ロジバンの機能語の全体像1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
ロジバンの機能語の全体像3 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
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今回の範囲
7.抽象詞、関係詞、縛位詞
7-1 抽象詞 nu, du’u など
7-2 縛位詞 be, bei
7-3 関係詞(節)NOI類
7-4 関係詞(句)GOI類
7-5 関係詞に関連する単語
8.転換と項番明示
8-1 転換SE類
8-2 項番明示FA類
9.数詞、数理演算子、MOI類
9-1 数字を表す数詞PA1類
9-2 その他の数詞PA類
9-3 数理演算詞VUhU類
9-4 MOI類とMAI類
7.抽象詞、関係詞、縛位詞
7-1 抽象詞 nu, du’u など
抽象詞NU類は、その後に続く命題から、こと、動作、性質、数量、概念、状態など、抽象的なものごとを取り出して述語にします。
簡単にいうと、「~ということ」を表します。
早速例文をみましょう。
mi badri lo nu le ninmu ku morsi kei ・・・ (7-1.1)▲’21/1/16
私は、あの女性が死んだことが悲しい。
kei : 抽象終了。NU類で開かれた抽象化範囲を閉じる。終止詞KEI類。-kez-
cu があれば、必要ない。
ここで、nu が抽象詞です。
文が { lo nu } と { kei ku } で挟まれると、その文で表される「出来事」を意味します(抽象節)。
kei は nu に対応する終止詞KEI類。「括弧開く」と「括弧閉じ」の関係です。
le nanmu ku birti lo du’u le plise ku kukte kei ・・・ (7-1.2)▲’21/1/18
あの男は、あのリンゴが美味しいと確信している。
nu が出来事を表すのに対して、du’u は「命題」(真偽が定まる)を表し、信念(「信じる」「推論する」「思う」「疑う」など)の対象となります。
つまり、nu と du’u の違いはその抽象節を項としてとる述語に依存します。
lo nu sipna cu sarcu lo pu’u banro kei lo ka remna ・・・ (7-1.3)▲’21/4/6
(「ヒトという性質」をもつのであれば、「成長という過程」のためには、「睡眠という出来事」が不可欠だ。)
ヒトであれば成長のためには睡眠が不可欠だ。
pu’u は「過程」を抽象し、ka は「性質」を抽象します。
最初の nu を含め、抽象詞3種の揃い踏みとなっていますね。
抽象詞NU類の主なものを挙げます。
nu : 出来事を抽象する。-nun-
du’u : 命題を抽象する。-dum-
pu'u : 過程を抽象する。-puv- <- pruce 過程
ka : 性質を抽象する。-kam- <- ckaji 性質
ni : 数量を抽象する。-nil-
他にも、状態抽象 za’i、動作抽象 zu’o、真理値抽象 jei、概念抽象 si’o、経験抽象 li’i、時点抽象 mu’e、記号抽象 sedu’u(NU*類)、不特定内包要素抽出 su’u(抽出対象の範囲が最も広い)があります。
{ NU ~ kei } で述語となり、さらに冠詞と ku で挟むと項になります。
また、焦点となる項を ce’u に替えて置くことができます。
ce’u : 抽象代項詞(ラムダ)。抽象節内で焦点となる項の箇所にそのまま代えて置く。代項詞KOhA8類
ce’u の用法については、性質抽象詞 ka に関する次の例をみてください。
ka prami kei 愛(という性質)だ
ka ce’u prami kei 愛するという性質だ
ka prami ce'u kei 愛されるという性質だ
最後に数量抽象詞 ni を含む例文です。
li ni’e ni clani [te’u] pi’i ni’e ni ganra [te’u] pi’i ni’e ni condi te’u du li ni’e ni canlu ・・・ (7-1.4)★’21/6/11
長さ × 幅 × 深さ = 容積。
li : 数冠詞。数/数式を項に変換する。冠詞LI類
ni’e : 述語をMEX(数式)に変換する。NIhE類
te’u : MEX(数式)変換終了。数理演算子の前と文末では省略可能。終止詞TEhU類
pi’i : 乗法記号×。<- pilji 掛ける
7-2 縛位詞 be, bei
lo や le は内容語の頭に付いて 「~するもの(人)」 という項を作りますが、その内容語が本来とる項はそのままでは後ろに付けることができません。
そこで使われるのが、be と bei です。
be は最初の項、bei は2つ目以降の項を付けるために使われます。
xu ta me le dunda be lo plise bei do [be’o] ・・・ (7-2.1)★’21/3/2
あの人が、あなたにリンゴをくれた人ですか?
xu : 真偽疑問。対象が真か偽かを尋ねる。心態詞UI6類
me : 後ろに続く項を述語に変換する。ME類
be : ~の。項を内容語に接続する。縛位詞BE類
bei : ~の(拡張)。2つ目以降の項を内容語に接続する。縛位詞BE類
be’o : be,bei で付く項の終りを示す。終止詞BEhO類
plise の後の bei が be だと、do が dunda ではなく plise に付くこととなり、「あなたという種類のリンゴ」という意味になってしまいます。
縛位詞(ばくいし)という品詞名は、x2、x3、・・・という位置を縛るという意味で、cogasさんの造語です。
lo vinji be ma’e lo linto je jdari ・・・ (7-2.2)★'22/4/26
軽量かつ頑丈な素材でできた飛行機
ma’e : ~を物質として。法制詞BAI類。<- marji 物質
je : ~と~(論理積and)。接続詞(論理・後置・tanru)JA類。-jev-, -jve-
be は、通常は体言のx2を率いますが、転換SE類やこの例のような法制詞BAI類を挟むことにより様々な表現が可能です。
7-3 関係詞(節)NOI類
mi citka ti poi ke’a lenku [ku’o] ・・・ (7-3.1)★’21/3/3
私はこれらのうち冷たいものを食べる。
mi citka ti noi ke’a lenku [ku’o] ・・・ (7-3.2)★’21/3/3
私はこれらの冷たいものを食べる。
poi : 直前の項を直後の節で修飾し、項の指示対象を選り抜く。関係詞(節・限定)NOI類
noi : 直前の項を直後の節で修飾し、項の指示対象を説明する。関係詞(節・非限定)NOI類
ku’o : NOI類で開かれた関係節を閉じる。文末などでは省略可能。終止詞KUhO類
ke’a : 関係代項詞。体言に関係詞で節をつなげる際に、本体の体言と節の中の特定の項を同一にする。KOhA7類
(7-3.1)ではこれらの一部が「冷たいもの」ですが、(7-3.2)ではこれらはすべて「冷たいもの」なので、描写している事態は単に { mi citka ti } と同じことになります。
7-4 関係詞(句)GOI類
ロジバンにはよく使われる(述語を共有する)定型的な関係節があり、それを関係句という短い形で表すことができます。
関係句は、関係詞GOI類とそれに続く一つの体言から構成されます。
次の2つの文は、どちらも「私の椅子は青い。」と訳せます。
le stizu pe mi cu blanu ・・・ (7-4.1)★’21/10/8
le stizu poi ke'a srana mi cu blanu ・・・ (7-4.2) ★’21/10/8
pe : 直前の体言を直後の句で修飾し、体言の指示対象を選り抜く。関係詞(句・限定)GOI類
srana : 関連する/関係がある,x1は x2に。-ra’a- 一般にx1はx2より具体的な事物
le stizu po mi cu xunre ・・・ (7-4.3)★’21/10/9
私の椅子は赤い。
po : 所有関係詞。一般にいう物理的/法的所有を表す。関係詞(句・限定・所有)GOI類
GOI類はおおむね日本語の「の」、英語の”of”と訳せるのですが、ロジバンでは細かい意味の違いに応じて使い分けが行われます。
po の示す関係は、pe の示す関係よりもより強く持続的なものであり、特に、物理的あるいは法的な所有を表します。
例文の解釈の一つとして、{ pe mi } が今話し手が座っている椅子を示し、{ po mi } が話し手が所有する椅子を示します。(ただし、他の解釈もあり得る)
次の2つの文は、どちらも「私の腕が壊れる。」と訳せます。
le birka po'e mi cu spofu ・・・ (7-4.4)★’21/10/11
le birka be mi cu spofu ・・・ (7-4.5)★’21/10/11
po’e : 固有所有関係詞。体の一部など分離できない、譲ることのできない関係を表す。関係詞(句・限定・所有)GOI類
ただたいていの場合、そのような内容語は本体をx2とするため、po’e を使わなくとも、縛位詞 be で代用できます。
次の2つの文は、両方とも「私の友達である犬が私にキスをする。」という意味です。
le gerku po'u le mi pendo cu cinba mi ・・・ (7-4.6)★’21/10/12
le gerku poi du le mi pendo cu cinba mi ・・・ (7-4.7) ★’21/10/12
po’u : 項同一関係詞。{ poi du } と同義で同一を意味する。関係詞(句・限定・同一)GOI類
le blabi gerku ne mi cu batci do ・・・ (7-4.8)★’21/10/15
白い犬、それは私の犬なのだが、が君を噛む。
ne : 関係詞(句・非限定)GOI類
関係節をつくる関係詞には限定的な poi と非限定の noi がありましたが、関係句をつくる pe (限定)にも対応する非限定の ne があります。
この例文は、どの白い犬が噛んだか、分かっている場合です。
それが「私の犬である」ことは補足情報にすぎません。
le nanmu no'u la djim. cu terpemci ・・・ (7-4.9)★’21/10/17
その男、ジム、は詩人だ。(人が何人かいる部屋で、彼らの名前を知らないが「その男」はすでに特定できている場合。ジムという名前は補足情報)
no’u : 項同一関係詞。直前の体言と同一指示対象の体言を結び付ける。関係詞(句・非限定・同一)GOI類
le nanmu po'u la djim. cu terpemci ・・・ (7-4.10) ★’21/10/17
そのジムという男は詩人だ。(人が何人かいる部屋で、彼らの名前を知っていてジムという名前で初めて特定する場合)
no’u と po’u の関係は、ne と pe の関係と同様です。
le gerku voi blabi cu klama ・・・ (7-4.11)★‘21/10/21
私が白い犬として描写する犬が行く。
voi : 非真実関係詞。すぐ前の体言を主観的に叙述する述語を結び付けるが、真に体言に当てはまるとは限らない。関係詞(節・非限定・非真実)NOI類
voi は必ずしも真ではない記述を意味し、その点で主観系冠詞の le と同じです。
次の2つの文はどちらも同じ 「この女は(本当は)男だ。」 という意味です。
le vi ninmu cu nanmu ・・・ (7-4.12)★‘21/10/21
ti voi ninmu cu nanmu ・・・ (7-4.13)★‘21/10/21
7-5 関係詞に関連する単語
ge’u : GOI類が開いた関係句を閉じる。終止詞GEhU類。実際はほとんど使われない
zi’e : 関係節・句結合。ZIhE類
vu’o : 広範囲関係詞結合。複数の体言に関係詞を結び付ける。最後の体言と最初の関係詞の間に置く。関係節結合詞VUhO類
le gerku poi blabi zi’e poi batci le nanmu cu klama ・・・ (7-5.1)★’21/10/20
関係節が2つあるため、それらを zi’e で結合しています。
zi’e で結合させるのは、異なる関係詞どうしでも、節関係詞だけでなく句関係詞であっても構いません。
la frank. .e la djordj. vu'o noi nanmu cu klama le zdani ・・・ (7-5.2)★’21/10/23
フランクとジョージ、彼らは男だが、はその家へ行く。
関係詞はそのままでは1つの体言だけに掛かるため、この文は、もし vu’o がないと、ジョージについてだけ男だと主張することになります。
A類で論理接続された体言の両方に関係節が掛かるようにするためには、vu’o を用います。
8.転換と項番明示
ロジバンの内容語は、その取るべき項がx1~x5まで決まっています。
実に述語論理らしいのですが、ただ時には項の順序を変える必要も出てきます。
そういうときに使うのが転換のSE類と項番明示のFA類です。
8-1 転換SE類
x1とx2以降の項を転換する(入れ替える)のがSE類で、次の4種類です。
se : x1-x2転換。述語の前に付いてx1とx2を入れ替える。-sel-
te : x1-x3転換。述語の前に付いてx1とx3を入れ替える。-ter-
ve : x1-x4転換。述語の前に付いてx1とx4を入れ替える。-vel-
xe : x1-x5転換。述語の前に付いてx1とx5を入れ替える。-xel-
se, te, ve, xe は、子音のアルファベット順で並んでいます。
SE類は問題になっている項以外を入れ替えることはありません。(後出のFA類とはその点が異なる。)
まず、命題の述語に付いた例です。
.a’o nai ro da ca se cirko ・・・ (8-1.1)心2
([絶望] 現在、全員が失われている。)
絶望的だ、全員亡くなっているだろう。
.a’onai : 絶望。それについて望めることがないという気持。心態類(命題態度)UI*1類
ro da : ro はすべて(数詞PA4類)。da は量化型項変数1(代項詞KOhA1類)
SE類は述語の前、間制詞、相制詞があるときはその後に来ます。
x1は必ず述語の前に来ることになっているため、(8-1.1)は次と同じ意味になると思います。
.a’o nai ca cirko ro da ・・・ (8-1.2)
さらに、冠詞と組み合わさると、一挙に表現力が広がります。
“klama”「行く/来る」 を例にとると、
lo klama ku : 行く/来る人
lo se klama ku : 行き先、終点
lo te klama ku : 起点、出発点
lo ve klama ku : 経由点
lo xe klama ku : 交通手段
"vecnu"「売る」 からは、次のような語句ができます。
lo vecnu ku : 売り手
lo se vecnu ku : 売り物、商品
lo te vecnu ku : 買い手
例文です。
.a’o do nelci le se dunda ・・・ (8-1.3)心2
([希望] あなたはそのプレゼントが好きだ。)
あなたがそのプレゼントを気に入ってくれるといいな。
.a’o : 希望。望みをかける気持。心態詞(命題態度)UI1類
「買う」は { te vecnu } でよいのですが、一語(lujvo)にしたいときは te と vecnu のrafsi(3字語基)を使って、terve’u とします。
また、特に se は接続詞の前件・後件を逆にするときや内容語から法制詞をつくるときにもよく使われます。
8-2 項番明示FA類
x1と他の項の入れ替えではない形で、項を動かしたい場合には次の項番明示FA類を用います。
fa : 項の直前に付いてその項がx1であることを示す
fe : 項の直前に付いてその項がx2であることを示す
fi : 項の直前に付いてその項がx3であることを示す
fo : 項の直前に付いてその項がx4であることを示す
fu : 項の直前に付いてその項がx5であることを示す
fa, fe, fi, fo, fu は、母音のアルファベット順で並んでいます。
FA類で項の順序を入れ替えたときは、その後の項たちは順にズレていきます。
たとえば、fe の付いた項が来るとそれがx2であり、その次の項がx3、その次の項がx4、・・・となります。
例文です。
lo smani ji’a sai cu farlu fi lo tricu ・・・ (8-2.1)▲’21/7/7
猿も木から落ちる。
ji’asai : ~さえも。心態詞(談話系)UI*3b類 <- ji’a ~も(追加)
述語 farlu 「落ちる/降りる」のx2は落ちる先、x3が落ちる起点なので、この場合は fi が必要となります。
次の2つの文は同じ意味です。
mi dunda le cukta do .ije mi lebna lo rupnu do ・・・ (8-2.2)接2
fi do fa mi dunda le cukta gi’e lebna lo rupnu ・・・ (8-2.3)接2
私はその本をあなたに与え、そしてあなたからいくらかのお金を受け取る。
.ije : 論理積。接続詞(論理・後置・命題)
gi’e : 論理積。接続詞(論理・後置・複合命題)
(8-2.1)では、.ije の前の命題と後の命題でx1とx3が同じです。
(8-2.2)では、くり返しを避けるために、共通のx1とx3をFA類で先に出して、接続詞を変更しています。
fa の付く項はx1でその次はx2なので、{ le cukta } は dunda のx2、{ lo rupnu } はlebna のx2です。
ti fai mi jai bu’u tavla ・・・ (8-2.4)★’21/3/4
ここは、私が語る場所だ。
bu’u : ~(場所)で。時間における ca に相当。同所性を表す間制詞(空間・方向)FAhA3類
jai : 通常は間制や法制の一部として使う項をx1として使えるようにする。JAI類
fai : 項を追加する。FA類
「語る」 tavla には、場所を表す項がありません。
場所を表す bu’u をx1にするためには、1番目の項の役割を消す機能語 jai を使います。
jai bu’u tavla
これで、x1 が「語る場所」となります。
再び「語る主体」を使いたいときには、fai を付けます。
単に「私はここで語る。」ならば、次のようになります。
mi tavla bu’u ti ・・・ (6-1.2)
最後に、FA類を使わない場合の表現もみておきます。
lo smani ji’a sai cu farlu fi lo tricu ・・・ (8-2.1)再掲
猿も木から落ちる。
これは、次の文と同じです。
lo smani ji’a sai cu farlu zo’e lo tricu ・・・ (8-2.5)
zo’e : 不特定項。「何らかのもの」。代項詞KOhA7類
zo’e は省略されている項、この場合はx2を表すので、{ lo tricu } がx3となります。
ただ、zo’e を使った文はあまり見かけがよくありません。
mi klama fu lo karce ・・・ (8-2.6)
mi klama zo’e zo’e zo’e lo karce ・・・ (8-2.7)
私は車で行く。
(8-2.6)と(8-2.7)は同じ意味ですが、無意味な zo’e が3つも続くのは不細工なので、あまり使われることはありません。
9.数詞、数理演算子、MOI類
9-1 数字を表す数詞PA1類
ロジバンは、盲目の数学者が数学をするのに最も効率的な言語と称されるだけあって、数学関係の道具立ては揃っています。
ただ、これも3回連載で取り上げたこともあり、今回は概観するに留めます。
基本となるのは数字を表す数詞PA1類で、1~9までと0を表す数詞全部で10個です。
pa : 1.-pav- re : 2.-rel- ci : 3.-cib-
vo : 4.-von- mu : 5.-mum- xa : 6.-xav-
ze : 7.-zel- bi : 8.-biv- so : 9.-soz-
no : 0.-non-
1~9については、母音は aeiou の繰り返しですが、子音には規則性がありません。
ロジバンには、日本語の十、百、千、万のような位取りを表す語はありません。
単に上の10種類の数詞を並べるだけで何桁の数字でも作ることができます。
ze mu vo no re : 75 402
これを、{ zemuvonore } と詰めて書いても同じです。
二重子音が含まれないため、5つの機能語、この場合は数詞に分解できるからです。
(発音するときは、アクセントがないこともポイントです。)
そうやって作った数字には、大きくみて次の4種類の使い方があります。
(1) lo/le [数詞] [内容語]
(2) 数冠詞 li を前に付けて、独立した数として計算などを行う
(3) MOI類と組み合わせて、順番、個数、確率などを表す
(4) rafsi(語基3字形)の形でlujvo(合成語)を作る
次は(1)の例です。
lo pa karce ku 「1台の車」
lo mu verba cu kelci lo re bolci ・・・ (9-1.1)★'21/1/2
5人の子どもは2個のボールで遊ぶ。
単数であることを明示するには、pa を使います。
次は(2)の例文です。(再掲)
li muvo sumji li cixa li pabi ・・・ (3-4.1)★’20/12/31
54は、36と18の和だ。
li ci vu’u pa du li re ・・・ (3-4.2)数1
3-1 = 2. (3)については、9-4をご覧ください。
次は(4)のlujvoの例です。
xavdei : 土曜日(週の6番目の曜日) ★'21/3/26
sozma’i : 9月 ★'21/3/27
pavnonma’i : 10月
9-2 その他の数詞PA類
PA2類 16進法用数詞
PA3類 数の補助。正号・負号、小数点、カンマ、パーセント、分数記号など
PA4類 不定数詞。「十分な」「すべての」「多くの」「少なくとも」など
PA5類 特別な数。無限大、円周率、虚数単位、数量質問など
PA3類の主なものについて、紹介します。
小数点は pi です。
li bize pilji li ciki’o li pinoreso ・・・ (9-2.1)★'21/1/1
87は、3000掛ける0.029である。
pi の前の数字が省略されている場合は、0 が省略されているとみなします。
ロジバンには位取りを表す言葉はありませんが、 ki’o で三桁の区切りを表すことができます。
pa ki’o re ci vo ki’o mu xa ze : 1 234 567
ki’o の後の数字が3個より少ない場合は その分 0 が省略されているとみなし、前の数字が省略されている場合は、1 が省略されているとみなします。
ki’o ki’o bi so : 1 000 089
分数を表すには、分数斜線 fi’u を使います。
re fi’u ze : 2/7
fi’u の前の数字が省略されていると、1 が省略されているとみなします(単位分数)。
fi’u ze : 1/7
時分秒や年月日を区分するには、pi’e を使います。
ti’u li pa pi’e cino : 1時30分に, ti’u li papimu : 1時半に
de’i li renonopa pi’e so pi’e papa : 2001年9月11日に
ti’u : ○時×分△秒に。法制詞BAI類。<- tcika
de’i : 〇年×月△日に。法制詞BAI類。<- detri
どちらも、〇×△は pi’e で区切ります。
PA4類の不定数詞とは、次のようなものです。
rau「十分な」,du’e「多すぎる」,mo’a「少なすぎる」は、3つ組となっています。
ro「各/全/一つ一つの」 は、量化型代項詞 da と一緒になった { ro da } という形で「すべて」「全員」を意味する場合が多いです。
so’a~so’u は、ro (全て)と no (ゼロ、何もない)の間の数・量を意味し、aeiou は大きい方から小さい方への順で並んでいます。
so’a : ほぼ全ての。-soj-
so’e : 大半の。過半数、半分より多いことを意味する。-sop-
so’i : たくさんの。-sor-, -so’i-
so’o : いくつかの。-sos-
so’u : 少しの。-sot-
よく使われるのは、so’i です。
lo so’i mlatu ku sipna ・・・ (1.2)★'20/12/24
たくさんの猫が寝ている。
su’e は「最大で~/多くとも~」、su’o は「最小で~/少なくとも~」です。
ro と su’o を使った例文は、13-2で登場します。
数量に関する質問には、xo を使います。
xo prenu ti zvati ・・・ (9-2.2)数2
ここには何人の人がいるの?
9-3 数理演算詞VUhU類
計算を表す記号の読みは、数理演算詞VUhU類に属します。
ここでは、加減乗除を表すVUhU1類だけ紹介します。
su’i : 加法記号+。数理演算詞VUhU1類 <- sumji
vu’u : 減法記号-。数理演算詞VUhU1類 <- vimcu
pi’i : 乗法記号×。数理演算詞VUhU1類 <- pilji
fe’i : 除法記号÷。数理演算詞VUhU1類 <- frinu
例文はこれも再掲です。
li ci vu’u pa du li re ・・・ (3-4.2)数1
3-1 = 2.
9-4 MOI類とMAI類
MOI類は、数詞の後ろに付いて、述語をつくります。
mei : 濃度化。「x1はn個」。-mem-, -mei-
moi : 序列化。「x1は x2(集合)・x3(原理)のn番目の要素」。-mom-, -moi-
cu’o : 確率化。「x1(事)はx2(条件)において n の確率で起こる」
si’e : 分量化。
va’e : 段階化。「x1は 段階x2上の 段階位置 n にある」
まず、mei の用例です。
lei mi ratcu cu mumei ・・・ (9-4.1) 私の鼠は5匹だ。
pa mei cusku (pavmeisku) ・・・ (9-4.2) ひとりごとを言う
日本語の n人、n匹、n個などをすべて mei で表現していると考えればよいでしょう。
次は、moi の用例です。
ta romoi le’i mi ratcu ・・・ (9-4.3)
それは私の最後の鼠だ。
2つ目の例文のように、moi はPA4類の ro と組み合わせて使えます。
「最初の」は pamoi です。
同じく、 rau,du’e,mo’a とも組み合わせて使えます。
mi rau moi le velskina porsi ・・・ (9-4.4)★’21/6/2
私は映画鑑賞客の列のかなり後ろの方だ。
3番目は、確率を表す cu’o の用例です。
le nu lo sicni cu sedja’o cu pimucu’o ・・・ (9-4.5)★’21/6/1
硬貨が頭を表示する確率は0.5だ。
cu’o の前の数値nは、0≦n≦1 でなければなりません。
MOI類と似て非なるものとして、MAI類があります。
mai : 発話順序。~番目に。MAI類
pamai jarco ra do .ai ・・・ (9-4.6)★‘21/12/25
まずはこれをあなたに見せておきたい。
.ai : 志向。行為する/働きかけるつもりがある気持。心態詞(命題態度)UI1類
「第1に(はじめに)」「第2に(次に)」「第3に」・・・のように、発話内容を序列化するときは、数詞の後に mai を付けて、pamai, remai, cimai, ・・・のようにします。
「最後に」は romai です。(ro はすべて)
発話自体に関わるメタ言語的な働きなので、n番目を表す moi などのMOI類ではなくMAI類という別のグループとしています。
--------------------- 続 く -------------------