 凄い,x1は x2(性質)に関して x3(極性)に対して;x1はとてもx2だ。 -tce- [構造・比較] x3はプラス/マイナスなど。
辞書の文例の積み残しです。簡単すぎるので残してました。
主述語はtanru { cu vindu mutce } で、そのx1が { lo balji be la likoris. } です。
「リコリス・リコイル」というTVアニメが放送されたのは、もう一昨年のことですね。