藤井二冠、豊島竜王に初勝利!他 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 目次

  1 豊島竜王に初勝利!

  2 藤井二冠の当面の課題

  3 藤井二冠の対戦成績と負け越している相手

  4 将棋界の4強

 

 

  1 豊島竜王に初勝利!

 

 将棋の話題です。

 昨日2021年1月17日(日)、藤井聡太二冠は朝日杯準々決勝で熱戦を制し、豊島将之竜王に初めて勝利しました。

 豊島竜王に対してはこれまで6戦全敗だっただけに、個人的には朝日杯優勝よりも価値のある快挙だと思います。

 

 これで藤井二冠が複数回戦って1勝もできていない相手はいなくなりました。

 

 朝日杯将棋オープン戦は、朝日新聞社主催、全棋士参加の短時間棋戦。

 持ち時間40分で、持ち時間を使い切った後は1手1分未満で指します。

 一次予選、二次予選、本戦からなり、いずれもトーナメント方式。

 本戦は、16人の棋士により戦われます。

 今期第14回は、前回ベスト4に入ったため、本戦からの登場です。

 

 藤井二冠の朝日杯でのこれまでの成績は次の通り。

 回 年度  登場      成績           

 11 2017 一次予選から 優勝

 12 2018 本戦から    優勝

 13 2019 本戦から    準決勝で千田七段に敗退

 14 2020 本戦から    1/17現在、準決勝進出決定

 

 昨日の対局は次の通り。

 日にち         対戦相手   先後  戦法    手数 勝敗 これまで 

 2021/1/17日午前 大石直嗣七段 後手 先手中飛車 132  〇 3戦全勝

 2021/1/17日午後 豊島将之竜王 後手 角換わり    94  〇 6戦全敗

 (注) 先後と勝敗は、いずれも藤井二冠からみて。

    「これまで」は「これまでの対戦成績」。

 

 次回準決勝は2月11日(祝)で、これまた強敵である渡辺明名人との対局になります。

 ただ、渡辺名人に勝てれば、藤井二冠の優勝はグンと近づきます。

 

 

  2 藤井二冠の当面の課題

 

 藤井二冠の当面の課題として、私が考えていたのは次の4点です。

 

 a.今まで一度も勝てていない豊島竜王に初勝利すること → 今回達成!

 本人はどう思っていたか分かりませんが、ファンとしては悲願達成です。 

 

 b.順位戦B級2組を全勝優勝して昇級すること。現在8連勝中、残り2戦。

 正直言って、私は始まる前からB2全勝優勝は確実だと思っていました。

 問題は、強敵の増える来期のB級1組からです。

 

 c.竜王戦2組で優勝し、さらに同決勝トーナメントでも勝ち進むこと。

 ランキング戦では6組から3組まですべて優勝し、毎期決勝Tに進出していますが、そろそろ竜王のタイトルをとってもよい頃合いかと。

 なお、第34期ランキング戦はまだ始まっていません。

 

 d.苦手としているNHK杯で勝ち進むこと。

 NHK杯は唯一の地上波テレビ棋戦で、最も古くからある短時間棋戦。

 持ち時間10分を使い切った後は、1手30秒未満で指さなければなりません。

 同じ短時間棋戦でも1手1分未満なら強いし、超短時間のアベマトーナメント(現在は準公式棋戦)も強いのですが、NHK杯だけは次のように4年間結果が出せていません。

  1年目 3回戦敗退、2年目 1回戦敗退、3年目 2回戦敗退、4年目 2回戦敗退

 苦手の30秒将棋も克服できれば、文字通り無敵になると思います。

 

 王位、棋聖に続く三冠目以降については、現在の藤井二冠の実力からすれば、結果は自ずからついて来るものでしょう。

 防衛については、豊島竜王以外の挑戦者に番勝負で負け越すことは想像できません。

 やはり欲しいのは竜王と名人であり、bとcに期待したいと思います。

 

 

  3 藤井二冠の対戦成績と負け越している相手

 

 2021年1月17日現在、藤井二冠の対戦成績は次の通りです。

   対局数 勝数 負数 勝率  タイトル     一般棋戦

 通算 246  206  40  0.8374 数 内訳     優勝    

 年度 

 2016  10  10   0  1.000 

 2017  73  61  12  0.8356         朝日杯

 2018  53  45   8  0.8491         朝日杯,新人王

 2019  65  53  12  0.8154         

 2020  45  37   8  0.8222 2期 棋聖,王位 銀河戦       

 暦年 

 2016   1   1   0  1.0000 

 2017  64  54  10  0.8438 

 2018  56  48   8  0.8571          朝日杯,新人王

 2019  59  47  12  0.7966           朝日杯

 2020  63  53  10  0.8413 2期 棋聖,王位 銀河戦

 2021  3   3   0  1.0000                      

 年齢

 14歳  32  31   1  0.9688

 15歳  65  51  14  0.7846          朝日杯

 16歳  60  50  10  0.8333          朝日杯,新人王

 17歳  63  54   9  0.8571 1期 棋聖

 18歳  26  20   6  0.7692 1期 王位     銀河戦

 

 藤井二冠は、2017年度、2018年度、2019年度と3年続けて勝率8割以上でした。

 このような棋士はこれまで他にいません。藤井二冠だけです。

 そして、2020年度も今のところ勝率8割以上をキープしています。

 

 40敗していますが、同じ相手に複数回負けた場合もあるので、負けた相手の人数は28人です。

 28人のうち、複数回対局して藤井二冠からみて負け越している、つまり勝率5割未満の相手は、次の4人だけです。

    棋士名   対局数 負数 勝率  

 1.豊島将之竜王   7  6  0.14

 2.佐々木大地五段  3  2  0.33

 3.大橋貴洸六段   5  3  0.40

 4.久保利明九段   5  3  0.40

 

 大橋貴洸六段のお名前は、「たかひろ」と読みます。

 

 豊島竜王については、次の節で紹介します。

 大地五段と大橋六段については、すでに次の記事で紹介済です。

 藤井聡太七段のライバル | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 将棋のプロ棋士が170人前後いる中で、

 ・ 藤井二冠が一度でも負けたことのある棋士がわずか28人、

 ・ 2回以上戦って負け越している棋士がたったの4人

 というのは、やはり凄いことだと思います。

 

 

  4 将棋界の4強

 

 現在の将棋界で4強と呼ばれるのは、渡辺名人、豊島竜王、藤井二冠、永瀬王座の4人です。

 すでにタイトル保持者となった藤井二冠にとって、ライバルとはまず他の3強だと思います。

 4強の現在のタイトルやレートなどをまとめておきます。

 

 名前   年齢 棋士 四段    タイトル      順位戦     レート

       (歳) 番号 昇段年 延獲得数 現在       竜王戦        

 渡辺明   36 235 2000/4/1 26 名人、棋王、王将 名人  2組  1941(3位)

 豊島将之 30 264 2007/4/1   6 竜王、叡王     A  竜王 1950(2位)

 藤井聡太 18 307 2016/10/1 2 王位、棋聖     B2  2組  1997(1位)

 永瀬拓矢 28 276 2009/10/1 3 王座        B1  1組  1913(4位)

 (注) レートは「将棋連盟棋士別成績一覧(レーティング)」2021/1/17による。

 

 現在、将棋界の8大タイトルは4強が独占しています。

 レーティングの1~4位も4強です。

 ちなみに、レーティングの5位は、永世七冠である羽生善治九段です。

 

 タイトルの序列は、単独では

   竜王・名人・王位・王座・棋王・叡王・王将・棋聖

 の順です。(賞金額で決まっています。)

 竜王と名人は特別で、他の6タイトルとは区別され、竜王あるいは名人が他のタイトルをもっていても、通常、竜王(名人)とだけ呼ばれます。

 他のタイトルは、複数保持しているときは、二冠、三冠等々と呼ばれます。

 竜王と名人は、単独では竜王の方が上ですが、それぞれが複数冠保持しているときは、タイトル数の多い方が上になります。

 竜王と名人の両方を保持している場合には、竜王名人と呼ばれます。

 竜王・名人以外の複数冠保持者よりも、単独の竜王、名人の方が上です。

 竜王・名人以外のタイトル保持者どうしでは、タイトル数の多い方が上になります。

 

 渡辺名人は、2004年に20歳で竜王となって以来、将棋界トップ棋士の一人として羽生世代やそのすぐ下の世代の棋士たちとタイトル戦などを戦ってきました。

 特に、渡辺竜王の時代が長期にわたって続きました。

 ただ、近年将棋界を席巻したコンピュータ活用の動きについていけず、2017年度には竜王を失冠し、順位戦もA級からB級1組に陥落しました。

 しかし、2018年には復調し、2019年度はA級全勝で豊島名人に挑戦、七番勝負を4勝2敗で勝ち越し、見事悲願の名人となりました。

 羽生世代などに衰えが見られる現在、将棋界最強とされる棋士です。

 

 豊島竜王は、数年前まで実力のわりにタイトルがとれず、「無冠の帝王」と呼ばれていました。

 それが、2018年7月に初タイトルとなる棋聖を獲得してからは、次々にタイトルを獲得していきました。

 そして、2020年には史上4人目の竜王名人となって、将棋界の頂点に立ちました。

 ただ、「タイトルは防衛して一人前」と言われるにもかかわらず、獲得はできても防衛はなかなかできず、せっかくの名人も渡辺現名人に譲ってしまいました。

 昨年2020年、ようやく竜王戦七番勝負で羽生九段を下し、タイトル初防衛を果たしました。

 もっぱらコンピュータを使って研究を行っているとされます。

 

 永瀬王座は、何かと話題の多い棋士です。

 「将棋は才能ではなく努力」が持論で、将棋に対する非常に厳しい姿勢から「軍曹」というニックネームがついています。

 研究は、コンピュータを使わず他の棋士と指すことを好みます。

 藤井二冠もその相手の一人であり、二人は仲が良いとされます。

 体力、気力に自信があり、千日手指し直しや持将棋をまったく厭いません。

 対局の際には、バナナを大量に持ち込んで栄養補給します。

 タイトル戦では和服を着用するのが通例ですが、永瀬王座だけは最初和服を着るものの、すぐにスーツに着替えることで有名です。

 順位戦はB級1組で、現在7勝3敗、成績順だと2位です。

 残りの2戦を2勝すれば、A級に昇級できるので、ぜひ上がっていただきたいものです。

 

 

 ★ 今日のロジバン 命題を表す lo du’u ~ kei ku

   le nanmu ku birti lo du’u le plise ku kukte kei

 「レ゚ ンム ク ㇽティ ロ゚ ドゥフ レ゚ ㇷ゚゚セ ク ㇰテ ケイ」

  あの男は、あのリンゴが美味しいと確信している。

 birti : x1は x2(命題)が真であることを 確信している

 kukte : x1は x2にとって 美味しい

 今回の du’u と前回の nu はどちらも日本語の「ということ」、英語の that に相当しますが、nu が出来事を表すのに対して、du’u は命題(真偽が定まる)を表し、信念(「信じる」「推論する」「思う」「疑う」など)の対象となります。抽象詞NU類

 

 もう一つ例文を挙げておきます。

   mi jinvi lo du’u do melbi kei   「ミ ンヴィ ロ゚ ドゥフ ド ㇽ゚ビ ケイ」

  私は、あなたが美しいと思う。

 jinvi : x1は x2(命題)・x3(題目)を x4(根拠)により 真であると考える

 melbi : x1は x2 にとって x3(性質)・x4(基準)において 美しい

 出典は10. 抽象詞(名詞節) - はじめてのロジバン第2版 (cogas.github.io)