借りました〜。境界線の続編?

 

 

2018年、南三陸の仮設住宅で役人の遺体が発見された。県警捜査一課から笘篠と蓮田がやってきた。

この蓮田は南三陸育ち。幼馴染と四人組で過ごしていたけど、新聞記者手である蓮田の父が幼馴染・貢の父親の不正をすっぱ抜いて仙台に栄転。貢の実家である土建の家業も右肩下がりになっちゃって、貢に申し訳ないと思っていたんですって。更に、自分は震災の被害は受けなかったけど、幼馴染たちの家族が死亡していることを知り後ろめたさを感じていました。

そんな蓮田が事件解決のため故郷に行くことになりまして、容疑者に幼馴染たちが名を連ねていきます。あらびっくり。

 

遺体が発見されたのは住民が退去した仮設住宅で完全密室。未だ3家族が転居を拒んでい仮設住宅に住んでいた。早く住民を追い出したい役人が3家族を説得するためにまめに足を運んでいたそうで。そんな被災者たちに寄り添うNPOのスタッフが蓮田の幼馴染の知歌で貢の彼女。実は蓮田は知歌を好きだったけど告ることもできなかった様子。そして貢はもう一人の幼馴染の沙羅の家に婿入りしてました。結婚を機に土建屋は右肩上がりに業績をアップさせていて、貢は土建屋と政治家である沙羅の父の秘書としてハードワークをさせられてました。

笘篠と蓮田はそれぞれ別行動で事件を追うのですが、なんというか腹のたつ迷惑系NPOが現れましてね。仮設住宅跡地を売って金儲けしたい連中が手を組んで悪質な地上げ屋のNPOを立ち退かない住人たちに向かわせ、こいつらが恫喝だけでなく暴力で仮設住宅から追い出そうとするんですよ。なんて迷惑な連中。こんな奴らをNPOとして存在させちゃいけないんじゃない?

物語に出てくるということは、実際にこういう連中もいるってことよね?

なんというか、浅ましいっすね。

 

事件はといえば、笘篠が密室の謎を解明しました。なんでも仮設住宅には天窓があるそうで、手慣れた人なら屋根に登って天窓を外すことができるんだって。それで遺体を天窓から放り込んだのだろうってことで、だったらその道のプロの貢が怪しいじゃない? アリバイも崩れたし、仮設住宅跡地に何か建てるなら土建屋が絡んでくるし。ところが知歌が「私が殺した」と自首したもんで、えええ〜? です。

ページは残り少ないのにどうなる?

と思っていたら、笘篠が真犯人を突き止めていました。

知歌がお世話していた仮設住宅に一人で暮らすおじいちゃん。役人に心無い言葉を投げかけられ続けて腹が立って、仕事で使っていた木槌で頭を殴ってしまったそうだ。気づいたら役人が死んでいて、どうしようと知歌に連絡。知歌は自分が殺したと貢に助けを求め、駆けつけた貢が住人を退去させるなら、と密室を作り上げたということでした。なんてこったい。

自分の都合ばかり押し付ける役人に腹も立ちますが、警察に言わずに誤魔化したかなぁ〜。

結局友達二人は逮捕されちゃいました。悲しいねぇ。

 

事件が解決して、仮設住宅に残っていた二組の家族も転居して更地になったそうです。不正なく開発されると良いのですが。

 

今年のGWに気仙沼の震災遺構に行ったんですよ。なんで4階に車があるの?! と、本当にテレビで見て知ってはいたけど、実際に見たら驚愕。震災を経験してない私がどうこう言えるものではないけど、この物語を読みながら被災した人たちや亡くなった人たちのことを改めて考えさせられました。てか、日本政府の被災者への対応って遅いし不親切だな、と。台湾の迅速な対応を知ったらなおさらそう思ってしまいます。

 

笘篠の話も辛かったけど、この話も辛い。