演劇人生 -203ページ目

演劇人生

今日を生きる!

昨日、友人が主宰する劇団の公演劇場をのぞいた。

今日が千秋楽なので昨日見られればと思っていたのだが、

突発的な急用が生じて帰ってこなければならなかった。


舞台の袖に行った時、

「そこで、殺して!」

何とも物騒なことばが飛んだ。

男二人がロープの両端を持ち合っていた。

その一方の男が、相手に言った言葉だった。

言われた若い男は、

「はい」

・・・と生返事をしてうろたえていた。

「早く殺せよ!」

二度目の指図に、

「どうやってですか?」

「結んで、締め付ければいいじゃないか」


「殺す」とは、

動かないように止めることをいうのだが、

新人かと思うが、若い彼には分からなかったのだろう。


締め方もイボ結びにしていたので、教えてやった。

「殺せと言われてどうするか気になったよ」

「すみません。知らないもので」

「誰でも最初はそうさ。分からなければ聞かないと駄目だよ。

 演劇界には専門用語が多いからね」

彼は素直に「はい、わかりました」と応えた。


舞台にのせて何かやらせるには一定の教育が必要だ。


今は押しも押されもせぬ大俳優だが若い頃、

「このセリフはわらって下さい」

と言われて、

ゲラゲラ笑いながらしゃべったという逸話がある。

「わらう」とはカット(削除)することだ。


最初はこんなものである。


あの若者が、「殺せ」と言われて、

僕に襲い掛かるとは思わないが、

何かコトが起きた時にどうするかだ。


知らない人以上に、

教えないまま仕事をさせている人間に責任があるといえないだろうか。


「殺せッ!」

物騒な言い方である。むっ

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本文はここから

山形に生まれ育ったぼくは、
さくらんぼやりんご、ぶどう、洋梨(ラ・フランス)、
まくわ瓜、すいか等は見慣れ、食べなれた果物・・・
いや、さくらんぼやりんごは、
お店に並ぶ果物とは思っていなかったかもしれない。

埼玉に転居してきて、
果物屋の店先にりんごが並んでいるのを見て驚いたことがある。
「へェ・・・りんごを売っているよ」
と思ったものだ。
山形では、食べ放題の「猫またぎ」ならぬ「ガキまたぎ」だったからだ。

さくらんぼ(当時の品種は今とは比べ物にならない貧弱なものだった)にいたっては、
お腹がすいている子どももイヤイヤ食べていたようなシロモノだったので、
東京の一流果実店の千疋屋などに恭しく並んでいるのを見たとき、唖然とした。

僕が美味しさにビックリしたのが「桑の実」だった。
果実店どころか八百屋にも並ばない果物(・・・と言えないのか?)だ。
熟した桑の実を食べると、
口の中が紫に染まり、2~3時間は落ちないので、
食べたかどうか一目瞭然になる。

山形でも食べたのかもしれないが、
埼玉に来て初めて、大きな房に出会ってビックリした。
その内、絹の生産はすたれ、桑畑が(なくなるに従い、
桑の実をも見なくなってしまっていた。

ある夜、
その桑の実を摘んでいる夢を見た。
「どうして今ごろ・・・」
と思いながら、いつの間にやら忘れていた。

・・・と、その夕方、演劇の稽古のために通る千駄ヶ谷小学校の横を通ると、
あの懐かしい桑の実がぶら下がっているではないか・・・音譜

「Oh! 桑の実だ! 夢が教えてくれたんだビックリマーク

誰かに見られているかも考えずに手を伸ばした。
食べてみると・・・不味いッ!
むっ
のっぺりした甘さで、
むかし食べた味わいには程遠いものだった。
「これは不味い実だ」
・・・と思ったが、
これがもともとの味だったのかもしれない・・・と思い直した。

りんごも梨も、さくらんぼもすいかも桃も・・・
全ての果物は年年歳歳改良を重ねられ糖度が増し、
見栄えも良くなり、味もよくなっているのだと思う。

数十年前に食べていた果物のほとんどは原型に近かったのかも知れない。
つまり、千駄ヶ谷小学校近くにある桑の実は、
何ひとつ改良されることなく、むかしのままの味で、
営々と原形を保ち続けてこんにちに至っていたのだと思う。

私たちの味覚も、
今のソレに慣れ切ってしまい、
かつての甘味も、美味しさも感じ得ない舌になっているのだろう・・・・

こんなことを思うと、
以前はちょっとしたものにも大きな喜びや感動を味わっていたのではないだろうか・・・
こんなことを感じながら、
美味しいものが何でもある今の時代は、
果たして、本当に幸せなのだろうか・・・・
こんなことを感じてしまいました。!?

悪魔との契約が成立する・・・

魂を抜き取るのに、悪魔はどのような手をつかうか聞いてみたい。


中華屋のアルバイトの女性もよくよく考えたに違いない。

悪魔の弟子になれば、少なくても悪魔にとっては身内になる。


あんな風に、にっこり笑顔を向けられれば、

如何な悪魔といえども嫌な気持ちはしないだろう。


だが、「いい玉だ」と言っていた。

・・・ということは、

弟子になるということが決していい策だとは言えないのかもしれない。


・・・しまった。こうして心に思うこと全ては悪魔にお見通しなんだろうか・・・?

「・・・だから、全てというわけには行きませんって、さっき言ったじゃありませんか」

「何だ・・・でも読んでいたんだ、ぼくの考えを」

「ふふふ・・・と言っても、どんな優れた悪魔にも全部は読みきれないんですよ。

 あなたはゲーテの『ファースト』を読みましたね。

 あれに出てくるメフィストフェレスはわたしだと言ったが、

 ゲーテはわたしから聞けるだけの話を聞いて、

 我輩の魂は我輩と読者のものだから、悪魔に渡す魂はないってね・・・」

そっけなく断わられてしまったというのだ。

悪魔は苦々しそうに唇を歪めた。

「ゲーテの奴は、我輩を出し抜きやがった。

 聞けるだけの話を聞いて、本にして儲けるなんてたいした玉だった」

この話には感動した。

さすがゲーテだと思えたのである。

だが、ここでもまた玉が出てきた・・・


「で、そうして断わった人は他にもいますか?」

「恐ろしくなって断わってきた連中は五万といるさ」

「ゲーテのような断わり方をした人って?」

「アイデンティティーなかァ、その人の」

「アイデンティティー?!」

「いや、テクニックかなァ」

「はァ・・・?!」

悪魔はたくみに話をすり返えた。(・・・ように感じた)

「テクニックといえば、今度の自民党の総裁選挙にも策士がいる」

「えッ?」

「麻生に決まっているのに、小池や伸ちゃん、石ちゃん、ヨサコイまで顔を出している」

「伸ちゃん?」

「慎ちゃんの息子さ」

「石ちゃんは石破で、ヨサコイじゃないでしょう、与謝野でしょう」

「あっちの世界では、そう言われている」

「で、策士というのは・・・?」

「言わずともがな、森と青木さ」

「はァ・・・?」

「君は政治に関心がなさそうだな」

「いや、ありますよ。・・・・でも我々国民は無力に過ぎる」

「ほう!・・・だったら悪魔のパワーを使って、君が総理大臣になったらどうだね」

「へえ、そんなことも・・・」

「出来るさ、魂と引き換えだったら、なんでも実現させるさ」

「じゃ、いままで・・・」

「安倍や福田も総理になったじゃないか」

「えッ、あれも悪魔の仕業ですか。途中で放り出したのも・・・」

「ははは、それは想像に任せるがね。今度の選挙も悪魔がらみか・・と思うだろう?」

「・・・やはりそうですか」

「ははは・・・想像にまかるって言ったでしょう」

「じゃ、彼等とも契約を結んでいるんですか?」

「ははは・・・どう思うかね?」


こんな話を聞きながら、悪魔の裏をかくことの難しさを噛み締め始めていた。

むっあせる

【続く】

劇団の仕事には根気が必要だ。

あきらめない粘り強さかもしれない。

どんな人が来ても、

俳優や女優になれないとは言わない。

必ずなれる。

これまで、

「見込みないですよ。やめましょう」とか、

「バカに教えるのは疲れるだけです」

・・・様々に言われてきた。

人間である限り大丈夫・・・そういって、役につけ、人前に出してきた。

「もう駄目だ」

そう思うことは、芝居そのものの出来の問題だ。

だが、最後まで負けたくない。

人間には敗北はない。

敗北するようには作られていないということを信じている。

実際に「駄目だ!負けだ!」・・・と思いたいことはあった。

でも、「まだ1時間あるじゃないか・・・1分ある」と思って今日までやってきた。

破滅することはあっても、敗北はない・・・

だから、どんなことがあっても、あきらめない!

劇団は窮地にあるが、

あきらめない。

「モヒカンとは古めかしいな」

すると、悪魔は低く笑いながら、

「ジープのネーミングにチェロキーというのあるだろう?」

「あれと何の関係があるんですか?」

「ほう、ご存知で?」

「ネイティブアメリカン」

「で?」

「アメリカ大陸にヨーロッパから白人が入る前からいた先住民」

「ほう、詳しいじゃないか。

彼等を早くから白人と手を結ぶように仕向けたのが

誰か知っているかい?」

「へぇ、それ・・・悪魔の仕業?」

「そのおかげで、エルビス・プレスリーやバート・レイノルズ、

ジョニー・ディップなど、

チェロキーの血の入っている有名な連中が出てきたんだ」

関係のない話に聞こえたが、

悪魔にとってはそれなりの理由があるのだろう。

何だかんだ聞くのも芸がなさ過ぎる・・・なとと思った。

「そんなことは考える必要はない。

聞きたいことは何でも聞いていいんだよ」

ひゃあ、「こいつは心の中まで読んでいる」そう思った途端、

「それほど詳しくは読めないさ」・・・と来た。

「こいつの前では、もう考えるのはよそう」と思った途端、

「そりゃ無理だよ。君みたいなおしゃべりには」と来た。

ぼくは話を変えた・・・というより戻した。

「でもまさかハリウッドスターの彼等の、

死後の魂を手に入れちゃいないでしょう?」

「どう思うかね。・・・だが、これだけは答えられない」

「へえ・・・悪魔でも言えないことがあるんだ。言うとどうなるの?」

「これまで溜め込んできた人間の魂を

過剰債務と併せて返却しなければならない」

「サラ金みたいだな」

「それも私の仕業だよ」

「え、どうして?・・・悪魔って悪いことをするんだろう?

過剰債務に苦しむ人を作るのならわかるが・・・」

「単純だなァ。パチンコや花札、パチンコや競輪、競馬、

ピンサロで浪費した連中を救って、また遊ばせるためさ。

失敗を重ねるたびに根性が悪くなるし、耐える力が弱まるんだ。

わたしの求めに直ぐ乗っかる人間がどんどん増えている。

日本国内だけで1千万人の魂がわたしの手の内に落ちているんだよ。

・・・えっ、その魂を何処にしまってあるかって?

日中韓合わせて、日本銀行の大金庫に2千万、

一番溜め込んであるのは・・・」

「スイスの銀行でしょう!」

「安易だなァ。アジスアベバシェラトンホテルの金庫と

イギリスのロスチャイルドの金庫だ」

「へえ、妙なところへ・・・腹が減った。他で話しませんか?」

「いいねいいね、中華そば3百何十円とか書いてあった店に行きましょう、

ご馳走するよ」

「しけた所ですね。悪魔でしょう?

赤坂の料亭でもいいんでしょう?金に困るわけないでしょう?」

「わたしはいいが君のその格好じゃ、一緒に行くのは恥ずかしい」

「だったら悪魔の力を見せて、英国屋のスーツくらい着せて下さいよ」

「嬉しいね嬉しいね、君の魂をもらう一つの望みが英国屋のスーツか。

お安い御用だ・・・」

「とんでもない、まだ契約を結んでいないよ」

「は、は、は、、ははは・・・ただで一流のスーツを掠めようというわけか?

世の中そんなに甘いものじゃない。

悪魔は計算高い。これを忘れてもらっちゃ困るねェ」

六本木ヒルズを出て、中華料理(ラーメン屋)に入った。

「餃子に温タマ定食」

悪魔は言いなれていた。

しょっちゅう来ているようだ。

「ぼくも同じ。それで餃子はニンニク入り」

すると途端に、

「それは駄目だ。わたしはニンニクは嫌いだ。両方野菜餃子にしてくれ」

店員は「はいッ!」と片目をつむって返事をし、

テーブル上のニンニク辛子を持ち去った。

その手馴れた対応に、

「知り合い?」と聞くと、

「昨日契約が済んだお客様なんだよ。ほらあっちから手を振ったあの子もそうだ」

「へえ・・・?!」

「世界一の悪女の西太后とかエリザベス1世もいいが、

ラーメン屋の美女もその仲間入りさ。

彼女はわたしの弟子になりたいと言って来たんだ。たいした玉じゃないか」

感心したように目を細めた。

【続く】