最近の宇宙関係ニュースから | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

1.あかつきの今後
新年早々、読売と朝日にあかつきの今後に関する異なる記事が載っています。

読売新聞1月5日付記事。
・「あかつき」1年早く金星軌道へ再投入も
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110105-OYT1T00488.htm
>金星の周回軌道投入に失敗した探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構が再投入を1年前倒しし、2015年12月ごろに行う計画を検討していることが分かった。
>現段階では再投入は16年12月~17年1月の予定だが、再投入の際にエンジン負担が少ない前倒し計画も視野に入れるという。
>燃料系の配管の詰まりにより、エンジンの噴射口が破損した可能性があり、推進力が低下。このため、あかつきを前もって減速させておき、5年後に金星が追いつくのを待つという方法を検討している。

朝日新聞1月4日付記事。
・あかつき、寄り道を検討 金星再挑戦までに小惑星観測
http://www.asahi.com/science/update/0103/TKY201101030294.html
>金星を回る軌道に入れなかった探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構が、現在の軌道を微修正して金星周辺の小惑星も観測させる方向で検討していることがわかった。金星の周回軌道投入に再挑戦するのは6年後で、技術的にも燃料の残存量からみてもギリギリ。その間を有効に活用する道を探ることにした。地球の軌道より太陽に近い軌道の小惑星は、主な探査機による観測記録がなく、観測できれば貴重なデータになる。

どちらもそういう検討が行われているということなので、どちらが正しいというものではありませんが、ファンとしてはやはり本来の目的である金星探査を行ってほしいとものです。


2.超巨大ブラックホールが爆発的な活動を起こす頻度は?
アストロアーツ12月27日付記事です。http://www.astroarts.co.jp/news/2010/12/27blackhole/index-j.shtml

>NASAのX線観測衛星チャンドラによる観測で、過去数十億年に最大級のブラックホールがどのくらい活発であったかを示す情報が得られた。この発見は、超巨大ブラックホールがどのように成長するのかを明らかにし、天の川銀河の中心に潜む巨大なブラックホールが将来どのように進化するのかについても示唆を与えるものとなった。

明らかになったのは、
>天の川銀河と同規模の銀河の中心にある巨大ブラックホールのうち、活動のピークにあるものはたったの1パーセントにすぎない
ということです。

>チャンドラのX線画像をSDSSの可視光画像と重ね合わせ、約10万もの銀河が分析された。そのうち1600個がX線で明るく輝き、活動銀河核を擁するとみられている。
>Haggard氏らの研究の結果、銀河の質量と活動銀河核を含む割合が比例するということ、そして、宇宙の始まりから時間が経過するほど活動銀河核の割合が少しずつ減少していることがわかった。こういった研究は、銀河のお隣り同士の影響についても理解を深める。散在銀河(銀河団や銀河群に属さない銀河)でも銀河団の銀河でも、活動銀河核を持つ割合に違いは見られないからだ。

銀河とブラックホールの共進化についての理解が深まりそうですね。


3.すばる望遠鏡、大きく傾いた軌道をもつ惑星系を次々に発見
これもアストロアーツの12月21日付発表。
http://www.astroarts.co.jp/news/2010/12/21subaru_exoplanet/index-j.shtml
>すばる望遠鏡による観測で、公転軌道が大きく傾いた系外惑星が2つ発見された。木星より小さい海王星サイズでのこのような発見は世界初のことで、中心星に極端に近い巨大ガス惑星の来し方を探るうえではずみとなることが期待される。

公転軌道が傾いているというのは、母恒星の自転軸に対してです。

元はすばる望遠鏡の12月20日付発表。
http://www.naoj.org/Pressrelease/2010/12/20/j_index.html
これをみると、アストロアーツで挙げられている原因に関する三つの仮説は、上から順に「惑星落下モデル」、「惑星散乱モデル」、「古在移動モデル」という名前が付いていることが分かります。
でも、惑星散乱モデルと古在移動モデルの違いがよく分かりません(^^;

今回の発見は「ロシター効果」の観測によるもの。
>ロシター効果とは、恒星の前を惑星が通過するような系において、食がおこっている最中に見かけ上恒星の視線方向の速度が変化する現象
とありますが、なんだか分かりづらいので、私の解説。
下の方の図解をご覧いただきたいのですが、恒星表面は自転によりその半分(青)は地球に近づき、残り半分(赤)は地球から遠ざかっています。
ドップラー効果によりそれぞれ青方偏移、赤方偏移があるため、その前を惑星が通過(トランジット)すると、通過した部分のドップラー効果が弱まることが観測されるということのようです。


4.カナダの10歳少女が超新星発見、史上最年少
CNNの1月5日付記事から。
http://www.cnn.co.jp/world/30001403.html
>カナダの10歳の少女が冬休みの間に超新星を発見した。カナダ王立天文学会によると、超新星の発見では史上最年少記録となる。
>発見者はニューブランズウィック州に住むキャサリン・オーロラ・グレイさん。ノバスコシア州のアマチュア天文家デービッド・レーンさんが12月31日に望遠鏡で撮影した画像の中から3日、恒星が爆発してできる超新星を発見し、「超新星2010lt」と命名した。

発見者の顔写真などは朝日をご覧ください。
http://www.asahi.com/science/update/0104/TKY201101040386.html

小学校4年かな。頼もしい限りです(^_^