最初はリボルビング取引で借り入れを始めても(第1取引)、融資枠を大幅にUPする際、不動産担保融資に切り替える(第2取引)ことがよくある。
融資枠を大幅にUPする目的は、複数の債務の一本化だったり、新規に借り入れた分を事業資金に回したりいろいろだ。
むろん、400万円を年15%で融資されたような書類がつくられていても、実際には250万円しか受け取れず、差額150万円は第1取引の債務完済に全額充てられたりする。
消費者サイドは「従前の第1取引の完済と新たな第2取引での貸付が同日であることや、実際の交付額は差し引きの差額しか渡されない」ことなど理由に、担保の有無という違いはあっても両者は一連の取引であるから、引き直し作業の際にも、2つの取引を切り離すべきではないと主張してきた。
2012/9/11最高裁は、第1取引がリボルビング、第2取引が確定金額を貸し付けた証書貸付というケースにおいて、消費者サイドの主張を排斥したhttp://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120911131723.pdf
今回の最高裁は理由づけで、2008/1/18最高裁判タ1264号115頁を引用し、リボルビング(第1取引)と確定金額の証書貸付(第2取引)では、弁済方法を含む契約形態が大きく異なるからと言っている。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080815100408.pdf
しかし、今回の最高裁では田原睦夫裁判官が「第1取引も第2取引も、同様にリボ契約ならば、基本的な相違は担保権設定の有無だけであるから(両者の利率の違いは第1取引の途中で利下げしたのと同視できるという意味)、両方の取引を事実上1個の連続した貸付取引と評価することが出来る余地がある。」と、不当に広範囲に切断せぬようくぎをさす、補足意見を書いてくれている。
両方ともリボ契約の場合、第1取引により発生した過払い金を第2取引の借入金債務に充当する合意が存在するともいえることになり、第2取引が確定額証書貸付でないリボ契約の場合はなお今回の最高裁の射程外として下級審で争うべきである、全国の弁護士よ。
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