関東土木保安協会です。
緊急事態宣言下なのですが、未公開ネタがあると記事には事欠きません。
先日、京王電鉄の線路の高架下に画一化された社宅らしき住居が建ち並んでいるというSNS上の話題を目にしました。
それはそれはその機械的というか、無機質な画になっているのですが、福利厚生やグループ全体での収益アップを求める日本企業としては行き着くべきところはこういうところだろうなと思って、面白い光景だとみていました。
そして、ところ変わって東京都港区。
以前所用で歩いていた時に、集合住宅らしきものが目に入ってきたのでした。
▲少し古めのマンションのようにも見える
廊下のような所に何枚か扉がある姿、明らかに集合住宅ですが、何やら様子がおかしいのです。
近くに行ってみると、東京電力グループのCIが。
そして扉には変電設備の文字。
そう、この建物は変電所だったのです。
変電所上の集合住宅、、恐らく社宅なのでしょう。
▲東京電力台町変電所
変電所と居住空間を分ける場合、恐らく居住空間にいる人間は普通はその特殊な施設に左右されず、また無機質な空間を避けたい意向が多分に想定されるため、恐らく変電所部分を完全にカモフラージュするでしょう。
ですがここは違って、変電所の気配を全く消すようには造っておらず、ここまで割り切ったスタイルなのは恐らく関係者向けの住居だからなのかな、と思った次第です。
都内で見れば、変電所上にオフィスビルがあったりするのは珍しいことではなく、凄いものでは変電所上に寺院があったりする例もあります。
東電PGでは、地中変電所は約200あると公表しています。
しかしながら、このような、露骨ではないもののよく見ればうすうす変電所っぽくもみえなくもないような、面影をチラ見せするような複合の建物はあまり見たことがなく、この形態は斬新に映りました。
建物は結構古そうで、40年は経過しているように見えます。
▲入口は普通の変電所だ
社宅の居住部への動線がいまいち読み取れません。
正門の大きい門扉から入ると、1階と2階に2つ扉がありますが、変電設備と記載があるので変電所用の扉なのでしょう。
右隣の小さい門扉がそれかというと、隠し扉のようなものがあるのみでフェンスでしきられてそれ以上はいけなさそうです。
写真左側の広い空地を通って奥から入るのかもしれません。
▲居住空間へのルートが謎な社宅だ
ドア数からして、全体で8戸ほど設けられていそうです。
少なくとも2DK以上はあるのではないでしょうか。
毎日特高変圧器の振動を聴きながら睡眠に浸れるなんて、電力ファンには夢のような居住環境ですね。
昔の団地と同じで、エレベーターがないでしょうから、引っ越しや荷物搬入時はネックになりそうです。
東電グループは、といいますか全国の9電力会社は各社単体で相当な社員を抱えており、東電では管内各地に社宅が存在していました。
恐らく、これが社宅だったとして、このような設置形態では到底自社社員の収容が間に合わなかったため、このスタイルが主流にならなかったのではないかと思います。
自社の空間を利用して土地の有効利活用を図るパターンは、様々な会社で取り組んでいますが、電力設備の世界もまた、奥が深いですねぇ。
〈参考〉
・東京電力パワーグリッド : 安定供給を支える設備 変電所