<黒山ファミリーを応援してくださる皆さまへ>
●孫の次男坊/黒山陣(じん)14歳中3生/国際A級スーパークラスの、トライアル世界選手権挑戦の結果
現在、トライアル世界選手権には4つのクラスがあります。
1. トライアルGP →16歳以上で選ばれたライダーのみ
2. トライアル2 →16歳以上で世界選手権に挑戦する希望者、誰でも
3. トライアル3 →年齢を問わず、125cc限定で参加
4. レディスクラス →女子のみ
という事で、男ばっかり4人いる孫の2番目の「陣/14歳中3生」が、’24年トライアル世界選手権、第3戦第4戦アンドラ大会と第5戦第6戦イタリア大会に挑戦いたしました、のご報告です。
陣はまだ14歳ですので、好むと好まざるとに関わらず「トライアル3→年齢を問わず、125cc限定」のクラスしかエントリー出来ません。それとライダーが16歳未満の場合は、サポートライダーには「必ず18歳以上」が同行して走ることが義務付けられています。
陣は全日本選手権を走る時はサポートライダーとして兄貴の陸一(りくと長男16歳)をつけて走っていますが、陸一はサポートとして年齢制限がある世界選手権はサポートとして走れません。という事で、お父さんの二郎が同行してサポートとメカニックをつとめました。
普段は全日本選手権を走る300ccで練習していますが、世界選手権を走る125ccには十分に乗り込めない状態での参戦。世界選手権各国のセクション難易度で1~2位を争う超難関の地形はアンドラ大会とイタリア大会です。あげくに、どちらの国も標高が2000m付近の会場。で、初めての世界挑戦で、いきなりこの二つの国と国はいい経験というレベルでなくて、少し垣根が高く無理があったのかもしれません。
・第3戦アンドラ大会 1ラップ目11位→2ラップ終了結果8位 参加21人
・第4戦アンドラ大会 1ラップ目3位 →2ラップ終了結果8位 参加21人
・第5戦イタリア大会 1ラップ目12位→2ラップ終了結果6位 参加22人
・第6戦イタリア大会 1ラップ目2位 →2ラップ終了結果8位 参加22人
の結果を残しました。1ラップ目2位とか3位で帰ってきて、2ラップ目にどちらも結果8位まで落っこちたのは本人にも誰が見ても「最後まで体力が持たなかった」のが原因。どちらの国の大会でも、2ラップ目後半のセクションでは、ステアケース(段差手前)で思いっきりハンドルを引くと、アクセルを握っている右手が外れそうなるくらいに力がなくなっていたそうです。それと、初めての2000m級の高さの標高での、酸素不足もあるでしょうね。
何のスポーツでも向こうのと日本人は「体力が違う」と申しますが、でもこの競技、過去に世界チャンピオン藤波貴久くんがいますので、「もっとテクニックをつける、もっと体力をつける」で解決できる問題。なにせまだ14歳ですので体力的には無理としても、精神的にすごく悔しい思いをして帰ってきたのが「大収穫」です。
それともう一つの収穫は陣本人も言うように「食べ物を含めて、気候風土風習が違うヨーロッパの生活に合う」を経験し、「ヨーロッパでやれる」を見極めてきてくれたことです。明治時代に国費で夏目漱石はイギリスへ、森鴎外はドイツへ留学し、夏目漱石は日本に「夏目狂ス」と電報を打たれるほど現地になじめず、森鴎外は4年の「任期をもっと伸ばしてくれ」というほど現地に馴染み、異国の地に慣れるか慣れないかは、何事も「現地でやってみないと分からない」ものですね。
●15歳になった陣、トライアルデナシオン(国別対抗戦)に選ばれて出場決定
トライアルデナシオン(国別対抗戦)が、すべての世界選手権の日程が終了した次の週、9月22日にスペイン北西部、ポルトガルの少し上側の街Pobladura de las Reguerasで行われます。これはそれぞれの国が3人の選抜ライダーを選び派遣して、トライアルの強い国と弱い国とに2つに分けて、それぞれのクラスに分けて戦います。まあ、トライアルのオリンピックと言っても間違いではないと思います。
選抜方法は、単純にその時点の全日本ランキング上位ライダーから選ばれ、選ばれたライダーが辞退したら順次繰り下がって決定するというルール。であれば、現在全日本ランキング1位の小川選手、2位の黒山健一選手、3位の氏川選手が順当に選ばれます。
藤波監督の選考アドバイスは「順送りではなくて、現在、世界選手権に参戦して戦っているヤングライダーを、将来の為、経験を積ませる為に行かせてはいかがですか」です。で、この意見も参考にし、他の色々な判断を考慮して、最終的にはMFJの選考会議で正しい選考方法で決定したそうです。
という事で黒山陣ちゃん、15歳になりたてのホヤホヤでデナシオン参戦、今年6月の世界選手権に続き、2度目のヨーロッパ遠征が決定したいきさつですね。現在、最強の世界チャンピオンのスペイン人トニーボウが38歳だから、15歳はとてつもなく若いのです。
●日本代表チーム
一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)は、2024年9月20日(金)~22日(日)にスペインのPobladura de las Reguerasで開催される国別対抗戦、FIMトライアル・デ・ナシオンに日本代表チームを派遣いたします。トライアル・デ・ナシオンはFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が年に一度開催する国別対抗戦で、世界中から各国代表チームが参戦します。
日本代表チームは昨年、2019年以来4年ぶりに同大会に出場し、インターナショナルトロフィークラスにて金メダルを獲得しました。今年も同クラスでの”世界一”を目指しますので、日本代表チームへのたくさんの応援をお願いいたします。
〈ライダー〉
小川 毅士(37歳) →現時点で全日本ランキング4位
廣畑 伸哉(19歳) →世界選手権トライアル2クラス全戦参戦中
黒山 陣 (15歳) →世界選手権トライアル3クラス参戦
〈アシスタント〉
黒山 二郎
Jordi Ramonet(ジョルディ・ラモネット)
〈監督 兼 戦略マネージャー〉
藤波 貴久 →元世界チャンピオン
〈団長〉
小谷 徹(MFJトライアル委員、全日本選手会会長)
昨年の12月に撮った、左から陸一、健一、陣の東京でのMFJ表彰式の時の姿。真ん中の健一が身長175センチですが、7ヶ月後の今現在の時点で、左右の甥っ子は真ん中のおじさんに背が並んでいまして、二人ともにもっと伸びそう。お父さんの二郎が180センチちょうどだから、お父さんを余裕で超えるかもしれません。
●’25年の来年の陣
陣は6月生まれですので、現在、15歳になったばっかりの中学3年生で、来年3月で義務教育が終了します。まだ暫定ですが、Sherco社からの意向としては
(1) ’25年はスペインSherco社と契約してFactory入りし、世界選手権トライアル3クラスを全戦エントリーする。
(2) 6月に16歳になってトライアル2クラスを走れる資格を得ても、このクラスは走らない。あくまでも125ccクラスで、世界チャンピオンを目指す。
(3) サポートとして、Sherco社の社員をつける場合は陣一人でスペインに行くか、父親の二郎がサポート同行するか、はまだ未定。
過去に世界選手権をフルエントリーした若手はたくさんいますが、藤波くんが世界チャンピオン、健一が世界ランキング3位まで登りつめ、他は鳴かず飛ばずだったのの結論は「義務教育が終了した時点で、早くに本場に行って戦い方を覚える。高校に進学し卒業してからヨーロッパへは、箸にも棒にもかからない」ですね。
最後に「蛇足中の蛇足」「自慢話は聞きとうない」になりますが、孫の陣が世界選手権を走った事により、「黒山ファミリーは1代目一郎、2代目健一、3代目陣となり、黒山3世代が世界選手権を走った」という記録を打ち立てました。黒山ファミリーにとって、先を越されましたけど藤波貴久くんに続く2人目の世界チャンピオン獲得が目標です。
これまた蛇足中の蛇足の蛇足ですが、陣の後には三男の太陽(たお)13歳中1生というのが、陣の打ち立てた最年少記録をすべて打ち破ってあとを追いかけて上がってきていますので、さてどうなります事やら。
モータースポーツは
(1)大会を運営する組織
(2)バイクを開発する組織
(3)そのバイクを操るライダーチーム
(4)サポートするスポンサー組織
のが4つが必要です。はい、黒山ファミリーは(3)の「バイクを操るライダーの育成」に全力をつぎ込みますので、今後ともに有形無形の応援をよろしくお願いいたします。
トライアルとは関係ありませんが、向こうの皆さんの陣の評価は乗る事以外に、日本人らしい風貌、言い換えると今のチャラチャラした容姿より、いかにも古風な日本人、例えば高倉健さんや菅原文太風のこわもて容姿に人気が良くて、軽いタッチのところもなく、でも挨拶をきちんとする子の評判が高かったらしいです。
それと一郎さん的に嬉しかったのが、その昔に私と走っていたのや、健一と走ってライバルだったのが、今は向こうの各メーカーの監督とか世話役になって、まだ「黒山一郎と黒山健一」を覚えていて、「KUROYAMAブランド」が残っていたことです。今のSherco社の世話役をしているのは、スペイン人のルイス.ガリャックで、38年前に私が初めてスペイン大会を走った時の、メカテクノでの初優勝者で「KUROYAMA親父はよく覚えている」と言っていたそうな。やっぱり歴史の積み重ね伝統は強いですね。
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株式会社黒山レーシング/事務雑務担当ジジイの黒山一郎より