1月17日(日)ブログ風、メカうんちく | 一郎のだまされ日記

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チーム黒山レーシング 黒山一郎でございます。

<1月17日(日)ブログ風、メカうんちく>

以下、排気系について能書きをたれていますが、これは総じて「荒っぽく言うと」ですので、その筋の詳しい方からすると「間違っちょるバイ」の部分があっても、これは大きな心で笑ってお許しくださいね。

2stエンジンの排気系は「エキゾーストパイプとチャンバーとサイレンサー」の3つが、順番に組み合わされて性能を出しています。

エキパイはシリンダーから出てすぐの直線部分のことで、チャンバーまでですね。エキパイの役目はピックアップを担当します。この直線部分の長さ太さ厚みで決まりますが、金属の材質は「2stはステンレス、4stはチタン」が一番いいのはテストで証明され済み。

低速からのピックアップなんて必要ないモトクロスやロードのバイクは、この直線部分がなくてシリンダーから出てすぐに膨張管(チャンバー)になるの。

チャンバーのことは日本訳で膨張管でして、役目は「燃えかすの排気を引っ張り出したり押し戻したり」して、バルブの代わりをしています。排気系三つのうちの一番大切な器官ですね。

実際のところイギリスかドイツかイタリアかわからないけど、とにかく内燃機関が発明された当初、エンジンから出る排気の音を小さくするだけの役目が排気系だと始めは考えられていました。

ところが1935年にイギリスのジェームス.カデナシという鍛冶屋のおじさんが、バルブのない2stエンジンは、排気系、特に真ん中の中間付近をふくらませて、その中で排気ガスをふくらんだり収縮したりを繰り返させる事により、一度出た排気ガスがチャンバー内部でタイミング良く押し戻され燃焼室出口に戻り、バルブのない2stでバルブの役目をする事や、次にその戻ったガスが一気に加速して外に吹き出す現象を発見しました。これがいわゆる「カデナシー効果」ですね。

これが約70年前の事でしょう。今でも2stエンジンはこのカデナシー効果をはずす事はできないし、今はコンピューターで「排気量とエンジンの目的」別に設計図が出てくるでしょうけど、感と経験だけの昔の人は「すごいね」の一言です。

さて、何本か作ってテストしましたが、どっちもいいのでどっちとは言えず、生き残ったのがこの二つのサイレンサー。サイレンサーという表現をしていますが、これも単に音消しだけでなくて性能部分に大きな影響を持っている部分でもあるのです。

陣くん号についている、ややすべてが大きめのサイレンサーで、筒の外形も長さも、中に入ってるパンチングパイプの大きさも大きいタイプ。陸くん号についているのと性能曲線はほぼ同じなんだけど「下のトルクはあるけど、回転が上がった時の上のトルクがない」「中速付近までですべてのパワーが出っきってしまう」と、表現しましょうか。

陸くん号についている陣くん号のとは、すべてが小ぶりのタイプ。「下のトルクはないけど、回転が上がった時の真ん中から上のトルクがすごい」「低速→中速→高速ときれいにつながる」と、表現しましょうか。

で、今のところ、アクセルワークのいい陸くんは小さめの「低速→中速→高速ときれいにつながる」タイプサイレンサーで、すぐに全開にしてモトクロス的な乗り方をする陣くんには「すべてのパワーが真ん中で出っきってしまう」タイプサイレンサーにしています。

テストライダーの体重が70キロくらいあっても、アクセルあけると「グッグッ」と加速感があるくらいだから、25キロくらいのライダーが乗ると、多分、もっとすごいのでしょうね。事実、見ているアクセルを開けるとバイクに連れていかれている。

という事で、エンジン系と排気系の改善はとりあえずはおしまい。

前後サスペンションのうち、フロントフォークはまあまあのレベルにスタンダードで収まっていますが、ひどいのはリアクッションで「固い.渋い.ストロークがない.動かない」の、まさに4重苦。リアクッションのいじりはうちの得意技の筆頭だから、次はリアクッションの改善へと進んでいくのである。

大人のリアクッションはかなりいじってだいたいのところは分かっているつもりだけど、体重25キロ付近のライダーは初めてで、どうやったらいいのかと、とても楽しみですね。