著書:金子兜太いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」
選者:金子兜太 いとうせいこう
発行:小学館 2016/7 初版
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読者が投稿した俳句を朝刊一面に毎日一句載せていく。
2015年に掲載された作品。
寄せられた投稿は57000通以上。
3歳から106歳まで。
日本だけでなく、世界中から。
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句集より抜粋※二人の評もいい
■起き抜けの水を六腑に原爆忌(岡村イト子/82/東京都)
(金子)その水が欲しかった人を体で思い出す。歴史の記憶が生き返る。
(いとう)起き抜けの水の旨さに、激しく水を求めた被爆者を思う。
■シベリアの捕虜六年で貝になる(柏マサ枝/74/茨城県)
(いとう)戦争体験者は多くを語らない、という。語りようもないのが戦争なのだろう。言葉を奪うほどの体験を強いて、心を押しつぶすのが。
■この婆は戦争遺児とゆう子供(浅野みちよ/72/愛知県)
(金子)シベリア抑留で父を失った戦争遺児です。悲しみは今も続く。
(いとう)過去を語ることは古くさいのではない。語り手を若返らせることだ。
■母の靴はいて比島に父訪ぬ(重松澪子/73/東京都)
(いとう)戦地フィリピンを訪れる慰霊の旅に、母の靴。父はかの地で戦死しており、その土を靴で踏む。接触はもうそのような形でしか訪れない。
■凝視せよ薄暗がりへ続く道(長沼通郎みちお/41/神奈川県)
(いとう)不気味な時空間への恐れと警戒。われわれに凝視を誘い、対象をこそ恐れさせることを促す。渡辺白泉の一句とも照応する。
※渡辺白泉「戦争が廊下の奥に立つてゐた」
(金子)戦前の新興俳句運動は、日中戦争開戦の3年後に弾圧された。火つけ役は俳壇の内部だった
※おふたりが一番印象に残ったという句は最初の1月1日に掲載されている。
■平和とは一杯の飯初日の出(浅井将行/18/愛知県)
(金子)浅井君は毎日のご飯に感謝し、その毎日の平和を守る覚悟だ。
(いとう)まずささやかな満足が個人にある。それなしに国平和などない。
