- 大正浪漫探偵譚文庫 3 風に羽衣 (YOU漫画文庫)/木原 敏江
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鏡の肖像
結衣の兄には実は昔の恋人との間に兄も知らなかった娘が居て、2人は結婚することになった。義姉の朋の友人で舞台女優の阿佐緒と知り合い、仲良くなった結衣。阿佐緒には静保というパトロンが居て、来る度に性格が変わる。悲観論者と楽観論者が同居する静保。ある日阿佐緒は「静保」は諦めて結婚することにした、と行方をくらますが、逃亡先のホテルで殺された。
静保は精神分裂者か?! と思いきや、実は双子が毎日入れ替わっていた…というオチでした。なるほど、確かに、傷があったり無かったりするのは、二重人格では無理ですもんね。入れ替わり…というと、ふたりのロッテを思い出しました。性格が正反対なのに、よく今までばれなかったなぁ。阿佐緒のように本気で愛さないと気づけないのかしらん。
阿佐緒に惚れた静が、本気で結婚しようと思って遠ざけたのに、それに気づいた保が静を独り占めしたくて阿佐緒を殺しちゃった…というのが真相でした。いや~アホらしい…。家のために双子であることを隠して生きていかなければならなかった…ということには同情するけど、だからってそんな理由で殺しちゃうなんて、ねぇ。結果、保は静刺されて殺され、静は自殺して、「静保」という名の貴族が一人亡くなったと発表されたんですが…悲しいですねぇ。
風に羽衣
権力者だがいけ好かない男である紀尾井氏が殺された。ダイイングメッセージから、能楽師の右京が犯人ではないかと疑われる。右京の父親に頼まれて、調査を開始する佳央里。
紀尾井夫人の衣子が犯人か…と思いきや、実は衣子の書生の浜松の犯行だったと分かったわけですけども。衣子と浜松が相思相愛だってバレバレだったんですけどねぇ。あんなにしらばっくれていたのに「貧乏はいやよ」の一言で自首しちゃうって(笑)。浜松、やっぱり基本的に良い人(笑)。
この後に日舞の話も出てきますが、能に浮世絵に日舞…いろいろなことを知らないと、とか、いろいろなことに興味が無いと、漫画家にはなれないのかもしれない…とか思ったりして。
四神将の五月
祖母の家に遊びに行った結衣は、初恋の相手・柳一と再会した。柳一は祖父が隠して父が探していた宝を探していた。父が亡くなり借金まみれになって家を手放さなくてはならなくなってしまったので、お金が必要だった。下働きのヒナと結婚するつもりだったが、家を守るために金持ちで鼻持ちならない女と結婚することにした柳一だったが…
その、祖父の残した宝ってのが、金銀財宝ではなく、家族の健康を願って植えた木々だった…というオチでした。もっと早くに知っていれば、お父さんも命を落とすことはなかっただろうし、家も守れたでしょうねぇ。でも、もしそうなら、お母さんはヒナとの結婚を認めなかったかもしれないし。最後には嬉しいオチも待っていたし、結果オーライでしたね。
しかし倫太郎の時もそうでしたが、今回もあっさりと長女・緑とかサラッと紹介されていました。いつの間に?! ですが、そういうことは細かく説明しないところ、けつこう好きです。
光源氏事件
関東大震災で家財を失った森山家。佳央里の教え子である財閥の息子・源光春の計らいで一軒家を借りることができた。その光春の妻が刺殺された。犯人は女癖の悪い光春なのか?
光春の女癖の悪さに腹立ちますな。誰にも彼にも「亡くなった母に似ている…」と言って歩いているんでしょうかねぇ。なんつーかかんつーか…。
叔父の気持ちも分からなくはないけど、そんな、殺さなくても…。
なんともかんとも。
やっぱり、ずっと読んできていますけども、殺人の理由が嫉妬とかなんとかそんなんが多いんですよねぇ~。なんだかなぁ~ですわ。
牡丹は忘れない
悠之介は牡丹亭の女将に惚れて長期滞在している。ライバル視している小次郎も長期滞在している客だった。牡丹亭で働いている記憶喪失の衝立女が殺された。犯人は行方不明になった小次郎か?
悠之介再登場(笑)。相変わらず女癖が悪いようです。とりあえず、最後に自ら後悔して奥様への手土産を山ほど持って帰宅したので、ヨシとしましたけども。これに懲りずにまた浮気しそうな気もするけど、できたら懲りて欲しいものですね。
美人女将の正体が分かり、小次郎が実は女将の息子だとわかりハッピーエンドでしたねぇ。女将が46歳には見えない…!とショックを受けた悠之介ですけども、別に良いと思うんですよね~熟女じゃん。創作のための女神は若くないと駄目なの?! せいぜい30代前半じゃないと駄目なの?!
…と、どうにも悠之介がらみの感想しか出ませんが(笑)。
瞬きの劇場
8ページずつの短編です。各話原作があるようです。歌舞伎とかオペラとかから題材をチョイスしているようです。最後の牡丹灯籠しか知ってる話はなかったです。
第一夜 薄墨小町
冬にも咲く桜の木の精が実は小野小町だった…ということらしいです。ちょっと紅天女っぽいですよね。
第二夜 ばらの騎士の恋人
第三夜 愛の死
これも知らない…イゾルデって名前だけはどっかで聞いたことがあるような無いような?
第四夜 牡丹灯籠の夜
牡丹灯籠そのまんまでしたけども、お札をはがした夫婦にも因果応報があったんですか?つか、そんな夫婦いたんだっけ? なんか、知ってるようで知らないんだな~って思ったわ。本当はどんな話だったんだったけかなぁ。