#平安文学から寄り道🐾
「業平」に続き、高樹のぶ子さんの本を読みました。今度は在原業平と同時代を生きた歌人・小野小町の物語です。
小野小町といえば、百人一首に選ばれた「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」があまりにも有名。三十六歌仙の一人です。あとは美人!
#世界三大美女(クレオパトラ、楊貴妃と小野小町)っていうのもありましたよね
時代としては9世紀頃、紫式部らの時代から150年ぐらい前に生きた人です。
どんな人生を歩んだのかは、生没年すらよく分かっておらず、歌と各地に伝説のみが残っている。そんな女性であるそうです。
本作では小町は小野篁の娘であったとし、出羽国から京へ上る旅から話がスタート。古今和歌集の十八首を中心とした和歌が物語に散りばめられています。
政変のあった時代、特に前編に当時の政治情勢が書かれていました。貴族であった小野氏も例外ではなかったようです。小野篁も逸話や伝説のある人で、いつかこの人についても読んでみたいです。
小野小町の人物像が魅力的で、こんな人だったのかもしれないな、と想像が膨らみました。そんな小町の秘めた生涯の恋・・・ネタばれになるので詳細は控えますが、こういう恋もあるのか。泣きました😭
タイトルの「百夜」は、伝説の「百夜通い」から。能楽の「卒都婆小町」の元にもなっているお話です。この「卒都婆小町」の小町は結構酷い扱いですが、そういう人ではなかったのではないかという視点で書かれていて、共感できました。
小野小町の和歌をほとんど知らなかったのだけど、心の奥に直接訴えかけるような鮮やかさを感じました。熱いものを秘めた人だったのではないかな。同時に「移ろい」「夢」というのも歌から強く感じます。
物語最後に書かれた小町の長歌が美しくせつなく、心に響きました。