借りた。短編集だった。
降霊会
学園祭で砂美が「ペットの降霊会」をやると言う。実行委員の南田がチェックしに行くと、やってきた人たちの飼っていたペットが次々と降りてきて元の飼い主たちに感謝の言葉を述べる。南田が調べると彼らはみな砂美の知り合いで、いわば「降霊会」ではなく、南田に見せるための「降霊会のお芝居」だったことが分かった。砂美にそのことを告げると、南田が自分の妹である春香を殺したからだと言った。
南田は自分の気管支炎の薬を妹に「足が早くなる薬」と告げて半分飲ませていたそうだ。薬を飲まなくても気管支炎はこれ以上悪化しないし、春香も元気よく走り回ってるからwin-winじゃん。でも喘息の薬を飲まされていると知った砂美が、春香に「これを飲むと死ぬよ」と告げていた。春香が病死したと知って「あんたが喘息の薬を飲ませたから死んだんだ」と南田を追求したが「春香は自殺した。砂美に薬のことを言われた後、薬箱の中の薬を全部飲んだ」と言われて膝をついた砂美でした。
怖っ!
金色の風
母がバレエ教室をしていてバレエを習っていた夕は幼い頃からパリに憧れを持ち、単身パリに語学留学することに。妹の朝美はドイツへバレエ留学をしていた。妹の方がバレエが上手で自分はパレリーナになれないと悟った夕は自分で学費を貯めてパリへ来て、来たからといって自分が変わるわけでもなし。なんて思ってたけど、犬と一緒にランニングするマリアと出会って、ランニングようのシューズを買って走るように。半年後、パリマラソンにも参加して、ちょっとずつ前に向かって変わっていく様子が描かれておりました。
海外で暮らすなんて、それだけですごいと思う私でした。
迷宮の松露
日本を離れて遠くへ行きたい、と思いモロッコへ飛び安ホテルで長期滞在中の柳。なぜか幼い頃一緒に暮らした京都の祖母のことを思いだす。こちらのデーツは祖母が出してくれた松露に似ている。偶然出会った日本人夫婦からもらった松露。その夫婦によると、松露とはキノコのことらしい。
なんか色々あって日本から飛び出したけど、日本に帰る気になったようです。
甘い生活
人のものを欲しがる性質の千尋。友達のものが欲しくてたまらないけど盗めないしくれないし、同じものを母に買ってもらうと「真似ばかりする」と嫌がられる。そこで自己評価の低い女子と仲良くなって言葉巧みにその子の持ち物をもらうことに成功。調子に乗った千尋はターゲットを次々と替えていた。5年生の時のターゲットは沙苗。彼女の持っていた母親のオレンジのボールペンがどうしても欲しくてまんまと盗み出した。
9年後、隠していたボールペンを見つけてSNSにアップ。コメントをくれた人から「甘い生活」って名前だと教えてもらい、検索したらまさかの高額。安くても3万円はする高額文具でびっくり。
この千尋、大学生になってもっと性格が悪くなってました。モノではなく人間関係を壊して楽しんでます。性悪。ゲイの同級生から彼氏を紹介された千尋は、その彼氏が欲しいと思って近づく。すると彼は「他人のものを奪うのが好き?」と訊かれて驚く。
なんと、彼、沙苗の兄でした。千尋が盗んだボールペンは兄妹の再婚予定のもので、そのペンを盗まれたことにより再婚は取り消し。責任を感じた沙苗は自殺してましたよ。うわ〜後味悪すぎる。
てことで、兄は千尋を調べ上げて近づいたようです。千尋を車に乗せて山に連れて行きネタバラシ。車から逃げ出した千尋に車ごと突っ込んじゃいました。およよーこの後どうなった?!
未事故物件
東京で一人暮らしを始めた初美。上の回から毎朝4時に洗濯機が回る音が聞こえてくる。不動産会社に苦情を告げると「上の階には誰も住んでいない」と言われてしまう。
いやいや、これも怖い話でした。同じ状況に遭った女性のブログを同僚が見つけて、その後そのブログ主が遺体で発見されたって分かってギャー! ですわ。そこで洗濯機の音が鳴り始めてから警察に通報。上の空き部屋には男が3人いて、スタンガンやロープも発見されました。不動産会社の男もグルで、小柄の女性に空き部屋の下の部屋を貸して、音の原因を突き止めるために上の階に来させて拉致して殺していた、と。「怖いのは事故物件ではない」と初美がいいましたけど、ほんとそうね。
ホテル・カイザリン
明治時代の洋館を改築したホテル・カイザリンを月に一度常宿にしている鶴子。よくホテルで出会う愁子に惹かれ、両思いになった。夫の会社で不祥事が発生してシンガポールに逃げると言われ、愁子に会えなくなるのが嫌だから離婚したいと言ったが、そうしたら鶴子の父親の不祥事についてもバラしてやると言われた。愁子に知られたくないと思った鶴子はホテルに放火して逮捕されてしまう。幸にも火事にならずに済んだが執行猶予なしの実刑判決が出て、夫と離婚。拘置所で、愁子が保険金目当てで夫を殺害して逮捕されたと知る。
なんというか、似たもの同士だった二人なのでしょうか。お互い出所後に再会できるといいですね。
孤独の谷
文化人類学教授の白柳。学生の美希から出身地である「纏谷」についての話を聞かされる。纏谷で誰かが謎の死を遂げると、その村の者はみんな纏谷を出ていく。夫婦は離婚して親兄弟とも別れ、一人で死ぬ。という決まりがあるそう。養子として纏谷で暮らしたことのある美希。中学に上がってから学校の関係で母と二人暮らしをしていた。一人纏谷に残っていた父が亡くなった後、纏谷に住んでいた親戚たちも村から出て行ったらしい。そして最近になって叔父がドイツで死亡。聞くと叔母はラトビア、伯父夫婦はフランス、その息子である従兄弟はラオスに在住しているとのこと。全員が海外にバラバラに住んでるって、謎が多すぎる。風土病でこのようなことはあるのか? 研究者である白柳に訊きたかっんだたって。
白柳がパリの友人に頼んで伯父夫婦を訪ねてもらったら、そこは手紙の転送場所で実際にはセネガルに住んでいると分かった。ヘルシンキでの学会が終了後ラトビアへ行き、叔母について調べると英語も喋れないけど比較的容易に移住ができるからとやってきたらしい。絵を描いて海外に送って生活しているとか。叔母を訪ねたが拒否され水をかけられてしまった。
美希もラオスに行ってました。タイに着いてから電話をかけたが会うことを拒否され、それでも住んでいる村へ行ったら家を引き払ってどこかへ姿を消していた。
その後、纏谷に伯母が住んでいることに気づいた白柳は村を訪れる。そこで、纏谷出身の人たちは言語コミュニケーションで脳に炎症が起きるんだって。言葉を使えば使うほど死が近くなるとな。そこで人と関わらないところへ転居するんだって。更に言葉の通じない土地に移り住み、家族とはお互いに読めない文字でメッセージを書き、写真のみを送り合っているんだって。
そんな病気あったら確かに恐ろしい。美希は養子だから事実を知っても大丈夫だと言われ、村を後にした白柳。そのことを電話で報告すると、美希から「纏谷出身は伯母で伯父は婿だ」と聞かされて慌てて戻ると倒れている伯母を発見。喋りすぎたのか。悲しいね。これってもう一族は早死にする運命にあって、最後にはこの病気も消滅しそう。
老いた犬のように
作家の梅田。ミューズと崇めていた妻から離婚を切り出されて慰謝料も支払った。週一で家政婦に来てもらってなんとかまともな生活を過ごしている。そんな時に梅田のファンだという南風という女性と出会う。南風に惹かれるが、可哀想な人の面倒を見るのが好きだと言われて激怒。梅田は妻は献身的だったと言って褒め称えるけど、実際には精神的にDVしていたらしい。そんな妻に捨てられた可哀想な人、と図星刺されてしまったんですねぇ。
果たして梅田は新作を書き上げられるのか。どんな物語を描く作家なんだろうか。




