銀河が作る巨大な泡「ホオレイラナ」 | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 ・初期宇宙のさざ波か、銀河が作る巨大な泡「ホオレイラナ」

 アストロアーツ9月11日付記事、元はハワイ大学です。

 初期宇宙のさざ波か、銀河が作る巨大な泡「ホオレイラナ」 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>宇宙の銀河地図を作成するプロジェクトで、直径10億光年という超巨大なシェル構造が見つかった。初期宇宙に存在した「バリオン音響振動」の痕跡かもしれない。

 

 >ビッグバンから数分後の宇宙では、物質は原子核と電子がばらばらになったプラズマの状態で、光子ともさかんに相互作用をしていた。このようなプラズマでは、物質同士が集まろうとする重力と、反発して広がろうとする圧力とが合わさり、プラズマの密度ゆらぎが「音波」となってプラズマの中を伝わっていた。これを「バリオン音響振動(BAO)」と呼んでいる。

 

 バリオン音響振動(BAO)とは、baryon acoustic oscillation の訳です。

 アコースティックというと、馴染みのある方もいらっしゃるかもしれません(^_^

 

 >その後、ビッグバンから約38万年後に原子核と電子が結合して中性原子ができると、それ以降の物質は重力で集まる一方となり、BAOは消えた。BAOの「波紋」は、最大半径としては38万年間にプラズマの音波が進む距離まで広がっていたはずで、現在の宇宙では半径約5億光年に対応する。実はこのBAOの痕跡は現在の宇宙に残されており、たくさんの銀河同士の間隔を統計的に調べると、半径約5億光年に対応する銀河のペアがわずかに多いことが知られている。

 

 「重力で集まる一方」とありますが、宇宙は拡大を続けているので、ややミスリーディングかと。

 

 宇宙誕生後38万年後に音波で相互作用できた領域が、現在の宇宙では半径5億光年まで広がっているということですね。

 その証拠も銀河ペアの形で残っていると。

 

 >米・ハワイ大学のR. Brent Tullyさんたちの研究チームは、約5万6000個の銀河までの距離を高い精度で決定したカタログ「Cosmicflows-4」を2022年に公開した。このカタログを編纂する過程で、天の川銀河から約8億2000万光年の距離にある「うしかい座超銀河団」付近を中心として、ちょうど半径5億光年ほどの球殻(シェル)状に銀河が多く分布していることに気づいた。

 

 Tullyさんというと、タリーズコーヒーというチェーン店を思い出します。

 

 うしかい座超銀河団そのものについて情報が得られませんでしたが、それに属する銀河団の写真は見つかりました。

 Abell 1795 (stellarscenes.net)

 

 ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。

 2つあって、上は銀河カタログ「Cosmicflows-4」の銀河のうち、後退速度が19000~26000km/sのものをプロットした銀河の3次元地図です。

 天の川銀河はこの図の中心(原点)から手前方向に離れた位置にあります。

 「超銀河座標系」という座標系のX-Z平面に投影されています。

 下は、上と同じ図に、今回見つかったシェル構造「ホオレイラナ」の位置とサイズを赤色の円で示したもの。

 確かにシェル状に見えますね。

 画像クリックで表示拡大します。

 

 >Tullyさんたちは、この特徴的な分布の中心位置を求め、中心からどの方向についても、約5億光年の距離で銀河の個数密度が高くなっている、つまりこの構造が3次元のシェル状であることを確認した。

 

 半径5億光年のシェルですね。

 

 >研究チームは、この巨大な泡のような構造を「ホオレイラナ(Hoʻoleilana)」と命名した。この名前はハワイの創世神話を歌う古謡「Kumulipo」の、「深い闇の中から目覚めのささやき声が聞こえる」という一節から採ったという。研究チームでは、ホオレイラナは人類が初めて目にするBAOの直接の痕跡ではないかと考えている。

 

 名前はハワイの創世神話から採ったと。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の真ん中の画像をご覧ください。

 銀河カタログ「Cosmicflows-4」の銀河(黒色の点)を3次元プロットした図です。

 天の川に重なる方向の銀河は観測できないため、2つの円錐を合わせた形の分布になり、円錐の頂点に私たちの天の川銀河があります。

 赤色の点がシェル構造「ホオレイラナ」の位置に対応する銀河です。

 画像クリックで表示拡大します。

 

 >「私たちはこのような構造を探していたわけではありませんでした。ホオレイラナは非常に巨大で、私たちが解析していた空の範囲を超えています。銀河の密度の高い部分としては予想よりも密集していて、直径10億光年というのも理論的な予測を超えています。もしこの構造の形成や進化が理論通りだとすると、このBAOは予想よりも近い距離にあり、宇宙の膨張率が予想より高いことを示唆しています」(Tullyさん)。

 

 このような構造を探していたわけではなく、偶然見つかったということです。

 

 >Tullyさんたちは2014年に、私たちの天の川銀河を含む巨大な構造「ラニアケア超銀河団」を発見している。今回見つかったホオレイラナはラニアケア超銀河団に隣接していて、サイズはさらに大きい。

 

 ラニアケア超銀河団の名前は、次の記事に出てきます。

 キングギドラ超銀河団 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 『図解 宇宙のかたち』1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 >ホオレイラナのシェル構造は、銀河のほとんどない「ボイド」や、それをとり囲む「フィラメント」「ウォール」といった構造の典型的な大きさよりもはるかに大きい。銀河のサーベイ観測「CfAサーベイ」で1989年に発見された、有名な「CfAグレートウォール」や、「スローン・デジタルスカイサーベイ(SDSS)」で見つかった「スローン・グレートウォール」、ヘルクレス座超銀河団など、これまでに見つかっている様々な大規模構造の多くがすっぽり含まれるような、超巨大な構造だ。

 

 これまでうしかい座の方角だと「うしかい座ボイド」が認められていますが、ただその直径は2億5000万光年なので、直径が1/4、体積だと1/64です。

 ホオレイラナの方が「はるかに大きい」ことは間違いありません。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。

 ホオレイラナ周辺の大規模構造を描いた模式図です。

 黒色で描かれたシェル構造がホオレイラナで、直径は約10億光年。

 中心付近にうしかい座超銀河団(赤)があります。

 ホオレイラナの内部には、CfAグレートウォールやスローン・グレートウォール、ヘルクレス座超銀河団などが含まれます。

 「Milky Way」と書かれた位置に天の川銀河があり、ホオレイラナに隣接する位置にラニアケア超銀河団(緑)が存在します。

 画像クリックで表示拡大するので、英語の名称を確認するには拡大して見てください。

 

 これからは世界地図を見て地理を学ぶのと同じ感覚で、「ホオレイラナ周辺の大規模構造を描いた模式図」を学ぶ必要があるのかもしれませんね(^_^

 

 

 ★ 急に涼しくなってきましたね。

 藤井聡太竜王に伊藤匠七段が挑戦する第36期竜王戦の第1局が今日から東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で始まりました。能楽堂という舞台、両対局者の和服姿、所作などを見ていると、将棋の魅力の一つに様式美があると、改めて感じます。

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス102

   .i «lu na go’i .i pa mai mi catlu —sei .abu cusku— gi’e facki lo du’u xu kau se tcita zo vindu li’u»

  「いいえ、まずちゃんと見てみようっと。『毒』とか書いてあるかないか、確かめるんだ」とアリス。

 mai : 発話順序。~番目に。MAI類

 catlu : 見る/見つめる/見入る,x1は x2を。-cta- 「見極める」も

 tcita : 札/タグだ,x1は x2の x3(情報)を表す

 vindu : 毒だ/中毒性がある,x1は x2にとって。-vid-

 zo : ロジバン単語引用。ロジバンの単語の前に付いてそれを文字列として扱う。ZO類

 facki : 発見する,x1は x2(命題)を x3(題目)について ;x1はx3(物)を見つける/探し当てる。-fak-, -fa’i-

 

 全体は引用符 lu と li’u で括られており、それがアリスの発言であることを示すのが、挿入{ sei .abu cusku } 「とアリスは言う」です。

 { na go’i } は直前の「私を飲んでね」を否定しています。

 次の文は真ん中に gi’e が入った複述構文で、共通のx1は mi 、前半の主述語が catlu 、後半が facki です。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)