#559 蘇る恵心病院 No.302号室 | 関東土木保安協会

関東土木保安協会

Kanto Civil Engineering Safety Inspection Association

~ 土木の迫力 機械の技術 礎となった名も無き戦士達の魂 ~
関東土木保安協会は、鉄とコンクリートの美学と保全活動を追求します。


血紋ホテルからすぐ北のところに、もう一つホテルの廃墟があります。
こちらも同じく1980年代前半にできたようです。
通りに面してない分、敷地も建物も大きく、外装には凝った意匠がみられます。

▲血紋ホテルよりもお洒落な外観だ

外装は一度手を入れているのでしょう。
外壁材が石造りな雰囲気でお洒落です。
バルコニーのフェンスもクラシックなデザインです。

ホテルはチェーン店で、他の地域にも宿を構えています。
ここ港北の地にも進出していたのですな。

▲もう宿泊を呼び込むこともない看板

廃墟ですので、フェンスが立てられているのですが、これまた当たり前のようにばたんと倒されています。
そのまま駐車場まで乗り入れできそうです。

▲フルオープンだが招かざる客だけが来るのだろう

入口の方を見ると自動ドアも残っており多少は原型を留めていますが、ガラスは割られめちゃくちゃにされてしまっています。

▲入口は綺麗そうに見えてめちゃめちゃだ

駐車場は写真左手にも広がっています。
高めの壁で仕切られているため周囲からは見えませんが客同士ならよく見えてしまいそうです。
車寄せなのか駐車場なのか、ピロティ部分にも区画がありますがどう使っていたのでしょうか。

▲駐車場の区画がよくわからない

80年代のホテルでよくあったような円形の行灯。
こういう部分は既製品を流用したのでしょう。

▲フロントの案内。よく見るタイプな気がする

同じく円形の行灯がありましたが、こちらはお帰り専用口とのことです。
ラブホテルですので、チェックアウト客とチェックイン客のバッティングがないようにデザインされていたようです。

▲エッチなホテルの大事な「お帰り口」

ホテルの看板には空室か否かの表示があります。
ラブホテルならではですね。
イチャイチャしたカップルが無人の味気ない部屋案内をみて「全部埋まってるじゃーん」と見られたくもないのにわざわざ外に出た挙げ句がっかりして車に戻って挙げ句入店客と鉢合わせしないようにするための配慮ですね、はい。
この機能、明文化して説明すると改めて大事ですね…

▲予約なしなら、希望の部屋がなくとも文句はいけないのだ

下の円形の看板はなにかと見てみると「約30分後ご来店下さい」と書いてありました。
満室もしくは清掃中なので少し待ってくれとの案内ですね。
これなら事を待ちわびるカップルもそわそわしながら「他所いくか」「車でちょっと流してまた来ればよくない?」などと会話できるでしょう。
昔はネットも携帯もない時代ですから、手元の画面で地域一帯のホテルの空室情報を確認することもできず、電話すら公衆電話からかけないとダメだったので、電話帳で総当たりも簡単にはいかないですし。

▲見られたくない二人にとっては、些細な情報も貴重なのだった

裏手に回ってみます。
屋上の円形の看板が可愛らしいですね。
こちらの壁面には出入口だけが設置されておりミニバルコニーがついているだけです。
何のためにあるのでしょう?
それにしてもメルヘンな雰囲気で凝っています。

▲建物裏手。やはり壁面が綺麗で年月を感じさせない

綺麗な方かな、と思っていた矢先、やはり魔の手が及んでいました。
管理人室であろう1階はめちゃめちゃです。
避難ハッチは開けられ、梯子は降ろされ、やりたい放題ですね。
窓は開いてある箇所も多く、中も酷いことでしょう。
ちなみに、物件を検索すると、名前すら出していないのに前の案件の血紋ホテルばかり出てきてしまい、こちらは侵入された方のレポートが出てきません。
まだ話題になるほど荒れていないということなのでしょうか。

▲1階から侵入した形跡がある

入口の拡大写真を撮ってみました。
何故だか自動ドアは残っていて、隣の大きなガラスが割られています。
シャッターにはマーキングが。
ポリタンクも見えますが、何か良からぬ事をしようとしたのではないかと想像してしまいます。

▲よく見たら酷い有り様のエントランス

話題になっていないだけで、やはりそれ相応の被害を受けていた、血紋ホテルの近隣物件です。
どこか、静かに佇むホテルの廃墟はないものかと思ってしまいます。



以上、第三京浜から見えた2件、消え行く前に収めた記録でした。