- 大正浪漫探偵譚文庫 1 四十七文字 (YOU漫画文庫)/木原 敏江
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これもなんとなく購入してみました。水晶と天鵞絨とキャラが被ってるってあったし、なんとなくそれのシリーズっぽくもあったし。
だけどもやっぱり内容が濃くて、読んで理解するのに時間がかかりましたわ~!
感想書くのも大変(笑)。
菊女の声
新聞記者である兄の代わりに、森山家に奉公人として入り込んだ結衣。森山家には一年前に自殺した菊女の幽霊が出るという。菊女と結婚の約束をしていた長男の佳央里だけは幽霊を目撃したことがないという。妹のひづるは体が弱く、自殺した菊女を嫌っていた。
まぁ~、幽霊の正体はだいたいそうではないかと予想はつきましたけども。実の兄に恋をしてしまい、近づく女を追い払おうとする妹、という図でございました。そんなに鬼ちゃんが好きかい…?
そもそも佳央里が金と女にだらしがない男だったのが原因だそうです。でも男前なので、そんな佳央里に恋をしてしまう結衣。それは分かるんだけど、どうして佳央里が結衣に惚れて、女にだらしがなかった過去を清算してまで結うと結婚しようと思ったのが、そこがいまいち分かりませんでした。いえね、ちゃんと結婚してからは結衣一筋ですから、問題はないのですけどね、ちょっと疑問…。
菫女の箱
新婚旅行で幸村温泉に来た佳央里と結衣は、ついてそうそう殺人にあった遺体を見つけてしまう。同じ宿には伯爵令息も宿泊しており、身分違いの恋の相手・菫女の行方を捜しているという。
村の奥にひっそりと暮らすスエという美女が血をすすっている様子を見てしまい、美女を殺して血をすすっているという土蜘蛛ではないかと疑う結衣だったが…。
実はスエは結核になっていて、栄養をとるためにスッポンの生き血を吸っていたのだ!というオチには笑ってしまいました。ちょっとデブってしまったけど、もちもち肌だし、十分美しいと思いますけどね。
殺人犯の土蜘蛛は耽美主義の伯爵令息でした。このシリーズ、作者の意向で殺人犯は必ず死ぬという運命にあるそうです。なので、初回は菊女を殺したひづるが死んで、今回も伯爵令息が死んでしまいました。しかも法で裁かれるのではなく、自業自得で…というパターンのようです。伯爵令息は氷の張った池の上の真ん中に行って、割れて氷に落ちて心臓麻痺で死んじゃいました。
風邪を引いた結衣が直ったと思ったら佳央里に移ってしまい、結局 2人が完治するまで一ヶ月も温泉に逗留していたそうです。うう~ん、いいですね~新婚旅行で一ヶ月! ま、半分以上は寝たきりですけど(笑)。
蓮女の火
女社長で芸術家の蓮音夫人。息子の一郎と、死に別れた夫の弟の長女・笛子と婚約している。しかし笛子は蓮音夫人の再婚する予定の相手・赤岩に事業をすべて譲り、自分は画家として暮らしていくつもりだと言う。そんな矢先に赤岩が死んでしまう。そして笛子が殺され、笛子を殺した犯人として一郎が捕まる。
これまた話が複雑でね。実は蓮音夫人は偽物で、死んだ本物とすり替わった女中だった。それを知っていた赤岩に脅されていたため殺した。赤岩と笛子はつきあっていたので、真実を知って殺された。一郎は麻薬漬けにされていたけど殺人犯ではないとわかり釈放。笛子の妹月子と婚約。そして偽物の蓮音夫人は摘みを告白して自殺、だそうです。
うーん、確かにタイミング良く自分と一郎以外の人間が死んでしまい、入れ替わって財産を全部自分のものにしたい。と思う気持ちも分からないでもないけども。やっぱり因果応報だと思うのよねぇ。
才能があっても金がないと伸ばせない…というのも悲しいけど。
柊夫人
佳央里の友人・牛込が行方不明になったと婚約視野の梅子から相談を受けた。牛込が最後にあったであろう窓辺にたたずむ美女・柊子を訪ねる佳央里。
いや~、両思いなのに気づいていない柊子と求のせいで、かなりの男が迷惑を被りましたね。結局真犯人は叔母のさゆりでしたけども、この二人が反目し合ってなければ、誰も死ななかったしさゆりも自殺しなくても良かったのにね。はた迷惑だわぁ。
ああ~、あと婚約者が居るのに美女にうつつを抜かして殺されそうになった牛込は自業自得ですけどもね。梅子に見捨てられないようにお気をつけ遊ばせ。
黒百合女王
黒百合高原へ休暇を利用して訪れた佳央里と結衣。別荘の大家は未亡人で、年下の若いツバメと逢い引きしていて、実はその若いツバメは未亡人の娘婿の弟・秀二だった、と。そして娘・百々子は遊び好きで愛人をとっかえひっかえしていて、娘婿・篤はまじめな堅物だったけど、実は百々子とは異母姉妹である通称・黒ユリと呼ばれる美女と本気で浮気をしていた。
ある日百々子が亡くなり、次いで母も刺殺された。犯人は篤かと思いきや…
百々子の愛人が【青い指の男】ということでハテ?と思ったら、万年筆のインクで指が青く染まっていた、ということでした。兄に罪を着せて最終的に自分が遺産をすべてもらってしまおう…と考えていたらしい。そして未亡人とその娘と両方を相手にしていたってんだから、まぁ、ご苦労様ですこと。
結衣に気づかれてしまったので、秀二は崖から飛び降りて自殺してしまいました。最後まで自己中なヤツでしたね。
玉藻姫
息子を授かった結衣と佳央里。怪獣が出るという噂がある伊豆に調査に行かされる佳央里。そこには記憶喪失の青年と、退役軍人の娘である美女の玉藻と出会う。
怪物の正体が実は巨大なトカゲで、濃霧に写った陰が超巨大に見せていた…というオチには笑いました。血が繫がっていないとはいえ、自分の娘が好きで手放したくなくて、自分が勝手に決めた娘の婚約者を殺しちゃう…という退役軍人の神経もよく分かりません。
佳央里が心配で伊豆にやってきた結衣のお陰で、記憶喪失の青年の記憶も戻ったし(都合が良いな・笑)殺人を犯した退役軍人怪獣の影を見て心臓止まってしまうし(これまた都合が良すぎ・笑)ガラちゃんも南の島に帰ることができたし、ハッピーエンドでございました。
二人の子供の倫太郎は、外見は父に、内面は母に似ているそうですよ。それって最強じゃないかしら?
白薔薇の君
薔薇園の麻布夫妻と仲良くなった結衣。薔薇園に同居を決め込んだ金持ちの薔子は、英樹と結婚するつもりで居たのに、知らない間に家は破産していて更に英樹は幹乃という地味な女と結婚していて、腹が立って仕方ない。
英樹の叔父は幹乃に英樹と別れて英樹と薔子と再婚させろと言う。英樹は薔子とは結婚するつもりはないし、幹乃と分かれる気もないと言うが、幹乃は夫の言葉が信じられない。
そして幹乃と叔父の刺殺体が見つかり、行方不明になった夫の英樹が殺したものと判断される。
うーん、この薔子ってのが昔からイッちゃってる人だったそうで、両親が妹ばかりをかわいがるから…と妹を突き落として殺してバックていたらしいです。知っていたけど薔子に恋をしていたから黙っていた英樹も…なぁ、なんともかんとも。
結局、英樹を手に入れたくて幹乃と叔父を殺した薔子。それを知って薔子を毒殺した英樹は、少し心が薔子に揺れ動いたけど、やっぱり幹乃を愛していた…と、服毒死してしまった。
うーん、なんともやるせないなふ。幹乃がかわいそうで仕方ない。英樹がちゃんともっと早くに幹乃に本当のことを話していれば…ねぇ? 薔子にも腹立つけど、英樹にも腹立つわぁ。
んで、人よりも鼻の利くってゆうか、トラブルを呼び込んでしまう体質っていうか、そんな結衣のお陰で二人が死ぬ前に真相を知ることができた佳央里と結衣でした。
うわー、やっぱり文庫一冊でこれだけ内容が濃い作品がギッシリっていうのは、読むのも大変だけど描くのも大変よねぇ~。話を思いつくのも大変。そして感想を書くのも大変…途中で感想っていうよりもあらすじだけになっちゃってるし(汗)。
でもこれ全4巻なんですよ…あと3冊、頑張ろう、おー。