交流分析(TA)~エリック・バーンの「人生脚本」~(1) | 自由の翼 Die Flügel der Freiheit

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今日から数回に分けて、エリックバーンの「交流分析(TA)」という心理学理論について書いていきたいと思います。精神分析のフロイト理論とは全く違うアプローチで、昔は通俗心理学という批判もあったようですが、誰にでも理解しやすく、カウンセリングにも使いやすい現実的な理論だと私は思っています。

まずは、私自身もこの理論を知ることで人生の質の向上大いに役に立った「人生脚本」について説明していきます。

エリック・バーンの交流分析では、人は人生のごく初期(乳幼児期)の段階で、自分の存在する世界と自分の関係を理解するために、人生の脚本を創り出すとしています。脚本の中心となる部分は一般的には7歳前後には決定され、その後の人生に本人も気付かないままこの脚本が影響を与え続けるというものです。

この脚本は物語の舞台としての「世界」や「世間」、主人公である「私」、共演者である「自分の人生に登場する人々」について、理解力や判断力のまだ未熟な、精神的に幼い段階で自発的に組み立てられるストーリーです。この脚本に最も大きく影響するのは養育者や血縁者など乳幼児期に自分の人生に大きく影響を与える立場の人々であると言われています。

脚本の目的は人生の解釈を方向付けることであり、決定力の強いものであるとされていて、ものの見方、理解の仕方、善悪の判断、倫理観、自己認識、気分の良し悪し、好き嫌いの判断など多方面に渡ります。この人生脚本があることによって、人はその後の人生で起こる出来事や人間関係を、この脚本に沿ったものの見え方で判断することになります。つまり、無自覚なひじょうに強いバイアスとなる可能性が高いということです。

脚本は書き換えも可能ですが、たいていの人はこの脚本に気付かずに人生の大部分の期間にわたって影響を受け続けているので、書き換えざるを得ないほどの大きな意識変化を促す出来事を経験するか、成長に従ってものごとの多様な見方を理解して受け入れる柔軟性があるか、人生脚本の存在に気付くか、などのきっかけがなければ、自発的に独力で書き換えるのは難しいかもしれません。

脚本にそぐわない出来事に出会ったとき、私たちは大きく2種類の対応をする可能性が高いとされています。それは「再定義(曲解)」「値引き(ディスカウント)」と呼ばれています。

再定義(曲解) = 脚本にそぐわない出来事を、脚本通りのストーリーに歪めて理解しなおすことで納得する対応。

値引き(ディスカウント) = 自分の脚本と矛盾する状況に直面したときに、無意識のうちにその矛盾を認知から抹消する対応。


「再定義」の例をあげるとすると、たとえば「私は誰からも相手にされない」という脚本を持つ人は、誰かが気遣ったり思いやりのある言葉や態度を示したときに「私なんかに優しくしようなんて、騙そうとして近付いて来た詐欺師に違いない」などの、根拠の無い曲解をするような感じです。本当は相手が詐欺師であることを望んでいるわけでもないし、優しさを受け入れたいのにそうできない。脚本通りの展開になると傷付くけれど、その方が納得できるし安心する…といった矛盾した心境になるということです。

「値引き」の場合は、自分の脚本とは合わない出来事や人の言動や態度などに直面したとき、無自覚にその出来事を無いことにしてしまう、または記憶から消す、その出来事の価値を実際よりもより悪く評価する、などの反応が起きやすいとされています。特に、「自分はダメな人間だ」とするような脚本がある場合には、人や社会から正当な評価を受けても満足するどころか「もっと無理をしろ」と言われているような錯覚に陥ります。この「値引き」の実際の現れ方としては「受身(無気力)、過剰適合、不安、自意識の低下、怒り、暴力」などがあるとされています。

 

次回に続きます。

 

 

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