最遠の渦巻銀河の円盤に伝わる震動を検出 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 アストロアーツ1月16日付記事、元はアルマです。

 最遠の渦巻銀河の円盤に伝わる震動を検出 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>初期宇宙に存在する渦巻銀河内のガスの動きをアルマ望遠鏡で観測したところ、円盤部に銀震が作られていることが明らかになった。外からのガス流入や他の銀河との衝突で生じたとみられ、宇宙初期の銀河成長を理解する手がかりとなる成果だ。

 

 >宇宙初期の銀河は現在の銀河と比べて星形成が非常に活発だ。おとめ座の方向に位置する観測史上最古の渦巻銀河「BRI 1335-0417」の場合、質量は天の川銀河と同程度だが、星形成速度は数百倍にも達する。こうした高い星形成率は、星の材料であるガスが盛んに銀河に供給されることにより実現されているとみられ、これを調べるためには銀河内のガスの動きや分布を観測研究することが重要となる。

 

 観測史上最古の渦巻銀河の質量が銀河系と同程度というのは、驚きです。

 1/100くらいかと思っていました。

 ただ、この場合の質量が暗黒物質込みなのか抜きなのかで、全く違ってきます。

 

 宇宙で水素が取り得るあり方には a.水素分子、b.水素原子、c.電離水素(陽子と電子のプラズマ) という3種類があります。

 「星の材料であるガス」とは、水素分子雲のことです。

 

 >オーストラリア国立大学の津久井崇史さんたちの研究チームはアルマ望遠鏡を用いてBRI 1335-0417を観測し、近傍の銀河と同程度の詳細さで、銀河内のおよそ70の異なる場所におけるガスの運動を調べた。

 

 初期宇宙の銀河について「近傍の銀河と同程度の詳細さで、銀河内のおよそ70の異なる場所におけるガスの運動を調べ」ることが可能なのですね。

 これも驚きです。

 

 >津久井さんたちはガス運動の速度データから銀河円盤の大局的な回転運動を差し引くことにより、細かいスケールの微弱な運動を分析した。その結果、細かいスケールでのガスの速度が渦巻状のパターンを示し、ガスの分布が示す渦巻状のパターンと一致した。この特徴は、数値シミュレーションで調べられた銀河円盤内を地震のように垂直に運動する振動波である「銀震」と一致するもので、ガスや他の小さな銀河が円盤に激しく衝突していることを示唆している。銀震のように速度差が小さく空間スケールが小さい運動の測定は難しく、遠方銀河で測定されたのはこれが初めてのことだ。

 

 地球の震動が地震なのに対して、太陽の震動を「日震」と呼ぶのは知っていましたが、銀河の震動は「銀震」というのですね。

 勉強になります。

 

 「他の小さな銀河」はさすがに直接観測はできないので、状況証拠からその存在を推測するわけです。

 

 「遠方銀河で測定されたのはこれが初めて」なのに、それが初期宇宙の銀河というのはやはり凄いと思います。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の画像をご覧ください。

 左は、BRI 1335-0417のガス分布です。

 中は、円盤に伝わる地震波による小さいスケールのガス運動です。

 青い領域は私たちの方向に近づく運動、赤い領域は遠ざかる運動を示します。

 黒線は渦巻状のパターンを示します。

 右は、銀震を再現した数値シミュレーションの結果です。

 似た分布と運動が見られる

 と書いてありますが、渦巻きの向きが逆になっていますね。

 

 >また、ガス分布を調べたところ、円盤に棒状の構造が存在することも明らかになった。棒状構造は天の川銀河など一部の銀河に見られるもので、銀河内のガスを撹乱し中心へと運ぶ役割を果たしている。今回の発見は、これまでに知られている中で最も遠い棒状構造となる。

 

 立派な銀河は、渦巻銀河と楕円銀河に大別されますが、うち渦巻銀河はさらに狭義の渦巻銀河と棒渦巻銀河に2分され、われらが銀河系は後者とされます。

 (ただ、われわれは銀河系の内側にいるので、外側から棒状構造を確認することはできません。)

 渦巻銀河に棒状構造が存在するということは、銀河系と同じ棒渦巻銀河なのでしょうかね。

 

 >宇宙初期における渦巻構造は珍しく、その正確な形成シナリオは未だにわかっていない。今回の観測で明らかにされた、最遠方の渦巻銀河における渦巻構造と円盤内の銀震との一致は、外部からのガスの流入や他の小さな銀河との衝突によって振動運動が生じていることや、流入するガスや他の銀河のガスの降着によって銀河の渦巻構造が作り出されたことを強く示唆するものだ。

 

 以前は、明らかに2つの銀河が衝突中であるような例を除けば、渦巻銀河は同じ構造を維持し、同じ運動を繰り返すものと考えられていましたが、現在では外からのガスの流入・降着によって渦巻構造が動的に維持されているとされます。

 この点において初期宇宙も同様だったことが分かったということです。

 

 >「天の川銀河でも10億年程度昔に、いて座矮小銀河との相互作用で銀震が引き起こされたことが、近年盛んに議論されています。今回の成果は、120億光年彼方にある大昔の銀河でも同様の現象が引き起こされていたことを発見したものです。おそらく天の川銀河もこのような銀震を何度も繰り返し経験してきたのでしょう」(鹿児島大学天の川銀河研究センター 馬場淳一さん)。

 

 銀河系の周囲には多数の矮小銀河があって、それらは銀河系と重力的に相互作用しながら次第に吸収され一体化していき、それにより銀河系は進化してきた、というシナリオが有力とされます。

 そうした矮小銀河のなかでも「いて座矮小銀河」は特に有名です。

 

 

 今回の研究は、観測史上最古の渦巻銀河について近傍銀河と同様の詳細な研究を行い、渦巻銀河のあり方が初期宇宙と現在とで基本的に変わっていないことを示した、素晴らしい研究だと思います。

 

 

 ★ 昨日3月20日(水)が春分の日で、彼岸の中日でしたが、荒れた天気でしたね。そのため、私は今日お墓参りに行ってきました。都会の墓地ですが、半年前と比べ隣接する住宅との間を仕切る壁が壊されて金網の柵となったため、住宅が丸見えとなり、変化を感じました。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス175

   .i ku’i .abu za’o klaku lo litce be li so’i ja’e …

  でもアリスは、それでもかまわず泣き続けて涙を何リットルも流したので、・・・

 za’o : 延続。自然な終了時点からさらに継続して。相制詞ZAhO類。-za’o-

 klaku : 泣く,x1はx2(涙)・x3(理由)で。[生命・感情]

 litce : リットルだ,x1は x2(数)・x3(基準)の。-lic-

 so’i : たくさんの。不定数詞PA4類。-sor-, -so’i-

 

 長い文なので、ja’e で始まる法制節の前で切ります。

 { .i ku’i } は逆説の接続詞「しかし、でも」などと訳せばいいと思います。

 主述語は { za’o klaku } で、そのx1は .abu 、x2は { lo litce be li so’i } です。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)