今回の範囲
全体の目次
０．はじめに
１．最も重要な5つの機能語 mi, do, lo, cu, .i
２．代項詞
2-1 指示代項詞 ti, ta, tu
2-2 疑問代項詞 ma
2-3 命令代項詞 ko
2-4 照応代項詞 ri, ra, ru
2-5 人称代項詞 mi’o, mi’a, ma’a, do’o
2-6 発話代項詞 di’u
2-7 定項代項詞 ko’a と goi
2-8 再帰代項詞 vo’a
2-9 不特定代項詞 zo’e と不在代項詞 zi’o
2-10 代項詞としての字詞
全体の目次
０．はじめに
１．最も重要な5つの機能語 mi, do, lo, cu, .i
２．代項詞 ↑第1回
３．冠詞
４．心態詞 ↑第2回
５．接続詞
６．間制詞と相制詞 ↑第3回
７．抽象詞、関係詞、縛位詞
８．転換と項番明示
９．数詞、数理演算子、MOI類 ↑第4回
10．代述詞 du, go’i, mo, me
11．法制詞
12．否定詞と疑問詞 ↑第5回
13．題目部、束縛変項、全称・存在量化詞 ↓第6回
14．tanruに関連する機能語
15．限定詞LAhE類
16．引用、括弧、挿入、消去
０．はじめに
ロジバンの機能語については、心態詞、接続詞、数詞などいくつかのグループを独立した記事として取り上げてきましたが、今回、機能語全体を見渡して整理することにしました。
（私の勉強がそこまで進んでようやく準備が整ったということです。）
ロジバンに詳しくない方でも読めるように、前提とする知識は次の2つの入門記事だけとします。
人工言語ロジバン1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
人工言語ロジバン2 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
このため、以前の記事との重複は当然ありますが、ご容赦ください。
例文は、できるだけこれまで掲載してきたものを再掲します。
ただ、それらについては機能語の解説だけ行い、内容語の解説は以前のものを見ていただくことにして省略します。
★とその後の日付は、その日付の記事の末尾に掲載した「今日のロジバン」。
他は次の通り。すべてテーマ「論理と言語」です。
略号 題名 掲載年月日
人1 人工言語ロジバン1 ‘20/12/22
人2 人工言語ロジバン2 ‘20/12/23
接1 ロジバンの接続詞1 ‘21/1/10
接2 ロジバンの接続詞2 ‘21/1/11
接3 ロジバンの接続詞3 ‘21/1/12
心1 ロジバンの心態詞1 ‘21/1/24
心2 ロジバンの心態詞2 ‘21/1/25
心3 ロジバンの心態詞3 ‘21/1/26
数1 数学のロジバン1 ‘21/6/25
数2 数学のロジバン2 ‘21/6/26
数3 数学のロジバン3 ‘21/6/29
復習です。
ロジバンの単語には、内容語brivla、機能語cmavo、名称語cmeneの3種類があります。
これら3つは音韻上の明確な特徴によって区別されます。
機能語の特徴は次の通りです。
・ 語末が母音で終わる。連続した子音を含まない。語の途中に子音が存在しない。（ｈの音を表すアポストロフィ“‘” は、母音を区切るためだけの役割であり、子音扱いされない。）
内容語brivlaは、日本語や英語の動詞、名詞、形容詞の役割を果たします。
これに対して、機能語cmavoは、英語の代名詞、冠詞、助動詞、前置詞、形式名詞、接続詞、間投詞、日本語の助詞、助動詞などの役割を果たします。
ですから、内容語brivlaについては個々の単語とその意味を紹介すれば済んだのですが、機能語cmavoについてはそれぞれの文法的役割を理解することが重要です。
というわけで、ロジバンの機能語にはさまざまな種類のものがあるのですが、ただ、ロジバンと英語や日本語とではそもそも分類自体が異なります。
最初に全体像をみるために、機能語の分類を表の形で示します。
機能語の分類
種類 例
代項詞KOhA類 mi, do, ra, ti, ma, ko, da, zo’e
冠詞 lo, le, la, li
心態詞UI類 .ui, .iu, .ai, .au, .ei
心態詞認識系 ba'a, pe'i, ti'e
心態詞談話系 na'i, ku'i, zu'u
心態詞その他 coi, xu, cu’i, pe'u, pei
接続詞 .e, .ije, ge, gi’e, gi, gi’i, joi, fa’u
間制詞 ca, pu, vi, ze’i
相制詞 pu’o, co’u, mo’u, ba’o
抽象詞NU類 nu, du’u, ka
関係詞 poi, noi
縛位詞 be, bei
転換 se, te, ve, xe
項番明示 fa, fe, fi, fo, fu
数詞PA類 pa, no, ro, pi, ki’o
数理演算詞 su’i , vu’u, pi’i , fe’i
MOI類 moi, mei
代述詞GOhA類 du, go’i, mo
法制詞BAI類 pi’o, bau, ka’a
境界詞・終止詞 ku, i, kei
字詞BY類 abu, by, cy
その他 cu, me, na, nai, zo’u
ずいぶん種類が多いですが、これまで出てきた機能語で日本語の品詞名のないものもあり、MOI類の他、「その他」にまとめています。
また、否定詞と疑問詞は、ロジバンでは独立した分類ではなく、文法的機能に応じて分類されます。
１．最も重要な5つの機能語 mi, do, lo, cu, .i
最初に、最も重要な機能語 mi, do, lo, cu, .i について例文でみていきます。
（so’i, ku, le も出てきますが、ついでです。）
mi prami do ・・・ (1.1)人1
私はあなたを愛する。
mi ： 話し手(聞き手とその他は除く)。私(たち)。代項詞KOhA3類。-mib-
do ： 聞き手(話し手とその他は除く)。あなた(たち)。代項詞KOhA3類。-don-, -doi-
mi も do も単数複数を問わないので、「私たちはあなたたちを愛する。」を意味することもあり得ます。
代項詞は、英語でいう代名詞に当たりますが、ロジバンには名詞という品詞はないため、代項詞と呼びます。
lo so’i mlatu ku sipna ・・・ (1.2)★’20/12/24
たくさんの猫が寝ている。
lo ： 汎用冠詞。～(のx1)であるもの(物/者/事)。冠詞(客観系)LE類
so’i ： たくさんの。数詞PA4類。-sor-, -so’i-
ku ： 冠詞lo あるいはle で始まる項を閉じる。終止詞KU類
ロジバンには動詞・形容詞と名詞の区別はなく、内容語に冠詞 lo, le などが付いたものが項となります。
逆に、冠詞を付けないと、項になりません。
冠詞 lo の及ぶ範囲の末端を示して、項を閉じるのが終止詞 ku です。
終止詞は、「括弧開く」に対応する「括弧閉じる」に相当します。
もし ku がないと、mlatu と sipna がつながってtanruとなるため、「たくさんの猫眠り」?という意味になってしまいます。
（「寝ている猫」なら、{ lo sipna mlatu ku } です。）
ただし、終止詞 ku は文末や cu がある場合など多くの場合に省略できます。
ロジバンでは単数か複数かは特に明示しなければ区別されないため、{ lo mlatu ku } だけだと、猫が一匹なのか何匹いるのか分かりません。
(1.2)の場合は数詞 so’i により複数であることが分かります。
単数であることを明示するには、1 を意味する数詞 pa を使います。
複数であることを明示するには、so’i などの数詞を使うか、群冠詞 loi (lei) を使います。
数詞については9節を、群冠詞については3-3をご覧ください。
lo so’i mlatu cu sipna ・・・ (1.3)
たくさんの猫が寝ている。（(1.2)と同じ意味）
lo xanto cu nazbi clani ・・・ (1.4)★’20/12/26
象は鼻長だ。
cu ： 先行する項と述語を分離する。CU類
述語とそのx1を分離するのが cu です。
ただし、x1が mi, do, ti のような代項詞の場合には cu は必要ありません。
また、cu があると、x1の終止詞 ku を省略できます。
逆に(1.4)で cu がないと、
lo xanto ku nazbi clani
と、ku を挿入する必要があります。
もし cu も ku もなければ、{ xanto nazbi clani } というtanruに、lo が付いたと解釈されてしまいます。
cu はCU類というだけで、日本語の品詞名はないようなのですが、非常に重要なので、何か適当な名前を付けてほしいな・・・
項述分離詞とか(^_^
なお、cu は、第6節で出てくる間制詞、相制詞があるときは省略できます。
英語では、文の最初を大文字にし、最後にピリオドを打ちます。
日本語では、文の最後に句点「。」を打ちます。
ロジバンでは、少し異なるのですが、文の境界を示すものとして .i があります。
ある文が終了し、同じ行で別の文が始まるとき、その文の頭に .i を置きます。
（ロジバンでは、必要のないときはできるだけ省略する方針です。）
ta bloti .i tu brablo ・・・ (1.5)★’21/1/13
それはボートだ。あれは船だ。
ta ： 聞き手の近くの対象(物/者/事)、あるいは話し手から中程度の距離の対象
.i ： 文境界。境界詞I類
tu ： 話し手と聞き手のどちらからも遠い対象(物/者/事)、あるいは話し手から遠い対象
２．代項詞
ここからは、機能語の種類ごとにまとめて紹介します。
代項詞としては、すでに mi と do を取り上げました。
2-1 指示代項詞 ti, ta, tu
.o’o do ti mi dunda ・・・ (2-1.1)▲’21/1/24
（[寛容] あなたはこれを私に渡す。）
しかたない、受け取ってやろう。
.o’o ： 寛容。一般的には反感の的となることに対して寛大に許容する気持。心態詞(純粋感情)UI1類
ti ： これ。話者の近くにある対象(物/者/事)を指示する。代項詞KOhA6類。-tif-
ti, ta, tu は指示代項詞KOhA6類で、順に
ti ： 話し手の近くの対象(物/者/事)
ta ： 聞き手の近くの対象(物/者/事)、あるいは話し手から中程度の距離の対象
tu ： 話し手と聞き手のどちらからも遠い対象(物/者/事)、あるいは話し手から遠い対象
を表します。
日本語の「こそあど」の「こそあ」に似ています。
ただし、内容語の前に付いて修飾することはできず、その役割は間制詞の vi, va, vu が果たします（後述）。
逆に、指示代項詞がx1のとき、述語との間に cu は不要です。（修飾と解釈される恐れがないため）
次の(2-2.3)のように、述語selbriが取る項に応じて、場所（ここ）や時刻（このとき）を表すこともあります。
2-2 疑問代項詞 ma
do klama ma ― la london. ・・・ (2-2.1)▲’21/2/2
君はどこへ行く(行った)の？ ― ロンドンへ。
ma klama la london. ― la klaudias. ・・・ (2-2.2)▲’21/2/2
誰がロンドンへ行く(行った)の？ ― クラウディア。
ma tcika ti ・・・ (2-2.3)▲’21/4/4
今何時だい？
ma ： 疑問代項詞。代項詞KOhA7類
ma は、分かっていないが知りたい項に置いて疑問表現をつくります。
英語だと聞きたいことの種類に応じて5W1Hで計6種類の疑問詞がありますが、ロジバンでは ma の1種類だけで済みます。
これは、ロジバンの述語(内容語)が最大5つの項をとるため、その場所に ma を入れれば多様な質問ができるためです。
（より一般的抽象的な疑問代述詞 mo という単語も後(第10節)で登場します。）
2-3 命令代項詞 ko
ko lojbo .iu ・・・ (2-3.1)▲’21/1/14
ロジバンしよう！♡
.o’i nai ko gunta ・・・ (2-3.2)心1
いいから突撃しろ！ （[軽率] [命令] あなたは攻撃する）
ko ： 命令。do の代わりに用い、「～しろ」から「～してください」まで広いニュアンスをカバー。代項詞KOhA3類
.iu ： 愛好。愛する気持。心態詞(純粋感情)UI1類
.o’inai ： 軽率。可能性に対する覚悟を欠いて早まる気持；焦る気持ち。心態詞UI*1類
ko の意味には一応「命令」と書いてありますが、そのニュアンスは幅広く、意味合いを絞るためには心態詞を用います。
2-4 照応代項詞 ri, ra, ru
適当な例がないので、初引用の文です。
le ninmu cu certu lo nu sanga .i ri trina mi .i ra kakne lo nu dansu ・・・ (2-4.1)
その女性は歌うのが上手い。その歌（ri= lo nu sanga）は私を魅了する。彼女（ra= le ninmu）は踊れる。
ninmu ： 女（の人）だ，x1は。-nim-, -ni’u-
certu ： 玄人/達人/プロ/ベテランだ，x1は x2(事/行為)の x3(基準)における。-cre-
sanga ： 歌う/詠唱する，x1は x2(音楽)を x3(聴衆)に。-sag-, -sa’a-
ri ： 直前の項を繰り返す。照応代項詞KOhA5類
trina ： 誘惑する，x1は x2を x3(性質)で；x1はx2にとって魅力的だ。-tri-
ra ： いくらか前の項を繰り返す。照応代項詞KOhA5類
kakne ： できる，x1は x2(事)が x3(条件)において；x1は有能だ。-ka’e-
dansu ： 踊る，x1は x2(音楽/リズム)に合わせて；x1はx2にノる
出典：24. 代詞 - はじめてのロジバン第２版 (cogas.github.io)
ri, ra, ru は照応代項詞KOhA5類で、順に次の働きをします。
ri ： 直前の項を繰り返す
ra ： いくらか前の項を繰り返す
ru ： ずっと前の項を繰り返す
これらは、ti，ta，tu，ma なども参照しますが、mi や do はそれ自体を繰り返し使えばいいので参照しません。
英語だと3人称として he, she, it, they がありますが、ロジバンでは対応するものは存在せず、その代わりに照応代項詞や後で出てくる字詞などを使います。
he, she, it, they は性や数に依存するので、ロジバンでは好まれないのでしょう。
lo smuci .i lo forca .i la rik. pilno ri xi re ・・・(2-4.2)★’21/11/4
スプーン。フォーク。リックはスプーンを使う。
xi ： 添字造成。数詞の直前に付いてそれを添字(小さな上付/下付文字)扱いにする。XI類
re ： 2．数詞PA1類。-rel-
{ rixire } は機能語3つからなり、「最後から2番目の項」＝lo smuci を意味します。
この場合は、{ rixire } を ra に置き換えても同じ意味です。
lo smuci .i lo forca .i la rik. pilno ra
「最後から3番目の項」であれば、{ rixici } です。
2-5 人称代項詞 mi’o, mi’a, ma’a, do’o
人称代項詞としては、すでに mi と do を紹介済みです。
この2つでほとんど用が足りるのですが、その他の人称代項詞も一応挙げておきます。
すべて代項詞KOhA3類です。
mi’o ： 話し手と聞き手(その他は除く)
mi’a ： 話し手とその他(聞き手を除く)
ma’a ： 話し手と聞き手とその他
do’o ： 聞き手とその他(話し手を除く)
出典：24. 代詞 - はじめてのロジバン第２版 (cogas.github.io)
mi’o～ma’a は「私たち」、do’o は「あなたたち」と訳せますが、すでに説明したように mi が「私たち」、do が「あなたたち」である場合もあります。
2-6 発話代項詞 di’u
do na nelci loi mlatu .i di’u jitfa jufra ・・・ (2-6.1)★’21/10/30
あなたは猫たちが好きではない。今言ったことは嘘だ。
di’u ： 今言ったこと。発話代項詞KOhA2類
後半の命題の述語である { jitfa jufra } のx1(文字列)が di’u で、前半の命題全体を受けています。
.ua nai la’e di’u vajni fi ma ・・・ (2-6.2)★’21/8/5
いったいそれがどう重要なんだろう？
.uanai ： 模索。探している気持ち、物だけでなく事や性質についても。心態詞UI*1類
<- .ua発見
la’e ： ～の指示対象。’sumtiの前に付いてその指示対象を引き出す。限定詞LAhE類
述語 vajni のx1が { la’e di’u }、x2はなくて、x3が { fi ma } です。
la’e がないと、発言内容・意味ではなく、音声・文字列を意味することになります。
発話代項詞KOhA2類には、次のようなものがあります。
di’u 直前の発話、 de’u 前の発話、 da’u さらに前の発話
di’e 次の発話、 de’e 後の発話、 da’e さらに後の発話
dei この発話
2-7 定項代項詞 ko’a と goi
la .alis. goi ko’a klama le zarci .i ko’a cu blanu ・・・ (2-7.1)★’21/10/31
（アリス（それ1とする）は店に行く。それ1は青い。）
アリスは店に行く。アリスは青い。
ko’a ： 項定数その1。goi で割り当てる。代項詞KOhA4類
goi ： 代項詞代入。前後の代項詞と体言を等しいものと置く。GOI類
照応代項詞KOhA5類の ri, ra, ru については、ri は元の体言から遠ざかると使えなくなり、また ra や ru は何を受けているのか必ずしも一意的ではありません。
先に行っても受けるものを変えたくない場合やより多くの体言を受ける場合には、項定数を用います。
項定数は goi で体言に割り当てますが、定項代項詞と体言の順序は前後逆でも構いません。
例文でもし { goi ko’a } がないと、ko’a が「アリス」なのか「その店」なのか不明です。
項定数はKOhA4類で、次の10種類があります。
ko’a それ1，ko’e それ2，ko’i それ3，ko’o それ4，ko’u それ5，
fo’a それ5，fo’e それ6，fo’i それ7，fo’o それ8，fo’u それ9
2-8 再帰代項詞 vo’a
lo’e viska lo jvinu be ru’u lo vo’a zdani cu slabu viska ・・・ (2-8.1)★’21/7/31
普通の目の見える人は、自分の家のあたりの景色を親しみを持って見る。
lo’e ： 典型を表す汎用冠詞。冠詞(客観系)LE類
ru’u ： ～の周囲に/を包囲して。間制詞(空間･方向)FAhA2類
vo’a ： 主述語(bridi)のx1。代項詞KOhA4類
主述語は { cu slabu viska } で、そのx1が { lo’e viska } 「見える人」であり、vo’a は、主述語のx1を表す再帰代項詞なので、 { lo’e viska } を受けています。
再帰代項詞KOhA4類には、次のようなものがあります。
vo’a 主述語のx1、 vo’e 主述語のx2、 vo’i 主述語のx3
vo’o 主述語のx4、 vo’u 主述語のx5
2-9 不特定代項詞 zo’e と不在代項詞 zi’o
ri’a zo’e tolmo’i ・・・ (2-9.1)★’21/8/20
何かのはずみで忘れる。
ri’a ： を原因として。法制詞BAI類
zo’e ： 不特定項。「何らかのもの」。代項詞KOhA7類
zo’e は項の内容は省略するが項の存在・順序だけは示したいときに使います。
なお、zo’e が複数出てきても、それらが同じものを意味するとは限りません。
loi jmive cu se zbasu zi’o loi selci ・・・ (2-9.2)★’21/11/3
生物たちは細胞から作られている。
zi’o ： 不在項。代項詞KOhA7類。-zil-
{ se zbasu } は、x2として「制作主」をとるため、この文で zi’o の代わりに不特定代項詞 zo’e を使うと、「制作主」の存在を仮定することになります。
zi’o を使うことにより、制作主の不在を意味します。
でも普通は制作主はどうでもいいので、 zi’o の代わりに、次の項がx3であることを意味する fi を使いますよね。
2-10 代項詞としての字詞
la salis. te dunda lo tartcita le ctuca ki’u le nu sy. tcetoi gunka ・・・ (2-10.1)★’21/5/24
サリーはとても頑張るので、星印を先生からもらう。
te ： x1とx3の位置を入れ替える。転換SE類
ki’u ： ～という正当な理由で。法制詞BAI類 <- krinu
sy. ： ｓ．字詞BY2類
lo plise cu xamgu lo nu kanro .i ji'a py. kukte ・・・ (2-10.2)★'21/7/4
リンゴは健康に良いし、それに美味しい。
nu ： 出来事を抽象する。抽象詞NU類。-nun-
ji’a ： ～も/だって。追加。心態詞(談話系)UI3b類
py. ： p．字詞BY2類
字詞 (lerfu, 英letteral)が代項詞の役割を果てしている例です。
最初の例文で、sy. はより前の s で始まる名称語{ la salis. } 「サリー」を意味する代項詞の役割を果たしています。
第2の例文で、py. はより前の p で始まる内容語{ lo plise } 「リンゴ」を意味する代項詞の役割を果たしています。
こういうものも使えるのであれば、曖昧な3人称は必要ありませんね。
これまで出てきた代項詞とこの後で出てくる代項詞を合わせて、KOhA何類であるかを整理しておきます。
( ) 内は、この節以外で取り上げている箇所です。
KOhA1類
量化型代項詞 (13-2) da, de, di
KOhA2類
発話代項詞 di’u, de’u, da’u, di’e, de’e, da’e, dei
KOhA3類
人称代項詞 (1) mi, do, (2-5) mi’o, mi’a, ma’a, do’o
命令代項詞 ko
KOhA4類
定項代項詞 ko’a, ko’e, ko’i, ko’o, ko’u,
fo’a, fo’e, fo’i, fo’o, fo’u
再帰代項詞 vo’a, vo’e, vo’i, vo’o, vo’u
KOhA5類
照応代項詞 ri, ra, ru
KOhA6類
指示代項詞 ti, ta, tu
KOhA7類
疑問代項詞 ma
関係代項詞 (7-2) ke’a
不特定代項詞 zo’e
不在代項詞 zi’o
KOhA8類
抽象代項詞(ラムダ) (7-1) ce’u
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