- 大正浪漫探偵譚文庫 2 見返り美人 (YOU漫画文庫)/木原 敏江
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うしろの守護天使
結衣の友人の吟子が道ばたに倒れていた美青年を拾って、義理の弟として一緒に暮らして面倒を見ていると知り驚く。美青年の松葉が来てから、落ちたはずの教員試験に受かり念願の教師になれたり、偽の借金を名目にたかってくる金貸しが死んだり、なぜか吟子に幸運が舞い降りる。
まぁ、最初から松葉がなんかしでかしていたんだろうとは思いましたけどね。理由が「吟子は他の女性と違って何も見返りを求めていないから」ということだとわかって、なるほど、でした。美形だから常に女に色目を使われていて、うっとうしかったようです。そう言われると気持ち分からなくはないけども…殺人はいかんよ。
そんな吟子は全く気づかず、結衣たちに真相を暴かれても、松葉を責めずに自首を勧める…という女性でした。好きな男のタイプはイケメンではないそうですが、そこがまた松葉には心地よかったのかもしれないですね。
松葉は川に落ちて死んでしまったようです。遺体も上がらなかったらしいですからねぇ。
結衣の勘と推理力もたいしたものだけど、息子の倫太郎もナイスアシスト。やはり二人の子どもだけありますな。
霰と金剛石
老恩師を訪ねた佳央里と結衣は五百川夫妻と知り合う。東京に戻り佳央里の友人である作家の悠之介を訪ねると、歳芝実家に戻り愛人の未亡人・ひわ子が居た。ひわ子のアイディアを借りて【交換殺人】の小説を書き上げる悠之介。それを読んだ五百川が「作品の中で殺した女は私の前妻ではないか」と怒鳴り込んできた。本当に前妻は事故死だったのか、ひわ子に確かめると立ち去った五百川が事故で死んだ。
金の亡者である五百川の妻とひわ子は実は姉妹で、それぞれ金目当てで金持ちと結婚してお互いの夫を交換して殺し、後家として優雅に暮らしていたんですね~。それを知った彼女たちの弟が真実を突き止め、佳央里と結衣と悠之介が協力して姉妹の悪事を暴いたのは良いですが、吹き出した毒ガスで姉妹は死んでしまいました。これはわざと毒ガスが出るところに投げたとしか思えませんが…まぁ、その気持ちは分かります。がめつい姉妹に殺された人たちがかわいそうでした。ほんと、因果応報ですね。
ああ、あと遊之介の浮気性には、なんつーかウンザリですね。本人が全く自覚してないってあたりがまた始末に困るってかなんてーか。
踊る銀狐
実は銀面家の血筋だったんだけど、それを黙って銀面家で働いていた仁。まどかは孫娘ではあったが、実は母親が浮気をしてできた子供で、血は繫がっていなかった。自分が財産をもらいたいがために、最終的に仁を殺そうとして狐憑きの芝居をしたりなんだりと準備を重ねていたらしいです。
けど、佳央里と結衣にはバレバレ。上手くことは運びませんでしたね。
それと銀面家宗主のおばあちゃんが最後大活躍! すごいな。
まどかはすべてばれてしまったので服毒自殺しちゃいました。
うーん、そこまでして財産欲しいのかいなぁ…?
見返り美人
結衣の兄は見合いの席で見返り美人に目を奪われてしまい、見合いは破談。しかしその見返り美人は男だった。
女装が好きなゲイの男が、実は女好きの女と婚約したら、女が殺された。犯人は元彼だった。というオチなんですけども。この女装好きの男は、妻の元彼のことがずっと好きだったそうです。で、元彼も実はそうだったのかなーと思ったら、ずっとノーマルで全くそんな趣味はなかったらしいです。でも、チューされて嫌じゃなかったから、きっと好きなのだろう…というなんともなオチになりました。
今回は犯人は自首をしたので、自業自得…という死はなかったですけども…。私はてっきり内弟子の女が嫉妬に駆られて殺人を犯したと思ってました。犯人が元彼だと推理したのは結衣ですけども…ほんと、この人は事件を呼ぶというか事件に呼ばれる体質なんですね(笑)。
火蜥蜴は眠る
有名な陶芸家と知り合いになった結衣。彼と同棲している愛人は詩人で、とても仲が良い。行方不明になっている知り合いの女性が詩人の刺繍を持っていたので、結衣が探りを入れに陶芸家の家に行くと、行方不明になった女性のしていた髪飾りを見つける。
この陶芸家がまた幼いというかなんというか…自分のことを名前で呼ぶし、気にならなければサクッと人を殺しちゃうし、天然系ですね。それでもそんな陶芸家が好きで、彼の罪をかぶろうとしちゃう詩人。うーん、お似合いと言えばお似合いだろうけど…やっぱ陶芸家がもうちょっと頭の良い人だったらなぁ~とか思ったりして。でも、ちょっとお馬鹿だからこそ、すばらしい焼き物を作ることができたのかもですけどね。
ちなみに陶芸家と詩人は焼身自殺いたしました。火事を起こすのは陶芸家的には普通のことかもしれないけど、ご近所迷惑よね…。
天降谷の山君
剣道で佳央里と引き分けになってから、佳央里にまとわりつくようになった甲子雄。山育ちで秘刀を持っていると吹聴していたが、実は山育ちではなく…
うーーーん、甲子雄は卑怯な男でしたね。渓太から刀を奪うだけでなく、刺しちゃうって…上昇志向が高いのはいいけど、人の命を奪ってまでも上り詰めたいもの? 理解しがたいわ。
樢夫人はまた1人で山を守っていくんですかねぇ?
悲しいですねぇ。なんか、砂神一族の明日香を思い出しました。