魂は本当に磨かれているのか??? | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

魂は本当に磨かれているのか???

 江原さんなんかがよく言う、「人は魂の修行の為に生まれてきたんだ」とか「魂を磨く為に生まれてきたんだ」
 最近読んだ、スピリチュアル系の学者が書いた本の題名が、「生きる意味とは?」系のものだったので、少し期待して読んでみると、やはり結論は江原さん系でなんだか、ちょっとガッカリしたものが……(別に、この結論が悪いという意味ではないけれど)

 江原さんにはきっと御会いできないでしょうが、もし、質問を投げかけるチャンスがあれば、私はゼヒお尋ねしてみたい。

 「もし魂を磨く為に生まれて来たのなら(生まれ変わったのなら)、人類はこれまで千億や兆と生死を繰り返してきたにもかかわらず、その理屈では人類の魂は未だにバカ過ぎやしませんか…??」と。

 幼稚な理屈でキレてくるやつ。約束を守れないヤツ。間違ったのに謝らないやつ。自分の利益しか目がないやつ。他人を顧みないヤツ。こんな悪い人間は今もいっぱいだ。たまたま前回も前々回も、こんな批判的なことを書いた。名作を侮辱して喜んでいる、致命的に頭の悪い人間にもうんざりだ…  全く磨かれてなんかいないじゃないか………

 そんな時、ちょっと興味を持ったのは心理学者のスティーブン・ピンカーだ。
 彼は歴史的に見ると、人類の暴力や戦争は明らかに減っているとTEDで言っている。

 現代は人類史上最も安全な時代だそうだ。
 言われてみればそれはそうで『今昔物語』の世界などでは、いつ賊や物の怪に襲われるか解らない世界だしね…
 
 しかし、ちょっとこのTEDに註を入れると
(00:51)「インディアンの生活は苦しいものではあったが」は、これは現代人側から見た現代人の偏見で間違いないでしょう。彼らは常にこうした目線でインディアンを見ている。
 (2:29)16世紀の理性の時代の始まりが転換点?理性なんてアテになるのか…?
理性を理由に戦争もするのに。
(3:09) キーリーのニューギニアだけの調査で狩猟採集生活を評価するのは絶対間違い! ピダハンのように争いをしない狩猟採集民もいる!少々我田引水的な感じがする。
 (4:25) 確かに聖書は暴力的!
 (12:10) 「狩猟採集民の多くが、襲われる恐怖から襲う」は、これも(00:51)
で指摘した狩猟採集民をバカにした西洋人らしい発想、思考だ。常に上から目線…。狩猟採集民は争いを回避する手段を持っている民族もいる!
 安直な西洋人はつい進化こそ大事だと感じているようだけど、「変わらない偉大さ」も必ずあると私は確信する。縄文文化は3万年!3万年も間違いなく「自然を変えてはいけない思想があった」はずです。これはアボリジニもそうだった。

 とは言え、「現代は人類史上最も安全な時代」は確かに当たっているのでしょう。
 
 でも、それをスピリチュアル的に見た場合、これが「魂が磨かれた為」結果なのだろうか???

 むしろ、戦争兵器、報道、ネット、防犯グッズ等、テクノロジーが犯罪や戦争を抑止しているような気が私にはするんだけど… 理性は意外とアテにならないような…

 だから現代にもそういうものから隠れた「隠れ邪悪」はいっぱい居る。
 『新釈 中国古典怪談』で、耆域(きいく)が「8歳の子供に教えるような事が、大人は出来ない」のは今も変わりはない。(特に、車を運転していると、いかに自分の事しか考えられないバカドライバーが多いかがよく解る)
 1500年も前の話だよ…何にも変わってはいない……

 いや、百歩譲り、「この安全な現代が、魂が磨かれた結果なんだよ」と仮定してみましょう。
● 「だったら、その進化はあまりにも遅過ぎるのです」

 1500年も変わっちゃいない…
 文明の興亡を語ったジャレド・ダイヤモンド(これね)は、2050年頃には、この現代の文明や人類は滅びるとまで言っています。あと32年。このペースなら到底、魂の進化に間に合うはずがない。

(もっともこの説を信じる信じないは自由ですが。私が子供の頃、石油はあと30年で枯渇すると言われ、今もある。ちなみに石油の枯渇は2050年という説もある)
 私個人では温暖化はかなりヤバいと思う。




 江原さんは興味深いことを語っていて…
「たとえ地球が滅亡しても魂はまた別の星を捜すにちがいありません」(『前世 人生を変える』より)

 そんなに簡単に地球を捨てちゃっていいのか……???笑 と思えるほどのある意味爆弾発言です。笑  あるいは、手の施しようがない、どーしようもないとあきらめているのか…

 
「人は魂を磨く為に生まれてきたんだ」
● これは単なる「現象に対する人間の勝手な、予定調和的な理由の後付けではないだろうか??」  (註:私は生まれ変わりがあると確信しているのでこういう話になるわけですが…)

 単なる意味の無い現象に対して理由付けしたがる人間の悪いクセは『新釈 中国古典怪談』の中でも紹介した。

 これにまつわり最近私は、ebayでも興味深い経験をしました。

 ebayで買い物をしていると、たまにAmerica First! 的な傲慢でアホな販売者に出会うことも。
 そんな販売者に、イラツイテいた後に、とっても親切な販売者に出会い、思わず、「アンタの前にヒドイアメリカ人に出会ってね~。ありがとう。助かったよ!」と素直なお礼のメールをすると、彼から気味の悪いメールが…

 「アナタわ~、キリストを知ってマスかぁ~? キリストはあなたに赦しを教えるタメニ、彼を出会わせたのデスよぉ~~」

 超気味悪い! そして今のアメリカも… 人は何でも、現象に対し予定調和的に理由付けしたがるのが解るメールです。(『沈黙』もそうだ。神が何かしてくれると思っている異常さ。)
 と、同時にこういうアメリカ人達が、エルサレム首都問題を引き起こしているのです。ゆゆしき事です。スティーブン・ピンカーのところで書きましたがキ教徒は残虐で上から目線です。このメールの場合も上から目線なのです。
 こんなことをまじめに言っているアメリカ人の方がよほど非科学的で未開と言うべきでしょう。

 メールで下らない喧嘩はしたくないので、
 「オレはZen Buddhistだ(本当は特に禅信者という訳ではないが。笑)。そいうい時Zenでは Every day is a good day と言うのよ。ありがとね。」と、思い上がったキ教徒の鼻を少しくじいてやりました。勿論、ヤツらは異端としか思ってないだろう… この異端思想が虐殺や戦争を生むのです… ヤツらがバカにするインディアンは既にこれに気付いていた
歴史をふりかえってもキ教徒の方がよほど病的だ。

 話を元に戻し、こうして人は、偶然の現象にも、予定調和的に理由を付けたがる悪いクセがあります。
 
 ということは、この、
 「人は魂を磨く為に生まれてきたんだ」
 という説も、「単なる現象に対する」(生まれ変わりという現象ね)、勝手な後付け、理由付けかもしれないのです。この理屈なら魂の進化がおそ過ぎるどころか、根本で、進んでいない気さえする。
 そう思うと「何故生きるのか」の問いは私の『Talking with Angelsーコート・ダジュールの天使達ー』の説の方が有力です。

 魂の世界も想念に支配されている限り、そこでも現象に対する、安直な理由付けがなされている可能性は充分有り得ることではあります……あくまで人間の魂である以上…その辺の詳しくはいつか、発表できるかもしれません。いつになるか知らないけどね。笑
岩谷薫(Kaoru Iwatani)『Talking with Angels』ー天使と仏の写真家ー | Facebookページも宣伝