原始星には近くのガス雲からも流入 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 ・原始星には「近所」のガス雲からも星の材料が流れ込む

 アストロアーツ4月23日付記事、元は国立天文台野辺山宇宙電波観測所です。

 原始星には「近所」のガス雲からも星の材料が流れ込む - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>ペルセウス座分子雲の電波観測から、原始星に外からガスが流れ込む「ストリーマー」の源がとらえられた。原始星には様々な組成のガスがたえず外部から流入するようだ。

 

 >恒星は星間分子雲の濃い部分(分子雲コア)が重力で収縮して誕生する。最近の観測では、原始星(誕生したての星)が生まれた分子雲コアの外からガスが追加で流れ込んでいる構造がいくつか見つかっていて、「ストリーマー」と呼ばれている。ストリーマーは私たちの太陽系が作られた時代にも存在した可能性があり、最終的にでき上がる星や惑星の化学組成に大きな影響を及ぼすと考えられる。生命を育む惑星系の条件などを理解する上でも重要だ。

 

 「ストリーマー」は streamer でしょう。

 Stream は「流れ、川」ですが、streamer は「流れるもの、吹き流し」などの意味があり、特に天文用語として「(北極光などの)光芒」という意味があるということですが、ここではまた別の意味です。

 

 >地球から約1000光年離れたペルセウス座分子雲には、分子雲コアから生まれたばかりの原始星(クラス0原始星候補天体)である「Per-emb-2」という天体がある。この天体にもストリーマーが見つかっているが、このストリーマーのガス自体がそもそもどこから来ているのかについては、よくわかっていなかった。

 

 ペルセウス座(Perseus;Per)はトレミーの48星座の一つで、秋の星座です。

 アルファ星とベータ星が2等星。

 変光星アルゴルと8月中旬のペルセウス座流星群で有名ですね。

 

 ペルセウス座は天の川が通っているので、約1000光年の距離に分子雲があっても不思議ではありません。

 

 「Per-emb-2」の emb は、embryo (胚、胎児)の略でしょうかね。

 

 >国立天文台科学研究部の谷口琴美さんたちの研究チームは、空の広い領域の分子ガスを観測できる野辺山45m望遠鏡のマルチビーム受信機「FOREST」と45GHz受信機「Z45」を使い、Per-emb-2のストリーマーの中に存在する炭素鎖分子(シアノアセチレン(HC3N)、シアノジアセチレン(HC5N)、二炭化硫黄(CCS)、エチニルラジカル(CCH))を観測した。

 

 谷口琴美さんについては、ユーチューブに5年前(2019年)のインタビューが載っています。

 谷口琴美さんインタビュー(2019/04/19) (youtube.com)

 なお、同姓同名で女子ラグビー選手がいるようなので、ご注意ください。

 

 ここで登場する化学物質の構造式を示しますが、最初のもの以外は私の推則が入っているので確実ではありません。

   シアノアセチレン  : H-C≡C-C≡N

   シアノジアセチレン : H-C≡C-C≡C-C≡N

   二炭化硫黄     : C ≡ C  違うかな?

                \ /

                 S

   エチニルラジカル  : H-C≡C-  

 最後のものは、イオンになりそうですがイオンではないようです。

 

 >観測の結果、Per-emb-2のストリーマーの周りに2つのガスのコア(塊)を見つけた。これらのガスの速度を調べたところ、ストリーマーの北に位置するコアがストリーマーに向かって流れてきていることがわかり、このコアがストリーマーのガスの源(リザーバー)であることを突き止めた。

 

 >さらに研究チームは、米国のグリーンバンク電波望遠鏡やスペインのIRAM 30m電波望遠鏡といった大型電波望遠鏡による観測データも組み合わせて、Per-emb-2のストリーマーとリザーバーに含まれるガスの温度や密度を導いた。その結果、流入ガスの源であるリザーバーの温度や密度は、星が生まれる前の「星なし分子雲コア」によく似ていることがわかった。

 

 グリーンバンク望遠鏡は、米国科学財団 (NSF) が所有し、米国北東部大学連合 (AUI) が運営する、口径 100mの電波望遠鏡。

 米国ウェストバージニア州グリーンバンクにある世界最大の可動式の電波望遠鏡で、開口面は100m×110m、2004枚のパネルで放物面を支えています。

 

 IRAM 30m電波望遠鏡は、ミリ波電波天文学研究所(IRAM)によって運営されている口径30mの電波望遠鏡。

 スペイン・アンダルシア州グラナダ県の標高2850m地点に設置されています。

 

 >また、観測で得られたCCSとHC3Nの比率を星間雲内の化学反応シミュレーションと比較したところ、このリザーバーとストリーマーは化学的に非常に若く、分子の組成から推定される年齢はどちらもほぼ同じだとわかった。つまり、リザーバーとして同定された分子雲コアが、確かにストリーマーのガスの出所とみてよいということになる。

 

 >加えて、リザーバーとストリーマーのガスの質量はそれぞれ約16太陽質量と約13太陽質量、Per-emb-2に向かってストリーマーのガスが流れ込む速度(質量降着率)は1年当たり約9×10-5太陽質量と見積もられた。

   16太陽質量   13太陽質量

   リザーバー → ストリーマー → 原始星

 

 >算出された値からこのストリーマーの寿命を計算すると、大もとのリザーバーのガスが全てPer-emb-2に流れ込むまで、約20万年はガスの流入が続くことになる。これは、4段階ある原始星の進化段階のうち、第2段階(クラスI原始星)が終わる時代までガスが流入し続けることを意味している。

 

 約20万年という数字の根拠となる計算ですが、単純に四則演算を行うと

   (16+13)/(9×10-5) ≒ 3×105

 と30万年となり、流入が加速する時期もあるとすると20万年程度ということでよいのかな。

 

 >この結果は、原始星が成長しつつある段階でも、分子雲コアの外から化学組成の違うガスが長期間にわたって流れ込み続け、化学的な特徴が変わり続ける可能性があることを示している。言い換えれば、惑星系の化学的環境は星の成長が止まるギリギリの時代まで変化し続けるということだ。地球に生命が生まれたのも、実は原始太陽系に向かって外部から様々な化学組成のガスが流れ込む中で、たまたま生命の誕生に適した条件のガスが流入した時代に惑星ができたというような、偶然の結果なのかもしれない。

 

 最後の部分が結論でしょう。

 「地球に生命が生まれたのも、実は原始太陽系に向かって外部から様々な化学組成のガスが流れ込む中で、たまたま生命の誕生に適した条件のガスが流入した時代に惑星ができたというような、偶然の結果なのかもしれない。」

 もしそうだとすると、宇宙に生命が存在する確率は従来の推定よりもだいぶ低くなりそうです。

 

 

 ★ 最近よく聞いている昔の歌をご紹介します。

 ザ・ピーナッツ ドミニク 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)

 元歌はベルギー生まれの「歌う修道女」(カトリックの尼さん)がフランス語で歌っています。(フランス語の芸名はベルギー語の本名とは全く違います。)世界的にヒットし、日本語版は何種類かあるようです。元は男性について歌っていますが、ザ・ピーナッツの歌詞はドミニカという盲目の女性に変えています。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス207

   .i .abu punji lo kruca xance lo tuple tai lo nu cusku lo se cilre kei gi’e co’a sitsku

  そしてアリスは、授業でするみたいに膝の上で手を組んで、暗唱をはじめました。

 punji : 置く/設置する,x1は x2を x3(所)に。-puj-, -pu’i-

 kruca : 交差する,x1は x2と x3(箇所)で;x1はx2を渡る。-kuc- [空間・相対位置]

 xance : 手だ,x1は x2(本体)の。-xan-, -xa’e- [生命・動物・身体部分]

 tuple : 脚だ,x1は x2(本体)の。股間から足首までの、腿と脛の部分。[生命・動物・身体部分]

 tai : ~に似た形をした。法制詞BAI類 <- tamsmi 似ている

 cusku : 表す/言う/表現する,x1(者)は x2(内容)を x3(聴衆)に x4(媒体)で。-cus-, -sku- [言語・メッセージ] 口言葉に限らない。

 cilre : 習う,x1は x2(命題)・x3(題目)を x4(情報源)から x5(方法)によって。-cli- [言語・認知] 「ctuca」と違い、教師が必ずしも含意されず、主体性が強調される

 sitsku : 引用で表現する,c1=s1は x2=s3を c3(聴衆)に c4(表現手段)を通じて s2(引用元)から。<- sit+sku, sit<- sitna 引用, sku<- cusku 表現

 

 gi’e で結ばれた複述構文で、全体のx1は .abu です。

 前半の主述語は punji で、そのx2が { lo kruca xance } 「組んだ手」、x3が { lo tuple } 「脚」であり、後ろから法制節 { tai lo nu … kei } が掛かっています。

 法制節内の主述語は cusku 、そのx2が { lo se cilre } 「(習う)命題」で、全体で「授業で習う命題を表現するのと同じように」の意となります。

 gi’e の後半の主述語は、{ co’a sitsku } です。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)