最遠クエーサー発見 | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 ・観測史上最も遠いクエーサーを発見

 アストロアーツ1月18日付記事、元はアルマです。

 観測史上最も遠いクエーサーを発見 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>ビッグバンからわずか6億7000万年後の宇宙に存在する、観測史上最遠のクエーサーが見つかった。太陽の約16億倍の超大質量ブラックホールが存在するとみられる。

 

 >今回発見されたクエーサー「J0313-1806」はエリダヌス座の方向にあり、赤方偏移の値がz=7.642と測定されている。これは、光路距離(天体から出た光が地球に届くまでの間に旅した距離)に直すと約131億光年となる。つまり、宇宙が誕生してから約6億7000万年しか経っていない時代にこのクエーサーは存在している。これは、2018年に発見された「J1342+0928」(z=7.54) の記録を更新し、クエーサーとしては観測史上最遠となる。

 

 エリダヌス座(Eridanus)は、南天にあるトレミーの48星座の一つで、神話ではパエトンが落ちて死んだ川とされます。

 冬の星座で、オリオン座のリゲルの右側から始まって、蛇行しながら延々と南に流れ、最後は1等星のα星アケルナル(Achernar)にたどり着く、全天で6番目に大きい星座です。

 アケルナルは、りゅうこつ座のカノープスよりさらに少しだけ南にあるため、東京あたりの緯度では残念ながら見えません。

 

 赤方偏移とは、観測対象からの光(電磁波)のスペクトルが長波長側(可視光では赤に近い方)にずれる現象のことです。

 波長λのスペクトルがΔλだけずれている場合、赤方偏移は

   z = Δλ/λ で表されます。

 天文学で現れる赤方偏移には、ドップラー効果によるものと宇宙膨張によるものとがあり、ここでは後者です。

 

 >J0313-1806を発見したのは、米・アリゾナ大学のFeige Wangさんを中心とする研究チームだ。今回のクエーサーはzが7.5を超えるものとしては史上3個目となるが、第2位のJ1342+0928や第3位の「J1007+2125」(通称「ポニウアーエナ」、z=7.52)もWangさんたちが発見したものだ。

 

 さしずめクエーサーハンターですね。

 

 >Wangさんたちは、過去に様々な望遠鏡で行われた可視光線・赤外線での大規模サーベイ観測のデータを使い、可視光線では見えないが赤外線では見える天体を探した。これによってJ0313-1806は超遠方のクエーサー候補としてピックアップされ、チリのジェミニ南望遠鏡の観測で確かにクエーサーであることが確認された。その後、米・ハワイのジェミニ北望遠鏡やケック望遠鏡の分光観測、さらにチリのアルマ望遠鏡を使った電波観測によって、このクエーサーの赤方偏移が正確に求められ、中心にある超大質量ブラックホールの質量が太陽の約16億倍であることも判明した。このブラックホールは、2番目に遠いJ1342+0928の中心ブラックホールより約2倍も重い。

 

 宇宙論的遠方に存在する天体のスペクトルは、赤方偏移が大きいため、「可視光線では見えないが赤外線では見える天体を探」すことで、発見できるわけです。

 銀河中心に存在する巨大ブラックホールの質量は、太陽質量の約100万倍~約100億倍の範囲に含まれます。

 たとえば、わが銀河系の中心に存在する巨大ブラックホールの質量は、太陽の約400万倍です。

 太陽質量の約16億倍というのは、巨大ブラックホールの中でも重い方です。

 

 >今回の発見は、宇宙の初期に超大質量ブラックホールがどうやってできたかを考える上でかなり重要な情報になる。現在考えられている巨大ブラックホールの成長モデルから見積もると、宇宙誕生から6億7000万年後に16億太陽質量のブラックホールが存在するためには、宇宙誕生から約1億年経った時点で1万太陽質量ほどのブラックホール(巨大ブラックホールの種)ができていなければならないという。

 

 ブラックホールについても、「小さく生まれて大きく育つ」のが自然に思えます。

 そのためには、宇宙誕生からわずか1億年後に1万太陽質量のブラックホールが存在していなければならないというのです。

 

 >一方、超大質量ブラックホールができるメカニズムとしては、巨大な恒星の超新星爆発でできたブラックホール同士が合体して生まれるという説や、大規模な星団が重力でつぶれて一気に超大質量ブラックホールになるという説などがあるが、いずれのモデルでも、今回のJ0313-1806の種となるブラックホールを初期宇宙で作り出すのはむずかしい。

 

 紹介されているのは、次の2つの説です。

 ・巨大な恒星の超新星爆発でできたブラックホール同士が合体して生まれるという説

 ・大規模な星団が重力でつぶれて一気に超大質量ブラックホールになるという説

 いずれも、いったん多数の恒星が誕生する段階を経由しています。

 ただ、これらの方法では1億年で1万太陽質量のブラックホールを形成することはできないということです。

 素人考えでは、超新星爆発は非球対称なので、もしそうだとするとあちこちに飛び散ってしまい合体できないはずです。

 

 >「今回の結果は、ブラックホールの種がこれらの説とは別のメカニズムで作られたことを示しています。宇宙のはじめから存在していた大量の低温水素ガスの雲がつぶれることで、ブラックホールの種を直接作り出したのかもしれません」(アリゾナ大学 Xiaohui Fanさん)。

 

 現在の宇宙では、たとえ「大量の低温水素ガスの雲」が存在していても、収縮過程で分裂して多数の星が誕生するだけです。

 しかし、初期宇宙では水素、ヘリウム以外の重元素が存在していない、あるいは極めて少なかったために、収縮に伴って発生する熱をうまく放出できません。

 そのために分裂しないで一つの巨大な塊のまま収縮を続けて一挙に1万太陽質量に近いブラックホールが誕生した可能性があるというのです。

 

 >また、アルマ望遠鏡の観測から、J0313-1806を含む銀河(母銀河)が天の川銀河の200倍という非常に速いペースで星形成を行っていることや、中心ブラックホールが太陽25個分の物質を毎年飲み込んでいること、銀河中心部から電離ガスが光速の20%もの速さで噴き出していることもわかった。このため、この母銀河ではいずれ星の材料となるガスが尽きて星形成が止まると考えられる。

 

 次の3点が示されています。まさに活動銀河ですね。

 ・銀河系の200倍の速度で星形成を行っている

 ・中心ブラックホールが1年に太陽25個分の物質を飲み込んでいる

 ・銀河中心部から電離ガスが光速の20%もの速さで噴き出している

 ちなみに、現在の銀河系は、年に1~2個程度の星を形成していると考えられています。

 

 「星の材料となるガスが尽きて星形成が止まる」のであれば、この銀河はいずれ楕円銀河に進化すると考えられます。

 

 >超大質量ブラックホールの激しい活動のために星形成が止まってしまった銀河は、後の時代の宇宙では数多く観測されているが、同じことがどのくらい昔の銀河まで起こっていたかについてはわかっていなかった。今回のクエーサーは、この現象がきわめて初期の宇宙でも起こっていた可能性を示唆するものだ。

 

 銀河進化論では、かなり早い段階から大きい楕円銀河が存在することが謎の一つとされます。

 もっと後であれば、銀河どうしの衝突合体により星の材料となるガスが枯渇して楕円銀河が形成されることは分かっているのですが、宇宙初期ではそれは考えにくいからです。

 今回の研究は、銀河どうしの衝突合体なしに楕円銀河が誕生する道筋を示しているように思います。

 

 >「今回の例は、超大質量ブラックホールが母銀河にどう影響を与えるかを示す証拠としては最も早い時代のものです。もっと近い銀河の観測から中心ブラックホールが銀河に影響を与えることは知られていましたが、宇宙の歴史の中でこれほど早い時期に起こっているのをとらえたのは初めてです」(Wangさん)。

 

 巨大銀河とその母銀河の共進化を探ることは、現在の天文学の最重要課題の一つです。

 重要な研究成果だと思います。

 

 

 ★ 今日は二十四節気の大寒です。今日はまだ寒いですが、天気予報では明日からこの時期としては暖かい日が続くようです。

 コロナの感染者数、重症者数、死者数が増え続けているのが気がかりです。暖かくなれば、それも少しは改善されることを期待したいです。

 

 

 ★★ 今日のロジバン 明日 ca lo bavlamdei

   mi ctuca do fo lo lojbo ca lo bavlamdei

 「ミ ㇱトゥシャ ド フォ ロ゚ ゚ジボ シャ ロ゚ バヴ゚ㇺデイ」

  私はあなたにロジバンを明日教える。

 ctuca : x1は x2(生徒/門下生)に x3(命題)・x4(題目)を x5(方法)で 教える

 ca : 項の左に付き、その項と同時点で、述語が起こっていることを表す。間制詞PU類

 bavlamdei : x1は x2の 次の日である ; x1は 明日である

 

 bavlamdei は3つの語根から構成される合成語です。

 bav <- balvi : 未来/後発である,x1は x2よりも ; x1は 後者;x2は 前者

 lam <- lamji : 隣接する,x1は x2に x3(並列特性)・x4(並列方向)で ; x1 は x2の隣

 dei <- djedi : x1は x2(数)・x3(基準)の 満日である

 

 「昨日」は ca lo prulamdei 「シャ ロ゚ ㇷ゚ル゚ㇺデイ」です。

 prulamdei : 昨日である,x1は

 pru <- purci : 以前/過去である,x1は x2(時点)より; x1は 先人

 

 「今日」は、ca lo cabdei 「シャ ロ゚ シャブデイ」です。

cabdei :同日である, x1は x2(日)と x3(基準)で ; 今日/本日である,x1は

cab <- cabna : 同時だ,x1は x2と; 現在/今だ,x1は