惑星と褐色矮星の境界 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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・若い構成の集団中に、惑星質量の孤独な星
アストロアーツ4月21日付記事、元はNASA JPLです。
http://www.astroarts.co.jp/news/2016/04/21wisea1147/index-j.shtml

概要>若い恒星の集団「うみへび座TWアソシエーション」で、惑星質量の天体が発見された。どうやら、その正体は褐色矮星であるようだ。

褐色矮星とは、質量が小さいために中心部が燃焼(核融合)を開始する温度まで達しなかった、星の出来損ないのこと。

>天の川銀河は、どうやら宇宙空間に浮かぶ孤独な惑星であふれているらしいという研究成果が5年前に発表された。暗闇の宇宙で、仲間となる他の惑星を持たず、まして中心星も存在せず、ただ静かにたたずむ惑星の数が、他の天体より多いのかもしれないという。
>もしこれが本当だとすれば、そのような浮遊天体はどこから来たのだろう。自らが誕生した太陽系から追い出された惑星なのか、それとも実際には他の恒星と同じように単独で生まれた、軽い天体である「褐色矮星」なのだろうか。

私は、これまで褐色矮星と惑星の違いは質量だと思っていました。
質量が木星の13倍程度より大きいのが褐色矮星、小さいのが惑星だと。
しかし、これを読むと、他の星(恒星)の周囲で誕生したのが惑星、単独で誕生したのが褐色矮星ということのようです。
そこでwikiをみると、
wiki>最近では、他の主系列星の周囲に形成される原始惑星系円盤から誕生したものでなく、主系列星と同様に星雲から直接誕生するものが(真の)褐色矮星とされている。
とあります。
どうやら認識を改めなければいけないようですね。

>米・トレド大学のAdam Schneiderさんたちの研究グループは、NASAの赤外線天文衛星「WISE」(現・NEOWISE)と2μm全天観測(Two-Micron All Sky Survey; 2MASS)プロジェクトのデータを利用した研究から、これらの疑問を紐解く手がかりとなる天体を発見した。
>研究グループが見つけたのは、地球から約160光年の距離に位置する30個ほどの恒星の集団「うみへび座TWアソシエーション」の中に存在する、木星の5~10倍と非常に軽い浮遊天体「WISEA J114724.10-204021.3(WISEA 1147)」だ。こうした浮遊天体の存在はわずかしか知られていない。

アソシエーションというのはあまり耳慣れませんが、
Wiki>アソシエーション(A stellar association)は、同じ起源を持ち、重力的な束縛からは解放されているが、未だ宇宙空間を共に移動している恒星で構成される、非常に緩やかな散開星団である。同じアソシエーションに属する星であるか否かは、移動方向と星の年齢によって識別される。
ということです。
この定義を読むかぎり、アソシエーションとは散開星団の末期の姿で、さらに時間が経過すると、バラバラの星々になってしまう、逆にどんな散開星団も時間の経過とともに必ずアソシエーションになる、と理解したのですが、その理解でよいのかどうかは不明です。

「木星の5~10倍」であれば、質量だけから判断すれば当然惑星に分類されるはずですし、概要でも「惑星質量の天体」と書いていますが、起源も合わせて考えると、後でみるように必ずしもそうはならないようですね。

>うみへび座TWアソシエーションの星々の年齢は、500万歳から1000万歳ととても若く、そのためWISEA 1147も約1000万歳と考えられる。一方、惑星が形成されるには少なくとも1000万年を要し、その惑星が誕生した生まれ故郷から追い出されるのはさらに後のことだろうと考えると、WISEA 1147は惑星ではなく褐色矮星と考えられる。

単独で誕生したのが褐色矮星、恒星系の一部として誕生したのが惑星であり、後者が恒星系の外に追い出されても起源からいって惑星のままということです。
そして、今回問題の天体は単独で誕生したから褐色矮星なのだと。

>無数に存在するとみられる孤独な浮遊天体のうち、褐色矮星と惑星の割合がどうなっているのかは全く不明だ。その割合を解明するためには、WISEA 1147のような天体を調べ誕生の起源に迫ることが重要になってくる。

褐色矮星と惑星の割合を解明することが目標のようですが、起源が異なると天体の物理的性質がどう異なるのか分からず、それを解明することが重要なのかどうかも判断できません。
まあ、私の勉強不足のせいでしょうけど。