#557 【マニアな一基】 東京電力柿生線28-1号 青い「のいち鉄塔」 | 関東土木保安協会

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クルドサックに立つ柿生線31号から少し北に進むと、水色の鉄塔が見えました。
行くしかないですね。行ってみましょう。

▲柿生線28-1号

彼は柿生線28-1号といいます。
下段に併架する154kVの川崎火力線から2回線を引き下ろしています。
1981年7月、58mのプレートを付けています。
のいち鉄塔ですね。
他の鉄塔が1961年のプレートを掲げていますので、運開後20年で途中の引込用に割り入れされた鉄塔なのでしょう。

なぜ青いのでしょうか。
恐らくここが菅生緑地というところで、環境調和色を求められたからでしょう。

▲菅生緑地に立地している

しかしこの鉄塔もふと見ているとまた謎が生まれてきて、公園なら環境調和色は緑か茶色辺りのアースカラーを選択されることが多いところ、何故かスカイブルーの水色を選択されています。
また、当時でも鋼管をトラス組みしてスッキリと見せた環境調和鉄塔や、モノポールでスマートかつコンパクトな引き下ろしもできたであろうに、あえての他の鉄塔と似たような普通のアングル材による引き下ろし鉄塔になっています。
費用がネックだったのか、強度的に持たないためモノポールはダメだったのか、骨太のトラスでは費用がかかってしまったのか、むしろ他の鉄塔との調和による溶け込みを優先したのか……色々想像させてくれます。
154kVなので、離隔を気にすると、どう作ろうとこのくらいの鉄塔規模になってしまうんですかね。
緑地の敷地を占有するスペースが多いので制約を受けそうな筈ですが、そこはおとがめ無しに堂々と建っております。

▲正面から見た28-1号鉄塔。Aラインになるためプロポーションは悪くない

冬の青い空に、青い鉄塔。
なんとも素敵な同色系の組み合わせです。
かえって空ほど濃くないのがいいのでしょうね。
シルバーより優しいタッチです。
皆この色でもいいくらい優しさがあります。
塗装代がかかっちゃうので、きっとできないでしょうけど。

▲青い空にもマッチする青色鉄塔

下の方に目を向けると長い碍子連が目の前に飛び込んできます。
ここでは水沢線2回線を引き下ろします。
水沢線は水沢変電所へ供給しています。配電用変電所のようです。

▲2回線を引き下ろしている

水沢線の付近には、1982年に完成した川崎市中央卸売市場北部市場があります。
そのために増設された配電用変電所なのでしょうか。
154kVともなれば結構な碍子連で、間近ではなかなかの見応えです。
ただでさえ崖上の立地で、重いものを多数持たされて大変そうな鉄塔達です。

▲間近で引き込みが見れる

鉄塔の東側には空調付きの小屋がみられましたが、何のための小屋なのでしょうか。
ここから地中に引き込まれ、近くの道路まで出た後に道路下の地中を変電所まで突き進むようです。

▲ケーブルヘッドへ吸い込まれる水沢線

案外高さがあります。
青い鉄塔と言えば江東線の荒川河口上の鉄塔がよく知られています。
あちらは低い鉄塔で、しかも今は青色でなくなってしまいました。
環境調和色のメリットが塗装代に比して無くなってしまったのでしょうか。
対してこちらの28-1号はその高さも手伝って元気に美しい青色をアピールし続けています。
58メートルという60mに至らない配慮をしたかのような高さですね。

▲高さは58mもあった

今日も元気な柿生線28-1号。
環境調和色は緑か茶色だけではないと改めて考えさせてくれるのでした。