京都文化博物館「松尾大社展 みやこの西の守護神」 | 美術館大好き!大阪・兵庫・京都・奈良へのお出かけ日記

美術館大好き!大阪・兵庫・京都・奈良へのお出かけ日記

大阪・兵庫・京都・奈良へのお出かけの日々をメモ。美術館・博物館や神社仏閣、舞台やクラシックにも興味あり。その他興味があることはなんでも。

Instagramの内容とほぼ同じです。

京都・四条通の西の端に位置する古社、松尾大社。以前に訪れて、とても雰囲気が良かったので展覧会にもぜひ行きたいと思っていました。


左から 男神像(壮年)、男神像(老年)、女神像 重文。平安時代 9世紀。


わが国最古級の神像彫刻である御神像や、源頼朝、足利尊氏、織田信長、徳川家康などによる中世・近世の古文書をはじめ、祭礼や酒神としての歴史、酒造りについて広く展観する内容です。

 

松尾大社は平安遷都以前から鎮座する古社であり、渡来系氏族である秦氏によって建立されました。その古社が朝廷・武家政権によって庇護を受けながら、現在に至るまで存続している凄さを思います。


展覧会全体の印象を言うと、古文書が多い!そして、その内容が面白い

内容が丁寧に紐解かれ、平安時代から天皇が度々行幸するような格の高い古社が、時流を読みながら、神社存続の為に力を尽くしてきたことがわかります。


いかに収入を確保するか、というのは古今東西、大変重要な問題。

松尾大社は京都周辺だけでなく、兵庫・鳥取・静岡・富山などにも社領(荘園)を持っていたそう。平安時代は朝廷(天皇)に、武家の力が強くなると鎌倉幕府、室町幕府へと領地安堵を願う先が変わっていきます。室町幕府が機能しなくなると、有力者に頼ったりして凌ぎ、織田家、豊臣家、やがて江戸幕府へ。


ずらっと並んだ歴史の偉人の名で発給された朱印状にもわくわくしましたが、面白かったのは、「その土地はうちのだから返して」「言いがかりつけないでください。あの土地はうちのものです。」「元はあなたの土地だったとしても、長い間支配していなかった土地のことを今更言うのはいかがなものか」といった裁判の記録や「社殿を建て直すお金をください。でないと、明日にも崩れ落ちてしまいます」といった援助を求める記録とか、昔の人の声が生で聞こえてくるような内容があったこと。

古文書ってこんなに面白いんだ!と目から鱗でした。

#もちろん、会場の詳しい解説のおかげ

 

展示の最後はわが国最古級の神像彫刻。平安時代に掘られた木造です。以前に神像館で見た女神像と男神像に加えて、多くの神像が並び、迫力がありました。

仏像とは雰囲気が違い、男神は役人風の格好、女神はゆったりした着物のような装束で、親近感があります。平安時代の人が思う神様ってこんな感じなのかな、と興味深かったです。




その他、お酒に関する資料や、名所であった松尾大社の絵による紹介など、楽しく見ました。歴史好きの方におすすめです。