犯罪加害者の実名報道にメリットはゼロでないかも | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 私自身の基本スタンスはメディアによる実名報道には反対 である。

 反対ではあるのだが、このニュース に接してふと思った
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150326-OYS1T50074.html
「もし加害者が匿名で報道されていたら、当該病院周辺の病院に勤める人はもっと怖いんじゃないの」

 

 この現行犯被疑者は、普段から病院に通っていたようだ。
 むろん、刑事処分が済んだ後、当該犯行現場になった同じ病院にはさすがに行けないだろうが、身体が不具合ならばその後もどこかの病院に通わないといけない。

 ところで、医師には応召義務 がある。そこがイヤだからという理由で対応相手を選別できるほかの職種と異なるところであるのだが、そんな彼が刑事処分が済んだ後、治療のために来院した場合、診療を拒めないという結論になる。

 でも医師だって、スタッフだって人間である。幾ら仕事でも、彼の診療を受け続けるのはコワイに違いない。
 青物横丁医師射殺事件も かつて起きた、医師が逆恨みされたときに直接暴力に訴える人もいるのだ
 なぜなら、彼は理由はわからないが医師を恨んで危険な刑事事件をしでかした人物であり、普通の患者とはそういう事態に陥ることはないのだから、普通の人よりコミュニケーション能力に支障を持っているかもしれない。
 その彼の診療を継続した場合、診療上のトラブルが起きる可能性は普通の人よりも高いといえるのではないか。

 そんなとき、周辺の医療機関が、医療トラブルを起こした彼の実名をすぐ検索できる形で記録に残しておくことで、彼が刑事処分終了後に保険証を使って来院してきた場合、診療拒絶までせずとも、そういう経歴ある人物であることを知って敏感に対応することで、リスク再発に注意を払いながら診療しつづけることもできるわけだ
 匿名報道であれば、医療機関はこのような対応はできない。
 犯罪加害者に対するラべリングに対して違う意見はあるだろうが、医療トラブル歴を理由に医師が診療拒絶することを是認しなければ、このシチュエーションでの犯罪加害者の実名報道はデメリットよりもメリットが大きいといえるのではないか。
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