(仮)準危険運転罪が創設される見通し | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

福岡若手弁護士のブログ「ろぼっと軽ジK」は私です。交通事故・企業法務・借金問題などに取り組んでいます。実名のフェイスブックもあるのでコメントはそちらにお寄せ下さい。

読売新聞です、クリックどうぞ


 現在は、昭和の頃から存在した業務上過失致死傷罪(刑法211条1項前段。法定刑は最高で懲役5年)の上に、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項、法定刑は最高で懲役7年)と危険運転致死傷罪(刑法205条の2、法定刑は最高で懲役20年)が存在する。このように、危険運転致死傷罪とそれ以外の過失致死傷罪との間に法定刑でいえば倍以上の間隔が存在する状態だった。


 危険運転致死傷罪が立法化された切欠の1つは1999年に起きた東名高速飲酒運転事故であったビール被告人は飲酒運転の常習者で3歳と1歳の女児が死亡し父が全身大やけどを負った大事故であったにもかかわらず、当時は業務上過失致死傷罪しかなかったため、懲役4年の実刑にとどまったからだ牢屋


 しかし、危険運転致死傷罪(酩酊運転・制御困難運転・未熟運転・妨害運転・信号無視運転)を設けたはよかったが、例えばこの重罰の適用を回避しようと、例えばひき逃げをして逮捕までの時間を稼いでアルコール濃度がその間に低下させることで、酩酊運転での検挙を困難にさせて、より軽い自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反というはるかに軽い罪しか問えないなど逃げ得を許す異常が生まれてしまった。


 さらに、危険運転致死傷罪は裁判員案件であるところ、まだ法令解釈が固まっていず最高裁2011/10/31判タ1373号136頁  が出るまでに地裁と高裁で逆転したり反対意見や補足意見が付されたりと、現実のさまざまな案件に適用すると果たして検察庁の勝訴見込が高いといえるかがおぼつかず弁護側が最高裁まで徹底抗戦するであろう案件も相応の確率で見込まれ長期化が危惧されるためか、てんかんの持病を隠しての免許取得や、集団登校に居眠りで無免許で突っ込んだ悲惨な事故でありながら同罪で起訴すること自体を見送る案件も散見されている。

 2011/4/18鹿島市で登校中の6人死亡

 2012/4/23亀岡市で妊婦と子供が死亡

 

 かような状況を見ると、思いっきりハードルの高い危険運転致死傷罪の適用範囲を解釈で広げようとするより、むしろ明確性の原則を要求する刑法典では早急に準危険運転罪を追加することが、国民の要求に合致する立法といえよう。国会は総裁選やらで混乱しそうだが解散前に成立の目星は立ててほしい。

☆2013/11/20、刑法から自動車事故に関する規定を分離して、自動車運転死傷行為処罰法が新設されました
 http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/11/20/kiji/K20131120007049670.html

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

↑↑↑ランキング参加しています、クリックお願いします