著書:ねがいは「普通」
著者:佐藤忠良、安野光雅
発行:文化出版局 2002第一刷
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20年以上前に出された著書。
佐藤忠良さん(1912~2011 享年98歳)
安野光雅さん(1926~2020 享年94歳)
おふたりの対談集で、その目次が、
▪バイカル湖 シベリアの湖を行く船の上で
▪仙台 彫刻の代表作が収まる美術館で
▪津和野 開館間もない故郷の美術館で
▪永福町 幾体もの彫刻がたたずむ彫刻家のアトリエで
佐藤忠良さんは、1944年兵役招集され満州へ、そのまま3年間シベリア抑留となる
佐藤忠良記念館は、1990年に宮城県美術館に併設増築(約600点の彫刻作品収蔵)
安野光雅美術館は、2001年に山口県津和野に建築され、75歳の誕生日に開館
佐藤忠良さんは、1959年に杉並区永福に自宅アトリエを構えた
佐藤忠良さんは、生涯、自分を”職人”だとした。そして、
「職人に勲章は要りませんから」と、国家の賞を全て辞退した
芸術院会員を二度断り、文化功労賞を二度断り、勲四等を断り、杉並区名誉区民賞も断る
”名誉”への国家からの賞は断るが、彫刻の”作品”への評価は受けている
アカデミアの会員には知らないうちになっていたという
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1981年、フランス国立ロダン美術館より招聘され、アジア人として初めての個展を開催し、その功績により、フランス・アカデミー・デ・ザボール客員会員に推挙される
1984年 イタリア・アカデミア・ディ・サン・ルカ会員に推挙される
会員の人は作品を一点収めることになっていて、ミケランジェロやダ・ヴィンチの作品もある、そのローマの美術館に、佐藤忠良さんは『王貞治』さんの彫刻を収めた
王さんに会った時の話が印象深い。
王さんが世界記録を作った時に彫刻を依頼されたので、会わなければと思いアトリエに来ていただいた。
ひょっと会った瞬間に「いい顔をした男だなあ」。派手ではないけれど、たたき込んだ顔にみえた、という。
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職人として、毎日粘土をこね、普通の人として生きていく。
その彫刻が評価され1989年「朝日賞」を受けた。
その時、副賞のブロンズをもらうが、それが自分の創ったブロンズだったので当惑した、という話はおもしろかった。
佐藤忠良さんの言葉より
「自分の目でものをみているか、自分の言葉で話しているか」
「僕のつくる人物像は、いつも普通に暮らしている市井の人が中心です。どこにでもいる人の、素朴な人間性に惹かれるのです。そんな存在を通し、人間の厳しさや優しさを彫刻で表現したいと願っています」
安野光雅さんの言葉より
「普通の、ごくごく普通の時ほど、こちらの胸にはせまってくる」
