「憶えてますか?」
可愛いお嬢さんを抱きかかえた男性と、
頬を並べた笑顔の女性と・・・
「ウム・・・何処かで見たことは・・・」
「伊藤さんに司会をしてもらった・・・」
「あゝ、ですよね」
「UTです」
「憶えてます」
「ホントですか?」
これに似たことが年に何回かある。
通算すると4,000組以上のカップルの婚礼司会をしているので、すべてを記憶するなどと言えるものではない。
が、不思議だが当時の新郎さんは記憶をたどれば思い出す場合が多い。
それが新婦さんとなるとほとんど「・・・???」なのだ。
西武線の車内で、
「伊藤さん!」
と、腕をとってくれた女性がいた。
「・・・???」
「わたしです。ビックリしたでしょう」
と言われ、素直に「はい」と応えたことがある。
この理由は明確に説明できない。
ところで、
声をかけてくれたご夫婦、
2歳半になる女の子が、
「やっと授かった子なんです」と話した笑顔が今も目の前にある。
「憶えていますか?」
その二人の笑顔と、可愛いとしか言えなかったけれども、パパに抱かれた女の子の笑顔は、これからも忘れることはないだろう。

