ろぼっと軽ジKの頃に2012/4/25記事で書いたのですが、和解が成立したという情報が入ったので修正し再掲載します。
安達史郎弁護士は、法テラス八戸事務所に常勤しつつ、雇用主の日本司法支援センターを残業代108万円+付加金104万円が未払であると提訴しました。「外よりも内側照らせ法テラス」こんな皮肉もネットには流れています。
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2012/04/24/new1204240803.htm
前所長時代の分のみということは所長でなくなり常勤弁護士となった今は、残業代をきっちり支払ってもらってるということなんでしょうか、そこまでは分かりません。
「名ばかり管理職」という言葉は、東京地裁2008/1/28判タ1262号221頁マクドナルド店長判決を契機に、一般にも普及し始めましたそして、法律が想定する未払い残業代の支払対象者に該当しない真の管理監督者がいかなる存在については厚労省の通達もでており、裁判所もほぼ同じ考えを示しています↓
http://www13.plala.or.jp/S-Kawamura/roudo/kanrikantokusha.html
真の管理監督者か、名ばかり管理職かを決する具体的要素は次の3つです法テラスに任期付で雇用されている人物に下記の要素があるかと問われたら、まず皆無ではないかと。一般企業の正社員よりも地位保証が心許ないことは明白ともいえるからです
・重要な職務と権限が付与されているか(経営者との一体性、例えば人事考課や業務指示など労務管理権限の有無)
・自らが出退勤について管理を受けない自由な存在だったか
・賃金面でその地位にふさわしい待遇がなされているか
業界人から注目されていた東北での裁判だったのですが、約60万円を法テラスが支払うという内容での和解がつい先日成立したそうです。
210万円を請求して60万円が支払われるという結果については、金額的にはまさしく和解的というか勝者も敗者も存在しないように見えるのですが、常勤弁護士制度の改善約束をあわせて取り付けたということですから、安達弁護士の本意はお金をもらうことよりもむしろこの約束を取り付けることに重点を置いての提訴だったように思えますともかく個人で法テラスという巨大な組織を相手に被用中に提訴する勇気は法の支配を日常うたう同業者の目からも感嘆に値するでしょう
他方、独立行政法人である法テラスが、提訴から半年内で金額支払義務を一定の限度で認める和解決着に応じたことも、同業者にとっては驚くようなスピード解決だったといえます。
裁判所からは上記基準に照らして管理監督者性は肯定しがたいという判断を前提とした和解勧試があったのでしょうが、それにしても一審判決という道を選択せずに半年以内の解決を済ませたことは異例ではないでしょうか。
この和解を契機に、法テラスに雇用される弁護士の待遇が今よりもぐっと改善されるとよいのにと思います。これから法曹になる若い人のためにも