銀河系の折り重なる磁場を初測定 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 ・天の川銀河の折り重なる磁場を初めて測定

 アストロアーツ1月19日付記事、元は東京大学大学院総合文化研究科です。

 天の川銀河の折り重なる磁場を初めて測定 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 研究内容とは関係ないのですが、天文学の研究が「総合文化研究科」に属するのでしょうかね? 不思議です。

 

 概要>天の川銀河の渦巻腕に存在する星間磁場の3次元構造が初めて詳しく観測された。天の川銀河の磁場は、銀河面から大きく傾いた複数の磁場が重なって見えていることがわかった。

 

 >天の川銀河の内部には、地球の磁場の約10万分の1というごく弱い磁場(星間磁場)が存在する。星間ガスはこの星間磁場の磁力線に沿って運動する性質があるため、ガスが磁力線に沿って集まり、磁力線に「串刺し」になる形で星間雲が生まれて、そこから新たな星が誕生すると考えられている。

 

 >星間ガスが集まるときには、ガスが磁力線を“引っ張って”、磁力線自体の分布にも影響を与える。そのため、銀河の中で星間磁場の磁力線がどんな向きになっているかを理解することは、星の材料となる星間ガスが集まる過程やそのしくみを知る上で重要だ。

 

 ガスは磁力線に沿って集まるが、そのときにガスが磁力線を引っ張るというのですね。

 ガスと磁力線が相互作用しているわけです。

 

 >天の川銀河は棒渦巻銀河で、銀河円盤には何本かの「渦巻腕」がある。渦巻腕の部分にはガスや塵が多く、内部でさかんに新しい星が生まれるが、腕の中で星間磁場がどんな向きに分布しているのかはよくわかっていなかった。

 

 (棒)渦巻銀河は、複数の渦巻腕をもちます。

 銀河系には、中心から伸びたペルセウス腕、じょうぎ腕、ケンタウルス腕、いて腕という4つの渦巻腕があります。

 

 >東京大学の土井靖生さんたちの研究チームは、天の川銀河の中で、太陽系が属する「オリオン座腕」のすぐ内側にある「いて座腕」という渦巻腕に着目し、広島大学かなた望遠鏡の偏光観測装置「HONIR」を用いて、いて座腕の星々から出た光の「偏光」を観測した。偏光とは、光(電磁波)の振動が特定の方向に偏る現象だ。星から出た光には様々な向きのものが混ざっているが、途中で磁場を通り抜けると、磁場に沿った方向の偏光だけが強まる性質がある。そこで、偏光を観測すれば、星と地球の間にある磁場の様子を知ることができる。

 

 太陽系が属すオリオン腕は、いて腕とペルセウス腕に挟まれていますが、中心から伸びているわけではありません。

 

 「かなた望遠鏡」は、広島大学宇宙科学センターが運用する東広島天文台の 1.5m口径の望遠鏡。

 かつては、ハワイのすばる望遠鏡を製作するにあたって各種試験を行うための「赤外シミュレータ」として、国立天文台三鷹キャンパスに設置され、活用されていました。

 すばる望遠鏡完成後の2004年、広島大学に移管され、大規模な改造を経た上で、2006年に東広島天文台で運用再開。

 「かなた」の愛称はその後の公募によります。

 かなた望遠鏡は、高速で駆動できる性能を持つほか、可視光と近赤外線で同時に観測できる装置が常時利用可能であり、その特徴を活かしてガンマ線バーストのような短時間フラッシュ現象のほか、超新星爆発などの突発天体の観測に威力を発揮するとのこと。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。

 銀河系のイラストです(白い文字が渦巻腕の英語名称)。

 (太陽系は銀河系の内部にあるため、「イラストじゃなく実際の映像を示せよ」と苦情を申し立てても、「御代官様、ご無体な」と返されるだけです。)

 太陽系は「オリオン腕 (Orion Spur)」という腕に属します。

 黄色の破線が今回観測した「いて腕」で、地球から約5000光年の距離にあります。

 

 >ただし、星から出た光が途中でいくつもの星間雲を通り抜けて地球に届く場合、偏光観測だけでは、個々の星間雲がどのような向きの磁場を持つのかまではわからない。これまでの観測技術では、地球から見て奥行き方向の様々な距離にある星間磁場の情報が全て重なった、平均的な偏光しか測定できなかったからだ。

 >そこで土井さんたちは、天の川銀河にある星々の距離を精密に測定した位置天文衛星「ガイア」の距離データと、いて座腕の星々の偏光観測データとを組み合わせることで、光の経路の途中に存在する複数の星間雲の磁場を正確に取り出す手法を開発した。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の真ん中の画像をご覧ください。

 異なる距離にある星間雲の磁場の向きを区別する方法を示しています。

 星から出た光には様々な方向に振動する横波が混ざっています。

 途中で星間雲を通り抜けると、その星間雲の磁場に平行な振動だけが強まるので、複数の星間雲(磁場の層)を通るたびに偏光の様子は変わります。

 星の偏光とその星までの距離の情報を組み合わせることで、一つ一つの星間雲の磁場の向きを区別することができます。

 

 >その結果、これまでは天の川銀河の円盤に沿ってほぼ一様に分布すると考えられていた渦巻腕の磁場が、実は距離ごとに大きく傾いたいくつもの磁場の重なりになっていることが明らかになった。しかも、重なって見えているそれぞれの距離で、磁場は乱れが少なく非常に滑らかなものだった。

 

 これが新発見です。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。

 2つありますが、上の図から。

 左は、今回観測した星々の偏光が示す星間磁場の向きを示しています。

 これを見るとバラバラの向きに見えますが、それは見かけだけ。

 右は、左図の結果を各星の距離ごとに分解した図です。

 大きく4つの異なる距離にある磁場の分布を取り出すことに成功したことが分かります。

 画像クリックで表示拡大します。

 

 次の図は、今回観測された星間磁場の三次元分布を表す立体グラフです。

 こちらはクリックしても拡大しません。残念!

 

 >過去の観測では、天の川銀河以外の様々な渦巻銀河でも、渦巻腕の内部でほぼ等間隔に星形成が起こっている現象が見つかっている。こうした現象は銀河の磁場と何らかの関係があると考えられるが、それらの銀河に具体的にどんな磁場があるのかが不明なために詳しくはわかっていない。研究チームでは、今後は天の川銀河全体にわたって渦巻腕の磁場構造を明らかにして、活発な星形成を引き起こすガスがどう集積し、どんな歴史を経てきたのかを観測的に明らかにしたいと考えている。

 

 われわれにとって一番身近な銀河系内部についても、まだまだ分からないことは多いのですね。

 銀河内の星形成において磁場がどのような役割を果たしてきたのか、解明されることを期待します。

 

 

 ★ 今日は冷たい雨が降って、正午の気温は5℃台という冬の寒さの日でした。暑さ寒さも彼岸までと言いますが、彼岸は過ぎたのに。まあ、桜の開花はもう少し先で良いと思います。

 またまとまった記事を載せることを考えています。「論理」も素人向けに書けることはなくなったので、今度はチューリングマシンの紹介をしたいと思って、少しずつ書いているのですが、なかなか先に進みません。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス176

   … ja’e lo nu .abu se sruri lo barda lalxu noi …

  (涙を何リットルも流したので、) アリスを囲むように大きな池ができてしまいました。

 ja’e : ~を結果として/となって。法制詞BAI類 <-jalge 結果

 sruri : 包囲する/取り囲む,x1は x2を x3(方向/次元/面)に関して。-rur-, -sru-

 lalxu : 湖/池/水たまりだ,x1は x2(所)の。[自然・地球・水圏]

 

 ja’e で始まる法制節ですが、まだ長いので noi で始まる関係節の前で切ります。

 主述語は { se sruri } で、sruri のx2(取り囲まれるもの)が .abu 「アリス」、x1(取り囲むもの)が { barda lalxu } 「大きな池」です。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)