・「反物質」の重力落下を初観測
日本人2人を含む国際研究G NHKニュースウェブ9月28日付記事です。
「反物質」の重力落下を初観測 日本人2人を含む国際研究G | NHK
今日現在、冒頭に1分7秒のニュース動画があるので、それを観るだけでも十分です。
概要>物質と対をなし、重力に反発するとも考えられてきた「反物質」が地球の重力に引き寄せられ落下することを初めて大規模な実験で観測したと国際的な研究グループが発表しました。今回の研究は、反物質が重力に反発するかどうかをめぐる長年の疑問に決着をつける成果だと注目されます。
>宇宙にある物質は陽子や、電子といった素粒子からなりますが、素粒子と質量などは同じでも電気的に反対の符号を持つ反粒子からなる「反物質」が物質と対をなすかたちで存在することが知られています。
物質を構成する素粒子には対応する反粒子が存在して、両者が結合すると対消滅して、光子となります。
反粒子の名称は、陽子の反粒子が反陽子というように、通常の素粒子名の頭に「反」を付けます。
ただ、電子の反粒子だけは昔から陽電子と呼ぶ慣例です。
>日本人研究者2人を含むカナダを中心とした国際研究グループはスイスのジュネーブ郊外にある加速器と呼ばれる巨大な実験装置などを使って水素の反物質、「反水素」を人工的に作り出す手法を開発しました。
>そして作り出したおよそ100個の反水素を床から垂直方向に伸びた直径4センチ、長さ25センチあまりの筒状の装置に閉じ込めて、上下どちら側で多く検出されるか観測を繰り返したところ、下側から反水素が多く検出されたということです。
「およそ100個の反水素」とありますが、これだけだと反水素原子か反水素分子のことか分かりません。
反水素原子は、反陽子と陽電子が1個ずつ結合してできます。
それがさらに2個結合してできるのが、反水素分子です。
>このことにより、「反物質」は物質と同じように地球の重力に引き寄せられ、落下することが初めて明らかになったということです。
>研究グループに参加したカナダの国立研究所の藤原真琴上席研究員は、「反物質が重力で上にいくか下にいくかという疑問に関しては今回で完全に決着がついたとわれわれは考えています」と話していました。
反物質は重力に引かれるのかそれとも反発するのか、という点について決着をつけたということです。
まあこれまでも重力に引かれるはず、というのが理論的予測でしたが、それを実験的に証明したというのはまた別の業績です。
>この研究は、国際的な科学雑誌、「ネイチャー」に日本時間の28日発表されました。
ここからは「反物質」の解説です。
>「反物質」とは
>宇宙にある物質は陽子や、電子といった素粒子で構成されていますが、素粒子とは質量などが同じでも電気的に反対の符号を持つ反陽子などの反粒子も存在し、反粒子が集まった「反物質」が存在することも確認されています。
>「反物質」はその特徴から“物質の双子”とも言われ、電子に対しては陽電子といわれる反粒子が存在し、陽電子と電子が衝突すると「対消滅」と呼ばれる現象がおきて消えて無くなり、エネルギーとなります。
エネルギーとなるのはその通りですが、エネルギーにもいろいろあるわけで、通常は先に書いたように光子が誕生します。
>ビッグバンによって誕生した直後の宇宙には物質と「反物質」のどちらも同じだけ存在しましたが、「反物質」は「対消滅」が起きて消え、物質だけが残ったと考えられていて、なぜ宇宙では物質が優勢になったのかは大きな謎となっています。
この点は、素粒子論の課題の一つです。
>一方、非常に高いエネルギーの光が物質と衝突した際には素粒子と反粒子が生じる「対生成」という現象も知られ、人工的に「反物質」を作り出してその正体に迫る研究が行われています。
>ただ、「反物質」を作り出しても「対消滅」によってすぐに消えてしまうため観測が難しく、これまで重力の影響をどう受けるのかなど詳しいことは分かっていませんでした。
>科学者のなかには「反物質」は重力に反発して上昇すると考える人もいて、「反物質」と重力の関係は長年にわたる物理学の疑問となっていて、直接的な観測によって確かめられることが待たれていました。
>今回、「反物質」が地球の重力に引き寄せられ落下することを初めて大規模な実験で観測した研究グループは、人工的に作り出した水素の「反物質」である「反水素」を磁気を使った筒状の装置の中に閉じ込めることで、長時間にわたって消滅させずに重力の影響を受けて「反水素」がどう動くのかを観測することに成功したということです。
ここからは、この研究に携わった日本人研究者の紹介です。
>2人の日本人研究者が貢献
>「反物質」が物質と同じように地球の重力で落下することを実験で確かめた国際研究グループにはカナダやイギリスなどが参加していて、このうちカナダのチームに所属する2人の日本人研究者は、今回の成果に大きく関わっています。
>このうち、カナダのチームの代表を務める、バンクーバーにある国立の研究所、TRIUMFに所属する藤原真琴上席研究員は、今回の実験で「反物質」の数を調べた検出器を開発しました。
>藤原さんは「SFの世界では反物質が重力で浮くかもしれないと言われていて、反物質にかかる重力の影響を測るのはこの分野の夢だったので今回はじめて反物質を落とすことによって観測できたことに非常に興奮しています。反物質が重力で上に行くか下にいくかという疑問に関しては今回で完全に決着がついたとわれわれは考えています」と話していました。
>また、同じくバンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学の百瀬孝昌教授は「反物質」の動きをレーザーを使って制御する手法を開発していて、研究グループでは今後、より高い精度で重力を測定し、「反物質」にかかる重力と物質にかかる重力との間に違いがないか、明らかにしようとしています。
★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス100
.i sruri lo botpi cnebo fa lo pelji tcita noi lo valsi po’u «lu KO MI PINXE li’u» cu melbi prina ke’a se pi’o lo barda lerfu
そしてビンの首のところには紙のふだが巻かれていて、そこに「私を飲んでね」という言葉が、大きな字できれいに印刷されていました。
sruri : 包囲する/取り囲む,x1は x2を x3(方向/次元/面)に関して。-rur-, -sru-
cnebo : 首だ,x1は x2(本体)の。-neb-, -ne’o-
pelji : 紙だ,x1は x2(資源)の。-ple-
tcita : 札/タグだ,x1は x2の x3(情報)を表す
valsi : 言葉/語彙だ,x1は x2(意味/効力)を有する x3 (言語)の
po’u : 項同一関係(句・限定的)。関係詞GOI類。
pinxe : 飲む,x1は x2(液体)を x3(容器/起源)から。-pix-
prina : 印刷物/プリントだ,x1は x2(媒体)・x3(装置)による。-pri-
ke’a : 関係代項詞。体言に関係詞で節をつなげる際に、本体の体言と節の中の特定の項を同一にする。KOhA7類
sepi’o : ~を使って。法制詞BAI*類 <- pilno 使う x2
lerfu : 字(文字/数字)だ,x1は x2(文字体系)において x3を表す。-ler-, -le’u-
全体の主述語は sruri 「包囲する」で、そのx2が { lo botpi cnebo } 「ビンの首」、x1は項番明示 fa により後ろに回された { lo pelji tcita } 「紙の札」です。
noi 以降の関係節は、{ lo pelji tcita } 「紙の札」に非制限的に掛かっていますが、ke’a で受けています。
関係節内の主述語は { cu melbi prina } 「きれいに印刷する」で、そのx1が { lo valsi } 以降、x2(媒体)が ke’a です。
{ ko mi pinxe } は「(あなたは)私を飲め」という命令文です。
出典は、
lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)