藤井聡太七段のライバル | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 初めて書く将棋記事です。

 

 実は、私は3年前藤井聡太七段(段位は今日現在)がデビュー後連勝を続けていた頃からのファンです。

 このブログはもともと天文・宇宙を中心に科学一般までを範囲としており、今年に入ってからは書評に限って「哲学・思想・宗教」まで広げましたが、将棋はどう考えても無関係なので、別のブログを立ち上げようかそれともここで取り上げるか、ずっと迷っていました。

 しかし、いよいよ藤井聡太七段の初タイトル獲得が目前に迫ってきたため、せめてそれより前に最初の記事を掲載しておきたいと思い、本日取り上げた次第です。

 なお、私自身は子どもの頃からときどきは将棋を指しているものの、町道場に通っていた時期でも級位者であり、最近のネット将棋はまったく指したことがありません。

 そういう点では、藤井聡太ブームで一挙に増えた「観る将」に毛が生えた程度です。

 (解説を聞くと大体理解できるので、「毛が生えた」を付け加えておきます。)

 

 藤井将棋の内容解説はすでに他のサイト(複数)やネット動画などで行われており、私もそれらを参考にさせてもらっています。

 そもそも将棋内容を解説できるだけの棋力もありません。

 それに、このブログを以前からご覧の方はご承知でしょうが、速報性のある記事を苦手としています。

 そのため、少し違う角度からの解説を行いたいと思います。

 今回は、藤井聡太七段のライバルを取り上げます。

 

 タイトル99期を誇る羽生さんには、同じ世代のライバルが多数いました。

   森内俊之、佐藤康光、郷田真隆、丸山忠久、藤井猛、村山聖(故人)

 そういう意味では、藤井聡太七段にはライバルがいません。

 デビュー後3年半以上経ってもいまだに最年少棋士であり、同世代の棋士が誕生していないからです。

(★ 9月24日追加。その後、同世代の棋士が誕生し、次の記事を書きました。

伊藤匠新四段誕生ほか:https://ameblo.jp/karaokegurui/entry-12627081452.html

 

 そこで、今回はライバルの範囲を相当拡大し、有望な若手棋士を列挙したいと思います。

 ただ、将棋界で若手といっても、もちろん厳密な定義があるわけではありません。

 ここでは、次の4条件すべてを満たす棋士を若手と呼ぶことにします。

  a.4段昇段から10年以内

  b.30歳未満

  c.タイトル獲得経験なし

  d.順位戦A級経験なし

 もちろん藤井聡太七段自身も、この条件を今日現在は満たします。

 (数日後にはタイトルを獲得して、cの条件で弾かれるかもしれません(^_^)

 私のみるところ、現在活躍中でa~dの条件を満たす棋士は、藤井聡太七段を除いて6人です。

 藤井七段を含む7人について、表の形で整理します。

 

 棋士番号 氏名  段位 生年月日 年齢 四段昇段 順位戦 竜王戦 師匠    

 307 藤井聡太   七段 2002/7/19 17 2016/10/1 B2 3  杉本昌隆八段

 291 千田翔太   七段 1994/4/10 26 2013/4/1  B1  3  森信雄七段

 297 増田康宏   六段 1997/11/4 22 2014/10/1 C1 3  森下卓九段

 303 近藤誠也   七段 1996/7/25 23 2015/10/1 B1 4  所司和晴七段

 306 佐々木大地  五段 1995/5/30 25 2016/4/1  C2  6  深浦康市九段

 308 大橋貴洸   六段 1992/9/22 27 2016/10/1 C2 4  所司和晴七段

 315 本田奎    五段 1997/7/5  22  2018/10/1 C2 6  宮田利男八段

 

 棋士番号 氏名  対局 勝  負  勝率   レート   対藤井七段成績

 307 藤井聡太  212 179  33 0.8443 1983 1位   ――

 291 千田翔太  357 256 101 0.7170 1848 6位  4戦1勝3敗

 297 増田康宏  271 186  85 0.6863 1719 27位  3戦1勝2敗

 303 近藤誠也  223 156  67 0.6995 1745 18位  4戦1勝3敗

 306 佐々木大地 226 160  66 0.7079 1811 9位  3戦2勝1敗

 308 大橋貴洸  178 130  48 0.7303 1742 20位  5戦3勝2敗

 315 本田奎    74  47  27 0.6351 1661 41位  対戦なし

 

 年齢は、今日現在です。

 四段昇段でプロ棋士になります。

 順位戦と竜王ランキング戦の所属は、棋士の強さを表します。

 

 順位戦は名人を目指す戦いであり、A、B1、B2、C1、C2という5つのクラスに分かれて戦って、A級の優勝者が名人戦挑戦者になります。

 C2より下にフリークラスがありますが、フリークラスの棋士は順位戦を戦えません。

 一方、竜王ランキング戦は、1組~6組まであり、全棋士参加(+女流、アマ、奨励会員の枠あり)です。

 一番下の6組からでも、勝ち続ければ竜王になれます。

 

 タイトルとしては竜王の方が名人より賞金が多いことから、竜王が名人より優先されます。

 (現在両方のタイトルをもつ豊島竜王名人の肩書は、竜王が先になります。)

 しかし、順位戦のクラスの方が竜王戦のランキングよりも、

 ・上のクラスほど人数が少ないピラミッド型が顕著であること、

 ・上がりにくく下がりにくいこと

 ・ほぼ一年を通して戦い、一時的に好調であっても、昇級できないこと

 などから、重視されます。

 順位戦A級所属は一流棋士の証しとされ、A級在籍年数はタイトル獲得数と並び棋士の履歴における“勲章”です。

 

 対局数、勝数、負数、勝率は、日本将棋連盟の出している今日現在の公式の数字です。

 いずれも通算です。(別途、各年度の数字もあります。)

 

 勝率が高いほど強いはずですが、順位戦のクラスや竜王戦のランキングが上がっていくと、より強い棋士に当たって勝ちにくくなるため、A級棋士とC級2組棋士が同じ勝率なら前者の方がずっと価値が高いです。

 そのため、チェスなどでも採用されているレーティングという数値も並べています。

 レーティングは、1500から始まり対局の勝ち負けで増減します。

 より強い棋士に勝てばより多く加算され、より弱い棋士に負ければより多く引かれます。

 勝った棋士に加算される点数が負けた棋士から引かれます。

 このため、全棋士の平均は常に1500で一定となります。

 ただし、レーティングは日本将棋連盟公認のものではなく、一定のルールに基づいて複数の方が計算しており、それぞれ微妙に異なりますが、ここでは一番多く見かけるサイトの数値を引用しています。

 (「将棋連盟棋士別成績一覧(レーティング)」というサイトです。)

 

 以下、6人について個別にご紹介します。

 

 千田翔太(しょうた)七段は6人の中では最も先輩であり、順位戦などのクラスや勝率、レーティングのどれをみても、いつタイトルを獲得しても不思議ではない強さです。

 また、コンピュータを使った将棋研究の第一人者です。

 ただし、藤井七段には1勝3敗と負け越しています。

 

 増田康宏六段は、22歳と若く、またプロ棋士になったのも早かったため、西の天才藤井七段に対して東の天才と称されたこともありました。

 「矢倉は終わった」などの率直な発言で注目を集め、また以前は二人ともメガネをしていたためか高見泰地七段と見分けがつかないと言われたこともありました。

 しかし、通算勝率が7割を割るなど最近成績がやや低迷しているように思います。

 藤井七段に対しては、1勝2敗と負け越しています。

 

 近藤誠也(せいや)七段は、これまで順位戦で唯一人藤井聡太七段に勝ったことのある棋士です。

 二人がともにC級1組に在籍していたときで、この敗戦により藤井七段はB級2組への昇級が阻止されました。

翌年度、藤井七段は全勝で>B級2組に昇級しましたが、近藤七段もB級1組に昇級したため、順位戦での再度の対決はしばらくお預けとなりました。

 ただ、その後の竜王ランキング戦では藤井七段がリベンジしており、近藤七段からみて対藤井戦は1勝3敗で負け越しています。

 

 佐々木大地(だいち)五段は、対藤井戦で2勝1敗と勝ち越しています。

 藤井聡太七段と2回以上戦って勝ち越している棋士は、豊島竜王名人、大地五段、久保九段、次に出てくる大橋六段のわずか4人しかいません。

 師匠は同じ長崎県出身の深浦康市九段です。

 大地五段は勝率もレーティングも高く、間違いなく強い若手なのですが、これまでのところ順位戦C級2組、竜王ランキング戦6組とまったく昇級できていないのが不思議でありまた残念なところです。

 

 大橋貴洸(たかひろ)六段は、藤井七段とプロ入りが同期であり、おしゃれな棋士として有名です。

 藤井七段に対して、3勝2敗と勝ち越している強敵です。

 ただ、プロ入りが遅かったせいで27歳と6人の中で一番年がいっています。

 同じ27歳にすでに永瀬二冠というタイトルホルダーがいることを考えると、タイトル獲得やA級昇級はなかなか厳しいかもしれません。

 そうはいっても、木村一基王位のように40代でタイトルを取る棋士もいるので、今後も藤井七段のよきライバルとなることが期待されます。

 

 本田奎(けい)五段は、増田六段と同じ22歳ですが、プロ入りは一昨年の10月と遅れました。

 しかし、参加初年度にタイトル戦(棋王戦)挑戦者になるという史上初の快挙を成し遂げて、一躍有名になりました。

 結果は、惜しくも敗退したものの、絶好調の渡辺三冠に1勝しています。

 ただ、強い相手に勝つことがある代わりに弱い相手に負けることもあって、通算勝率は0.635と6人の中では最低です。

 本田五段は、藤井七段のたった半年間の三段リーグ時代に、当時の藤井三段と戦って勝った5人のうちの1人ですが、両者がプロになってからは当たったことはなく、早く対戦を見たいものです。

 

 なお、将棋のプロ棋士は約160人いる中で、藤井七段に勝ったことのある棋士はわずか23人しかいません。

ですから、藤井七段に負け越している3人も、1勝できているだけでも凄いといえます。

 

 藤井七段+6人のうち昨年度2019年度の対局結果ランキングの上位20位までに含まれている棋士は、次の通りです。

 a.対局数

  1位佐々木大地67、2位藤井聡太65、同率3位本田奎58、5位増田康宏57、8位大橋貴洸、

 16位千田翔太45

 b.勝数

  1位藤井聡太53、2位佐々木大地45、6位大橋貴洸38、7位増田康宏37、

 同率7位本田奎37、12位千田翔太31

 c.勝率

  1位藤井聡太0.815、4位大橋貴洸0.731、8位千田翔太0.689、12位佐々木大地0.672、

 16位増田康宏0.649、20位本田奎0.638

 (連勝記録は略)

 

 近藤七段を除く5人は、藤井七段と同様に対局結果ランキングに顔を出していることが分かります。

 

今後もこの6人の動向にも注目していきたいと思います。