超準解析入門の入門1:https://ameblo.jp/karaokegurui/entry-12538313977.html
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1 数列としての超準自然数(承前)
一般に、有限個の項だけが異なる2つの数列は等しいものとします。
難しく言えば、自然数の数列全体のつくる集合を「有限個の項を除き対応する項どうしが等しい」という同値関係で割って商集合をつくるわけです。
こうしてできた集合の元を超準自然数と呼ぶことにし、数列sの属す同値類である超準自然数を [s] と記すことにします。
この定義が整合的(well-defined)であることを確認しておきます。
a,b,c を数列として、[a]=[b],[b]=[c] が成り立てば、数列aとbは有限個の項を除き一致し、数列bとcも有限個の項を除き一致します。
したがって、数列aとcも有限個の項を除き一致することが分かります。
自然数では加法と乗法が成り立つのが特徴です。
(このような代数系を半環(semi-ring, rig)といいます。rig というのは、環 ring から負数(negative)を取り除いたものという意味です。)
超準自然数でも、加法は各項ごとに加法を行い、乗法は各項ごとに乗法を行うとして、それが整合的であるかどうかを確認しましょう。
[a1]=[a2],[b1]=[b2] であれば、数列a1とa2で異なる項は有限個であり、数列b1とb2も異なる項は有限個です。
このとき、数列 a1+b1 と a2+b2 で異なる項も有限個しかないので、[a1]+[b1]=[a2]+[b2] が成り立ちます。
[a1]・[b1]=[a2]・[b2] についても同様です。
最後に、不等号についても、数列aと数列bについて項ごとに比較して、有限個の項を除きaよりbの方が大きいときに、a<bとします。
推移律だけ確認しておきます。
[a]<[b],[b]<[c] が成り立つとすると、数列aと数列bの各項を比較して、有限個の項を除き、bの方が大きく、数列bとcの各項別比較では有限個の項を除き、cの方が大きいので、数列aとcの各項別比較でも有限個の項を除き、cの方が大きいことが分かります。
したがって、[a]<[c] が成り立ちます。
というわけで、一応超準自然数なるものができました。
この超準自然数には、有限の標準自然数(に対応するもの)と無限大自然数が存在するはずです。
逆に言えば、それ以外のものが存在しては困るわけですが、実はこのやり方はいい加減で、よく考えるとうまくいきません。
その点は後でみていくとして、とりあえずは無限大の様子を調べることにします。
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