4価切頂双3角錐系列のニアミス立体 | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 最近、多面体関連で ”Polytope Wiki” というサイトを見かけるようになりました。

 Polytopes は日本語では「多胞体」と訳します。

 2次元の多角形 polygons や3次元の多面体 polyhedra の一般化で、4次元以上の高次元の図形も含みます。

 もともとのWikipediaとは別のようです。

 

 その一つである ”Near-miss Johnson solid(From Polytope Wiki)” にはこのブログでいう「ニアミス立体」が74種類載っています。

 Near-miss Johnson solid - Polytope Wiki (miraheze.org)

 「ニアミス立体」というのは、「ほぼ正多角形」の面からなる多面体のことです。

 詳しくは次の記事をご覧ください。

 ニアミス立体のご紹介1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 正式には英語の通り「ニアミスジョンソン立体」と呼ぶべきなのですが、長いし、英語でも ”Near-misses” としているサイトも見かけるので、ニアミス立体でいいことにしてください。

 

 74種類のうちにはすでにこのブログで取り上げたものも多数あるのですが、初めて見るものも結構あります。

 一方で、ニアミス立体の常なのですが、画像と細かいデータを見てもなお全体が分からないものもあります。

 それはお前の頭が悪い(空間把握力が劣っている)からだろう、とおっしゃるあなた、まあそれも否定はできませんが、ニアミス立体というのは対称性が低いため、表(おもて)を見ても裏がどうなっているか想像がつかないという点が大きいです。

 (今回、以前の解説が間違っているのに気づいた立体もあります(^^;)

 

 74種類を全部いっぺんに取り上げるのは無理なので、今回は「4価切頂双3角錐系列のニアミス立体」6種類を取り上げます。

 これは比較的対称性が高い、つまり分かりやすいのが特徴です。

 

 凡例を示します。

 最初は、各立体を特定する記号です。

 まず、Npwは Near-miss,Polytope,Wiki の頭文字です。

 数字は、”Near-miss Johnson solid(From Polytope Wiki)” における順番です。

 各項目でソートすれば変わるし、また新たな発見による追加もあり得るので、絶対的なものではありませんが、ないよりましかと。

 その次の和名は私の試案です。

 次の ( ) 内は英名。

 最後の [p,q,r] は、頂点数、稜の数、面の数です。

 その次のurlは当該立体の画像です。“百聞は一見に如かず”ですね。

 その後の文章は解説で、最後に面の内訳と頂点構成を載せています。

 面の内訳における Fn はn角形の枚数です。

 頂点構成は、たとえば 12[455] であれば、4角形、5角形、5角形に囲まれる頂点が12個あることを意味します。

 

 

 Npw23 4価切頂双3角錐(Order-4 truncated triangular bipyramid) [14,21,9]

 File:Truncated triangular bipyramid.png - Polytope Wiki (miraheze.org)

Associahedron - Near-miss Johnson solid - Wikipedia

 

 双3角錐 J12 というのは、正3角錐2個の底面(正3角形)どうしを貼り合わせてできる立体です。

 Triangular dipyramid - Johnson solid - Wikipedia

 これは、正3角柱 P3 の双対 dP3 でもあります。

 双3角錐 J12 には、上下に3価の頂点が2個、側面に4価の頂点が3個あります。

 「4価切頂」は、頂点のうち4価のものだけを切頂することを意味します。

 つまり、Npw 23は、双3角錐の側面に位置する4価の頂点3個を切頂したもの t4dP3 です。

 元の正3角形の面6枚は5角形となり、4価の頂点3個は4角形となります。

 面の内訳は、F4=3, F5=6.

 頂点構成は、12[455], 2[555].

 

 

 Npw24 4方4価切頂双3角錐(Disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid)  [17,33,18]

 File:Disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid.png - Polytope Wiki (miraheze.org)

 

 この立体は、Npw 23の4価切頂双3角錐の4角形の面3枚に4方化(disdyakis)という操作を施したものです。

 4方化とは、4角形の面の面心を持ち上げて3角形4枚をつくる操作で、元の4角形が正方形なら tetrakis、菱形なら disdyakis という用語を使います。

 この場合は後者です。

 日本語wikiの記事では訳を「二重二方」としていて、その方が英語に忠実なのでしょうが、ここでは分かりやすく「4方」としておきます。

 面の内訳は、F3=12, F5=6.

 頂点構成は、2{555}, 3[3333], 12[3355].

 

 

 Npw25 拡大4方4価切頂双3角錐(Partially expanded disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid) [30,60,32]

 File:Partially expanded disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid.png - Polytope Wiki (miraheze.org)

 

 この立体は、Npw 24の4方4価切頂双3角錐を縦に3等分して、中央の上下に正3角形2枚、それに接するように4角形4枚の連なりを3つ挿入したものです。

 英名の頭にpartially が付いている理由は、縦には挿入されていますが、次のNpw26のように横に挿入されてはいないことを意味します。

 ただ、「部分拡大」では長くなるので、ここでの和名は「拡大」とします。

 面の内訳は、F3=14, F4=12, F5=6.

 頂点構成は、6[3344], 6[3355], 12[3445], 6[3454].

 

 

 Npw26 4方4価切頂双3角錐柱(Elongated disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid) [26,51,27]

 File:Elongated disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid.png - Polytope Wiki (miraheze.org)

 

 この立体は、Npw 24の4方4価切頂双3角錐を横に2等分して、その間に4角形9枚の帯つまり9角柱を挿入したものです。

 面の内訳は、F3=12,F4=9,F5=6.

 頂点構成は、2[555], 6[3344], 6[3355], 12[3445].

 

 

 Npw27 拡大4方4価切頂双3角錐柱(Expanded disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid) [42,84,44]

 File:Expanded disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid.png - Polytope Wiki (miraheze.org)

 

 この立体は、Npw 24の4方4価切頂双3角錐にNpw 25とNpw 26の操作を同時に行ったものです。

 つまり、縦横に6等分して、その間に4角形24枚、天井と底面に正3角形2枚を挿入したものです。

 面の内訳は、F3=14,F4=24,F5=6.

 頂点構成は、12[3444], 24[3445], 6[3454].

 

 

 Npw64 回転拡大4方4価切頂双3角錐(Gyrate partially expanded disdyakis order-4 truncated triangular bipyramid) [30,60,32]

 File:Near-miss 30 (6 pentagons, 12 squares, 14 triangles).png - Polytope Wiki (miraheze.org)

 この画像じゃ向こう側がどうなっているか分からないよ!とご不満な方は、次のリストのNumber30をご覧ください。

 Johnson Solid Near Misses (orchidpalms.com)

 

 この立体は、Npw 25の拡大4方4価切頂双3角錐を横に2等分して 60°回転させてから再び合わせた形となっています。

 Npw 25では水平面で4角形と4角形、5角形と5角形が接していましたが、64では同じく4角形と5角形が接している点が異なります。

 しかし、単に回転させて合わせただけでは4角形の辺が5角形の辺より外側にはみ出してしまいます。

 そこで、4角形の面を少し内側に折り曲げ、5角形の面を少し外側に折り曲げて、両者の縁(へり)が合うようにします。

 このため、水平面ではなくなります。

 

 以上の作り方から、頂点、稜、面の数や面の内訳はNpw 25と同じですが、頂点構成は異なります。

 面の内訳は、F3=14,F4=12,F5=6.

 頂点構成は、6[3454], 12[3345], 12[3445].

 Npw 25の頂点構成が 6[3344], 6[3355], 12[3445], 6[3454] だったのと比較してください。

 

 

 以下に、Npw 23~27,64をつくる操作の流れを示します。

           Y3 正3角錐

            ↓底面どうしの貼合せ

           J12 双3角錐

            ↓4価切頂

        Npw23 4価切頂双3角錐

            ↓4方化

       Npw 24 4方4価切頂双3角錐

         ↓拡大     ↓角柱挿入

 Npw 25 拡大4価切頂双3角錐 Npw 26 4方4価切頂双3角錐柱

 ↓回転     ↓角柱挿入   ↓拡大

 ↓     Npw 27 拡大4方4価切頂双3角錐柱

 Npw 64 回転拡大4方4価切頂双3角錐

 

 

 対称性は、双3角錐、Npw23,24,25,26,27がいずれも D3h で、位数は12です。

 D3hは、正3角柱の対称性と同じです。

 Npw64の対称性は D3d で、位数は12です。

 D3dは(側面6枚が2等辺3角形からなる、正8面体ではない) 正3角反柱の対称性と同じです。

 

 

 最後に、全体を表の形でまとめます。

                    頂点 稜 面  面の内訳

                    V  E  F  F3 F4 F5 

 Y3 正3角錐              4  6  4   4  0  0

 J12 双3角錐             5  9  6   6  0  0

 Npw23 4価切頂双3角錐        14 21 9  0  3  6

 Npw24 4方4価切頂双3角錐      17 33 18  12  0  6

 Npw25 拡大4方4価切頂双3角錐    30 60 32  14 12 6

 Npw26 4方4価切頂双3角錐柱     26 51 27  12  9  6

 Npw27 拡大4方4価切頂双3角錐柱   42 84 44  14 24 6

 Npw64 回転拡大4方4価切頂双3角錐  30 60 32  14 12 6

 (注) F = F3+F4+F5.

 

     頂点構成               対称性 位数

 Y3    4[333]                C3v  6

 J12   2[333], 3[3333]           D3h 12

 Npw23 12[455], 2[555]            D3h 12

 Npw24 2{555}, 3[3333], 12[3355]      D3h 12

 Npw25 6[3344], 6[3355], 12[3445], 6[3454] D3h 12

 Npw26 2[555], 6[3344], 6[3355], 12[3445]  D3h 12

 Npw27 12[3444], 24[3445], 6[3454]     D3h 12

 Npw64 6[3454], 12[3345], 12[3445]     D3d 12

 

 

 多面体など幾何の連載一覧 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 

 ★ 今年度自治会長の最後の仕事として、次期役員への依頼を行っているのですが、居留守を使うお宅があります。やりたくないなら、面と向かってそう言えばいいと思うのですが。何度ピンポンと押しても、出てこないのはインターフォンで顔を見て判断しているのでしょう。情けないというか・・・

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス8

   ni’o la’e di’u na’e ba’e mutce lo ka cizra

  [新しい段落] 今言ったのは、大して不思議なことではありません。

 la’e : ~の指示対象。項の前に付いてその指示対象を引き出す。限定詞LAhE類

 di’u : いま言ったこと。代項詞KOhA2類

 na’e : 段階否定「~以外の/ではなく」。段階詞NAhE類。-nal-

 ba’e : 強調。次に来る語を強調する。BAhE類

 mutce : 凄い,x1は x2(性質)に関して x3(極性)に対して;x1はとてもx2だ。

       x3はプラス/マイナスなど。-tce-

 ka : 性質抽象。抽象詞NU類。-kam-

 cizra : 怪しい/おかしい/風変りだ/不思議だ,x1は x2にとって x3(性質)に関して

 

 主述語は、{ na’e ba’e mutce } で、そのx1が { la’e di’u } 、x2が { lo ka cizra } です。

 la’e がなくて di’u だけだと、発言内容・意味ではなく、音声・文字列を意味することになります。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)