フィルター越しの世界② | 自由の翼 Die Flügel der Freiheit

自由の翼 Die Flügel der Freiheit

日々感じること、思うこと、考えること、私が私であること。

 

前回の記事 フィルター越しの世界① の続きです。

 

 

人の思い込み、先入観、決めつけ、常識などの多くは、基本的に幼児期に周囲の大人から、または目にして自分の内に受け入れたものによって基本的に創り上げられている

私はこれらを、人があらゆるものを見る視界に自動的にかかっているフィルターのようなものだと考えています。あらゆるものですので、自分自身に対してもこのフィルター越しということになります。心理学理論で言えば、エリックバーンの人生脚本や禁止令、ドライバーと似たものだと思います。

 

人生脚本の過去記事はこちら↓

交流分析(TA)~エリック・バーンの「人生脚本」~(1)

交流分析(TA)~エリック・バーンの「人生脚本」~(2)

 

幼児期からずっとこのフィルター越しに物事を見ているので、自分の視界(意識)にフィルターがかかっているとはなかなか気づき難いものです。気付いていない場合は自分の意識とフィルターが一体化しているので、自分に見えているものが「現実」「事実」だとそのまま受け止めるでしょう。

 

私自身、このフィルターに気付けたのは10年ほど前から徐々に…という感じです。その前に大学で心理学を学んだことと、この時期に病院でも原因が分からない全身痛でその後5年くらいほぼ寝たきりになり、自分自身と向き合い続けるしかない状況だったので、いろいろなことに気付くことができたように思います。

 

発症から5年で痛みは嘘のように消え、今は至って健康なのですが、ドイツに移住したすぐ後からのコロナ騒ぎで、またもや自分と向き合う時間をたくさん得ることができたと思っています。

 

大学で学んだ理論はひじょうに役に立ちましたが、在学中には単に覚えた知識でしかなく、実際に自分と向き合っていろいろな理論を試しながら今もまだ学び続けている感じです。なので、一般的にはフィルターの存在に気付くこと自体が相当難しいであろうことは理解しています。

 

健康で楽しく暮らせている方にはこういった情報は必要ないだろうと思いますが自分が何をやっても結局はうまくいかない、誰からも理解されない、自分で自分を信じられないし受け入れられない、世界は地獄のようで生きるのが辛い、他人が許せない」といったような気持ちを抱えていらっしゃる方には、少しでも何かの役に立つと良いなと思っています。

 

カウンセリングに通うほどではないが、今の自分をなんとかしたいと思われる方に私がお勧めしたいのは、すべての思考(自動思考含め)、感情に対して「自分に質問し続ける」という方法です。コツは質問しっぱなしで答えを探さないということです。

 

たとえば何かに意識が向いて、それについて自分が何かを考えたときに「なぜそう思うの?」「なぜそれが重要なの?」「それは事実に基づいているの?」「考えることで私は何を得ようとしているの?」といった具合です。

 

たいていの場合は、人は意識を向けた対象(人でも物でも組織でも)に対して「なぜ?」と思いますよね?自分の思い通りではない、気に入らない、受け入れがたいことに対して人は「なぜ?」と思いがちですが、この「なぜ?」はその対象に直接そう質問しないのであれば意味のない問いです。

 

そして、自分に「質問しっぱなしで答えを探さない」のには理由があります。自問自答した場合には、私たちは理性(顕在意識)で答えを導き出そうとしますが、この理性がフィルターの影響を大きく受けているからです。ですので、答えはフィルター越しのままになり、見えているものをただ説明するだけになってしまうからです。

 

質問しっぱなしで放置することによって、その質問は顕在意識ではなく潜在意識に向かうことになります。潜在意識とは無意識領域のことであり、言語化されないままで見たもの、聞いたもの、接したあらゆる情報が蓄積されているとされています。ですので、フィルターの影響を受けていない生情報が大量に保管されていると考えられるわけです。

 

この場合の「質問しっぱなしの質問」は、検索のスイッチのようなものであり、質問を受け取った瞬間から、無意識領域で勝手に検索が始まります。ただ、言語化されていない情報ですから、すぐに何かを言語化できる状態で明確に気付くということではなく、ただただずっと検索が続いていくという感じでしょうか。

 

この作業をなるべく頻繁に習慣化して続けることで、まず感情が暴走するということが起こりにくくなります。意識を向けた出来事がフィルターを通して即座に理性の解釈となって、その解釈によって「感情」という反応を反射的に引き起こしてきた今までの状態から、「質問」によって「いったん保留される」ことになるからです。

 

そして、ある程度の期間、コツコツとこの質問を続けていくと、ある時ふと、何かしらの客観性を持った「気付き」が起こる…これが私が経験したことです。そこからフィルターと私自身に隙間が生まれて、フィルターを「フィルターなのだ=私自身ではない」と認識できるようになりました。

 

次回に続きます。

 

Youtubeチャンネル

 

 

X (ツイッター) 

SoundCloud        

 

本サイトのAuto-Groove はこちら

Auto-Groove

 

私のプロフィール詳細はこちらからご覧ください。

プロフィール詳細

 

フォローしてね…