1月18日(月)ブログ風、メカうんちく/リアクッション編 | 一郎のだまされ日記

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チーム黒山レーシング 黒山一郎でございます。

RTL50Sのリアクッションは、リンクなし一本サスペンションで、カッコよくYAMAHA風に言うと一時代を風びしたカンチレバー方式ですね。見ての通り、細い胴体と細いスプリングでこれで“もつんかいな”ですが、まあ、大人が乗って攻めなければ大丈夫でしょう。



・沈みはいいんだけど、伸びが餅がついているようにジヮ~っとしか上がってきません。
・ストローク感がまるでない。

の2点をまずは改善しますね。

何はともあれ、リアクッション本体からスプリングを外しますが、これは見ての通り「それ用の特殊工具」を使ってはずします。特殊工具って言いましても、スプリングを上と下で引っ掛けて縮めるだけのものですが、これがないと簡単には外れません。


リアクッションによってスプリングの「長さも太さも」違いますので、工具安売りのアストロ工具でこの汎用スプリング外しを何本か買って持っておいて、外すそのスプリング用にその為の上下フック部分を削って合わせ使います。


ボーイスカウトが持っている10徳ナイフと同じで「何にでも全部使えますよ」は、何にでも使いずらいのと同じで、「どのリアクッションのスプリングもはずせますよ」の、10徳スプリング外し特殊工具は使いずらいどころか「はずせない」ことの方が多いですよ


リンクがついていないサスだもんで、リンク性能をスプリングの形状で出そうと「不等ピッチ」のスプリングを採用しています。この不等ピッチのスプリングは「初期の細かい動きは狭い隙間の部分が動き」、それ以上の沈み込みになると狭い隙間は埋まってしまい、次に「隙間の広い部分が動き始める」、という仕組み。


その昔は、このスプリングのように一本のスプリングで狭い隙間と大きな隙間を同時作って使うよりも、狭い隙間のと大きい隙間のと、の2種類のスプリングを上下につけていました。

この理由は、製作技術上の問題か、製作コストが安くあがるのか高くつくのか、の問題かはわかりません。ですが、今はさっぱり見なくなりました。

でも2種類のピッチ隙間の違うスプリングをつけたほうが、上と下を交互に別のピッチ隙間のに交換できるので、実戦的には「大会の地形によって好みに合わせられる」という利点があります。

例えば、細かい最初の動きはこれでいいけど、次のこらえはもう少し硬く、なんていうリクエストがある場合、それぞれの担当のスプリングが別々にあるほうがそれだけを交換できる利点があるの。

不等ピッチの一本のスプリングだと、理屈上は「そのリクエストの通り」であっても、そうは理屈上通りにはいかないことが多かったですね。

ですので「動く神経質」と呼ばれたルジャーンは、こちらの2本組み合わせの方を常に使っていました。


少し見えにくいかもしれませんが、ルジャーン専用RTL360Tのリアクッションをよく見ると「上側の黒いのが狭いピッチ」ので「下側の赤くて長いのが広いピッチ」の2本のスプリングを使っていますよね。





多摩テック、この本邦初公開のピポット(その場)フローティングターンのリアクッションを見てみると、上側の黒い狭いピッチの部分のスプリングは縮んでぺったんこ。次のこらえが下側の赤いスプリングに移っているのが、よく分かります。



左がスタンダードそのもので、右側はバラバラにした同じもの。


窒素は入っていませんが、ちゃんとオイルが入ってオイルシールもついて、リバンドストップスプリングも組み込まれています。

ピストンリングはジュラコン製で、合口隙間も“オリフィス特性”を発揮できるように細工がキチンとしてありました。さすがですね。


“オリフィス特性”とは、荒っぽく以下の説明。

・筒の中をピストンが上下する場合、内部が空気や気化ガソリンだけだったら動きは抵抗もなくスムーズです。
・筒の中にオイルが入っていたら、動きは抵抗がありスムーズにはなりませんが、この抵抗を利用したのがダンパーなんで、この動きの渋いのは渋いのでいいのです。
・で、動いている最中の渋さはいいのですが、オイルがあると「初期作動」がすごく悪くなるという欠点特性があります。
・ですので、初期作動の時も、いつでもスムーズに動き始めるように「常にオイルが微量は流れている」ようにオイルバイパスがつけてあります。
・例えが変かもしれませんが、凍える夜に野外の水道は少しだけ出しっぱなしにしていたら蛇口が凍らない、つまり、いつでも液体が少しでも動いていたら動きがいい、凍りにくい、の原理と同じかもね。

ということで、オリフィス特性とは流体の流れをコントロールして、より良くしようという理論のことを言います。

でも、キャブレターのベンチュリー効果の説明の時に“オリフィス特性”うんぬんとも言いますが、ここでいうオイルのダンパーでの流れと、キャブレターのガソリンの流れの“オリフィス特性”うんぬんとは、少しばっかり違うみたいですね。あんまり勉強していないから、これ以上は分からず、お許しを~♪

本日はここまででおしまい、また明日には書けるかな~♫