旧暦、二十四節気、閏月 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 この記事ではいわゆる「旧暦」についてご紹介します。

 といっても、私は暦関係については長年次のサイトに依拠しているので、大部分はそれとwikiの記事を私なりに要約したような内容になります。

 こよみのページ (koyomi8.com)

 同ページの著者かわうそさんに感謝申し上げます。

 

 

 さて、旧暦というと太陰暦と思っている人もいるかもしれません。

 太陽暦が太陽の動きに従う暦なのに対し、太陰暦は月の満ち欠けに従う暦です。

 そういう意味では、いわゆる旧暦は太陽の動きと月の満ち欠けの両方を組み合わせているため、純粋な太陰暦ではなく「太陰太陽暦」と呼ばれます。

 

 太陽の動きを全く考慮しない純粋な太陰暦なんてあるの?と疑問に思った方、実はあるのですよ。

 イスラム世界で使われているイスラム暦 Islamic calendar, Muslim calendar, التقويم الإسلامي あるいはヒジュラ暦 Hijri calendar, التقويم الهجري という暦は、純粋な太陰暦です。

 1年は月の満ち欠けに基づく12か月であるため約354日であり、太陽暦とは年に約11日ずつズレていきます。

 したがって、各月と季節の結びつきはありません。

 1月が冬、7月が夏と決まっているわけではないのです。

 (もちろん、太陽暦でも北半球と南半球では季節が逆ですし、赤道付近は気候が年間あまり変わらないでしょうが、イスラム暦では各月は季節に対してどんどんズレていくわけです。)

 

 農業を主な産業とする前近代社会では、イスラム暦のような太陽の動きを考慮に入れない暦は不便です。

 年は、太陽の動きで決めることが望ましいのです。

 一方、月の設定は、夜空を見上げれば誰でもその日が月のうちの何日かを知ることができる太陰暦が便利です。

 (明治までの日本人は、毎日の月の満ち欠けや月の出入りに非常に敏感でした。)

 そこで、太陽の動きと月の動きの両方を考慮に入れた暦が生まれましたのでしょう。

 これが太陰太陽暦であり、いわゆる旧暦はその一つです。

 (歴史的には中国発祥のものを導入したのですが、省略します。)

 

 月の満ち欠けのことを現代の天文学では「平均朔望月」といいますが、それは約29.530 6日です。

 (朔(さく)は新月、望(ぼう)は満月の意味です。)

 したがって、太陰太陽暦やイスラム暦でのひと月は30日か29日のいずれかとなり、30日の場合を「大の月」、29日の場合を「小の月」といいます。

 ちなみに、旧暦では28日の月や31日の月はありません。

 

 しかし、太陽の動きを基にした1年は約365.242日なのに対し、月の満ち欠け(平均朔望月=約29.530 6日)による12か月は約354.367日であり、約11日ほど短いのです。

 この点は、ひと月を月の満ち欠けに合わせる暦では必ず生じる問題です。

 そこで、旧暦(太陰太陽暦)では太陰暦の12か月に約3年に一度1か月を加えて13か月とし、季節とのずれをなるべく少なくする調整を行います。

 この挿入された月を「閏月(うるうづき)」といいます。

 

 旧暦において各月と閏月を設定するために使われるのが二十四節気です。

 そこでいったん二十四節気についての解説を行い、その後で太陰太陽暦に戻ります。

 

 二十四節気(にじゅうしせっき)とは、太陽の動きに基づいて1年を24の期間に「等分」する日付です。

 (二十四節気は24の期間を意味する場合とその期間が始まる日を意味する場合とがありますが、ここでの説明では後者の意味で使います。)

 (「等分」する方法が二通りあるので、「」を付けています。)

 約365日に24の日付を設けるので、約15日に一度設定されます。

 

 二十四節気の名称と大体の日付は、次の表のとおりです。

   二十四節気の名称と大体の日付

  月   一月 二月 三月 四月 五月 六月 七月 八月 九月 十月 十一月 十二月

 節気 立春 啓蟄 清明 立夏 芒種 小暑 立秋 白露 寒露 立冬 大雪 小寒

 日付 2/4  3/6  4/5  5/6  6/6  7/7  8/8  9/8 10/8 11/7  12/7  1/5

 中気 雨水 春分 穀雨 小満 夏至 大暑 処暑 秋分 霜降 小雪 冬至 大寒

 日付  2/19  3/21  4/20  5/21  6/21  7/23  8/23  9/23  10/23 11/22 12/22 1/20

 

 啓蟄は「けいちつ」、芒種は「ぼうしゅ」と読みます。

 大暑は「たいしょ」、大雪は「たいせつ」ですが、大寒は「だいかん」です。

 後は、普通に音読みして大丈夫だと思います。

 

 二十四節気の個々の名称についても興味深い由来があるのですが、今回はその点は触れません。

 (このブログでは清明の漢詩も掲載していますが、今回の記事ではその種の文化的興味は無視します。

 清明の漢詩など | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp) )

 

 それでは最も重要な二十四節気の日付の決め方です。

 現在旧暦と呼ばれているのは天保暦(てんぽうれき)であり、そこでの二十四節気の決め方は次の「定気法」と呼ばれる方法です。

 天球上で太陽が通る道を黄道(こうどう)といい、黄道が天の赤道を南から北へ横切る点を春分点といいます。

 黄道を、春分点を基点とする15°ずつの24分点に分け、太陽がこの点を通過するときを二十四節気とします。

 二十四節気のうち、太陽黄経(春分点から測った角度)が30の倍数であるものを中気、それに15°を足したものを節気とします。

 

 この定気法で計算するためには、天文学がある程度進んでいる必要があります。

 定気法以前に使われていたのが、恒気法でした。

 「恒気法」は、一年の日数を24等分(15.22日)して二十四節気とするものです。

 定気法とは、最大で2日程度のズレが生じるようです。

 

 旧暦の月の決め方は、二十四節気のうち○月の中気が含まれるのを○月とします。

 通常は、一月の次は二月、二月の次は三月、というふうに毎月連続していきます。

 しかし、約3年に一度、中気が含まれない月が生じます。

 これを閏月(うるうづき)と呼び、閏月の含まれる年は13か月となります。

 

 具体例を見ることにしましょう。

 今は2024年2月ですが、最も近い閏月は太陽暦の2025年7月にやって来ます。

 その前後の暦を示します。

 

   2025年の閏月前後の暦

  太陽暦    旧暦     二十四節気 

 7月1日    6月7日

 7月22日  6月28日    大暑(六月中)

 7月24日  6月30日

 7月25日  閏6月1日

 8月1日    閏6月8日

 8月7日    閏6月14日   立秋(七月節)

 8月22日  閏6月29日

 8月23日  7月1日    処暑(七月中)

 

 大暑(六月中)が含まれるのが六月、処暑(七月中)が含まれるのが七月となりますが、その間にどちらも含まれない月が入ります。

 これを閏月とするわけですが、その前の月の月名に閏を付けて呼びます。

 この場合には、六月と七月に挟まるので、閏六月となります。

 

 二十四節気のうち中気は旧暦の月決めに使えるとして、節気の方は月と関係ないのかと言えば、私の理解では前の月と新しい月との境目(節)という意味合いがあろうかと思います。

 ただし、節気の日付自体がどちらの月に含まれるかはほぼ半々です。

 

 たとえば、立春は正月節ですが、これが新年(正月)に含まれるか前年(十二月)に含まれるかはどちらも半々程度の割合となります。

 

 なお、上の立春(正月節)の説明からも分かる通り、現在用いられている太陽暦と旧暦との間には、閏月が含まれなくとも、およそひと月程度のズレが存在します。

 今では郵便制度とともに廃れつつありますが、年賀状の「新春のお慶びを申し上げます」は旧暦の正月に相応しい常套句ですね。

 

 

 ★ 昨日2月18日は、二十四節気の雨水(うすい)でした。雪解けの目安ですが、実際の季節の進行は直線的ではなく、行ったり来たりを繰り返すようです。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス161

   .i «lu

             la selsia ke pritu jamfu be la .alis.

  アリスの右足閣下へ

 la : ~と名付けられたもの。冠詞(渾名系)LA類

 selsi’a : 尊敬すべき,s2は x1にとって。<- se+si’a, si’a<- sinma

 sinma : 尊重/尊敬する,x1は x2を;x2は尊い。-si’a-

 ke : tanru グループ開始。境界詞KE類。-kem-

 pritu : 右方/右側だ,x1は x2に対して x3(照合枠)における -> 法制詞 ri’u

 

 アリスが自分の右足宛に出す手紙の表書きの最初の部分です。

 冠詞 la を最初に付けて、固有名詞風にしています。

 selsi’a は敬称として付けていますね。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)