#708 西友小手指店跡 ~解体直前のドライブインシアターの遺構~ | 関東土木保安協会

関東土木保安協会

Kanto Civil Engineering Safety Inspection Association

~ 土木の迫力 機械の技術 礎となった名も無き戦士達の魂 ~
関東土木保安協会は、鉄とコンクリートの美学と保全活動を追求します。


西友小手指店。
2023年の秋に惜しまれつつも再開発のため閉店したお店です。
ここの駐車場にはドライブインシアターのスクリーンが残っていることで有名です。
近くに行ったので見に行ってみました。


西友小手指店は1981 年に完成しました。
長方形の無駄がない外観は機能美を感じます。
地上5階建で結構な迫力です。


私が訪れた2024年2月下旬では、建物は囲まれ、中には入れない状態でした。


既に写っていますが、遠目でわかる巨大な白看板、これがドライブインシアターのスクリーン跡になります。


下写真で左に曲がっているフェンスが見えますが、あれが立体駐車場の跡になります。
ここがその昔は平面の駐車場で、ここに車を停め鑑賞できたようです。
垂直でなく、若干手前に傾いて設置されているのがポイントです。


ドライブインシアターも国内でそこそこ流行りましたが、現在では残存する国内施設は皆無のようです。
コロナ禍にその特性が注目され、イオンなどで復活したものもあったようですが、常設されているものではないようですね。
現在では国内でこのような大型のスクリーンが残っているのが希少で、唯一に近い存在になっていると思います。


さて、スクリーンを横目に敷地内の入れる場所まで入ってみると、使われていない信号機がありました。
舗装もしっかりされていて立派な道路です。


このとおり、庇付きの立派な信号機です。
見ての通り商業施設内の道路のためにわざわざ信号機があったようです。
当時の数多くの来店客を思わせるような、刺さるアイテムですね。
制御箱もあり普通の公道をイメージしてしまいます。


信号機の銘板を拡大します。
一般的な信号機と同じようです。
これは2005年の設置ですが、確かこの灯器も20年前以上前から出てるんですよね。
灯火間に分割できるような線が入っていて、セパレート灯器ではないんですが見た目が新しく感じられた記憶があります。
今はLED灯器がか当たり前になってしまいました。


信号などがある上部は、電源開発の只見幹線が通過しています。
勿論線路下は建物はありません。
緑地と公園になっています。
ドライブインシアターのある駐車場もこの送電線寄りにあり、小手指店の建設計画に影響を与えているのかな?と想像します。
只見幹線が無ければ、建物含め別の計画になっていたのかもしれませんね。
今でこそ建替られてしまい大きな鉄塔になっていますが、昔は鉄塔も比較的小さめで、結構間近に送電線が迫っていたのではないか?と思います。


そんな送電線が通過している反対側にはマンションがあります。
ヴィルセゾン小手指といいます。
名前で気付かれる方もいるでしょう。
セゾンの名を持つこのマンションは、西友と同じセゾングループのマンションかと思われます。
マンションからは、信号機のある駐車場の道路のアンダーパスをする道路が延びており、西友と一体的な開発をされた様子が伺えます。


アンダーパスは既にフェンスで仕切られ、奥には解体重機達が並んで作業している風景が見えました。
マンションと巨大スーパー。
西友小手指店跡地には新たにマンションが建設される予定です。
西友も戻ってくるとの話がありますが、当時のような巨大スーパーではないことは明らかでしょう。
セゾングループが築いた巨大商業施設と隣接したマンションという楽園は、時代の変化と共に思い出の1ページに納まっていくようです。


そろそろ外へ出ましょう。
看板があるのですが、普通は隠すところを一切目隠しなしで掲示を続けています。
間違って入ってきてしまう方がいるかもしれません。
それくらい、囲いの外側はまだまだ西友が生きているようでした。


貴重なドライブインシアターの痕跡がまた1つ消えました。
そして振り返れば、セゾン大帝国の痕跡も一つ一つ消えていってるのだと思います。
80年代~90年代の痕跡は、いつ見ても楽しいですね。
最後の姿に逢えてよかったです。


〈参考〉
・株式会社エンドウ・アソシエイツ : WORKS 西友小手指店 



・明正ブログ : 西友小手指店 閉店 


・イオンシネマ : ドライブインシアター