#164 伝説の廃病院、厚木恵心 | 関東土木保安協会

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Kanto Civil Engineering Safety Inspection Association

~ 土木の迫力 機械の技術 礎となった名も無き戦士達の魂 ~
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今回は久々に廃墟ネタでございます。
かじった者でもモグリでも知らぬ者はいない、厚木の恵心病院です。


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▲正面より。大型の鉄筋コンクリートが厚木に聳え立っていた


その規模、廃墟然とした外観で、テレビ・雑誌を幾度となく賑わせてきた物件でございます。

末期にはたまり場となり治安上の問題が発生、また人だけでなくハトの住みかとなり衛生上でも問題視され、1年ほど前に解体が完了してしまったのです。

廃墟系雑誌には幾度となく掲載されていますが、どれも90年代後期~00年代前半取材の写真かと思います。
廃墟探索家の諸先輩らは、有名物件だけに、解体される遥か前に取材を終えているのでしょう。

私が伺ったのは解体直前で、既に敷地全周にわたりフェンスが張られている時でした。
警備員も入り口に24時間体制で付いていました。


そこで目にしたのは、雑誌の姿とは異なる、日本国内とは思えないほど荒廃したコンクリートの巨体でした。


見て下さい、この迫力。落書きを。


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▲入口付近。地上なので落書きも最も酷い


30年以上前に竣工・開業した同病院。当時としては建物的にも最新鋭の病院として見られていたでしょう。
ところがどっこい、それから20年の間に廃業・再開を繰り返し、客足の遠のいた単なるコンクリートの塊が不良のたまり場になったのは有名な話です。


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▲建物側面より。窓という窓は全て破壊されている


廃墟化した後は、肝試しスポットになっていたといいますが、外国人が案内要員で常駐していたとか、カツアゲのスポットになっていただの噂があります。
犯罪の温床になっていたのは確かでしょう。


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▲南米にこういうシーンがあった様な・・・


どこぞのスラム街かと思わせるようなその外観、
末期の姿は今まで描かれたことがない部分にまで落書きされていたため酷く見えるのでしょう。
しかもポップな色合いの塗料で。


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▲どうやって描いたのか教えて頂きたい


とにかくアートと言えばアート、単なる犯罪と言えば犯罪です。
書かれていない部分がないくらい落書きで埋まっていました。
例えば煙突も。


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▲煙突までも抜け目がない


自殺者が出ていたという報告もありますが、
こんなところに落書きしているのでは死んでもおかしくありません。
例えばこれなんか↓


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▲窓から腕だけ出したのでは書けないような気がするが・・・


ただ描いただけではない、芸術的な作品もありました。
これなんかは、窓から女性がこっちを見ているようにみえるペイントです。


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▲中央の開口部に注目。これは芸術的


褒めてはいけませんが褒めてしまいますよ、
これだけ労力を使っていれば。。。


そんなこんなで、平成の大型廃墟の一翼を担っていた恵心病院、
現在は厚木市が土地を買い取り、更地化の上公園となっているようです。


廃墟というのは、好きで見る者にとってはいいんでしょうが(私も好きですが・・・)そうでない人にとっては厄介きわまりないという、廃墟の陰と陽をまざまざと見せつけられる物件なのでした。




敷地外の車にも落書きが・・・


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まったく、あの頃は治安が悪かったニャ~