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私的備忘録

書名:南の島のティオ
著者:池澤夏樹
出版:講談社青い鳥文庫
内容:珊瑚礁に囲まれた小さな南の島に住む12歳の少年ティオ。父親が営むホテルの仕事を手伝いながら、島を訪れては去るさまざまな人たちと出会う。自然豊かなティオの島では、神様の悪戯や子供を連れて行こうとする天の者などちょっと不思議な出来事も起きる。ある日、ホテルに「絵はがき屋」のピップが営業にやって来た。彼は、受け取る人が必ず訪れるという絵はがきを作れると言うが……。ティオの語る10の物語。
※1983年~1986年に雑誌に掲載した短篇を、1992年に単行本で、1996年に文庫本で出版。本書は文庫版を元に、一部ひらがなに改めるなどして出版。
※作者のあとがきによると、ティオが住んでいる島にはモデルがある。太平洋にミクロネシアと呼ばれる島々があって、その中にポナペという島がある。現在はポーンペイという名になったが、作者が訪れた時(1976年頃)はポナペだった。
 

書名:英国怪談珠玉集
編訳:南條竹則(なんじょうたけのり)
出版:国書刊行会

<収録作品>
『断章』 (原題:A Fragment) ジョージ・ゴードン・バイロン著 
 →1816年、バイロンと侍医ジョン・ポリドリが滞在していたレマン湖のほとりの家を、詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと、後にシェリーの妻となるメアリー・ゴドウィンが訪れた。彼らは退屈しのぎに、この中で誰が一番怖い小説を書けるか?各自が物語を書き始めた。シェリーの物語は完成しなかったが、メアリーは名作『フランケンシュタイン』を生み出した。ポリドリはバイロンが考えたアイデアをもとに『吸血鬼』(1819年)という短篇を書き、これも吸血鬼文学の歴史における里程標的な作品となった。そしてバイロン本人が書きかけたのが、この『断章』である。物語は起承転結で言えば「起」で終わってしまっている。
『ロッホ・グア物語』 (原題:Stories of Lough Guir) 1870年初出 ジョーゼフ・シェリダン・レ・ファニュ著 
 →作者はアイルランドのダブリン生まれ。本篇はリムリック州の旧家にまつわる不思議話。ロッホは湖の意味。
『柵に腰かけた幽霊』 (原題:The Ghost upon the Rail) ジョン・ラング著
 →作者はオーストラリアのシドニー生まれ。物語はオーストラリアがまだ植民地だった時代で、「フィッシャーの幽霊」として、オーストラリアの歴史上もっとも有名な幽霊話を題材にしている。ここに語られる殺人事件は、1826年6月に起こり、犯人は翌年1月に処刑された。幽霊については公式記録に載らなかったが、巷間に語り継がれ、言い伝えが形成されていった。この作品は、1859年出版の短編集に収録された。
『人殺しのヴァイオリン』 (原題:The Murderer's Violin) エルクマン=シャトリアン著
 →作者は、エミール・エルクマンとアレクサンドル・シャトリアンという、いずれもアルザス地方出身の二人で、長年コンビを組んで小説を書いた。フランスの作家だが、早くから英語圏の読者に親しまれる。本篇は1877年所収の英語版からの訳出。
『ウルヴァーデン塔』 (原題:Wolverden Tower) グラント・アレン著
 →作者はカナダのオンタリオ州生まれ、イギリスに移住。本篇は《ロンドン画報》1896年11月23日号に掲載された。
『白衣の人』 (原題:All in White) ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)著
 →作者がアメリカで新聞記者をしていた頃に書いた作品。本篇の初出は《Item》1879年9月14日号。
『牧人』 (原題:The Herdsman) フィオナ・マクラウド著
 →この作品は女性名で発表されたが、作者は男で、本名はウィリアム・シャープ。この作品はもともと長篇『Green Fire』(1896年)の一部だったが、作品全体の出来映えが意に満たなかったため、シャープは同書全体をを再刊することを禁じた。しかし、気に入っていた『牧人』の部分だけを書き改めて、短篇集『The Dominion of Dreams』(1899年)に収めた。
『闇の桂冠』 (原題:Finis Coronat Opus) フランシス・トムスン著
 →著者は19世紀末の詩人。原題はラテン語の諺で、「画竜点睛」というほどの意味だが、直訳すると、「最後の仕上げが作品に冠をかぶらせる」となる。「冠」というところがミソだ。
『青の無言劇』 (原題:A Blue Pantomime) アーサー・キラ=クーチ著
『蜂の巣箱のそばで』 (原題:Beside the Bee-hives) アーサー・キラ=クーチ著
 ※作中に「ある男が蜂の巣箱に秘密をささやいているのを見た」ことに対して「蜂どもは、主人の家で起こっていることを逐一聞かしてやらなかったら、自分らは仲間外れにされたと思うだろう。そして怒って出て行っちまうだろう。そんなのは、誰でも知ってる事さ」と答える場面がある。英国女王エリザベス二世が崩御されて葬儀が行われた際に、儀式の一つに王室の飼っている蜂に女王の崩御を知らせる儀礼があった。英王室独自の儀式なのかと思っていたが、どうやら英国民の風習らしい。
『地より出でたる』 (原題:Out of the Earth) アーサー・マッケン著
『N』 (原題:N) アーサー・マッケン著
『帰ってきた兄弟の話』 (原題:The Adventure of the Long-Lost Brother) アーサー・マッケン著
 →パントマイムの名優グリマルディーの『回想録』(第九章)に見える奇談を語り直したもの。
『コーニー・コート七番地B』 (原題:7B Coney Court) アーサー・マッケン著
『ブリケット窪地』 (原題:Brickett Bottom) エイミアス・ノースコート著
 →本篇は短篇集『In Ghostly Company』(1912年)に収録さた作品。
『ゼリューシャ』 (原題:Xēlucha) マシュー・ピップス・シール著
『ヘンリとロウィーナの物語』 (原題:The Tale of Henry and Rowena) マシュー・ピップス・シール著
『薔薇の大司教』 (原題:The Primate of the Rose) マシュー・ピップス・シール著
 →作者シールはカリブ海のモントセラット島に生まれ、ロンドンに出て小説を書きはじめた。『ゼリューシャ』は短篇集『Shapes in the Fire』(1896年)に収録された。なお、シールは改稿魔だったため、『ゼリューシャ』の翻訳に使用したテクストは『Shapes in the Fire』版と大分異なっている。
『天国』 (原題:Heaven) メイ・シンクレア著
『彼等』 (原題:They) ラドヤード・キップリング著
 →作者はインドのボンベイに生まれ、ジャーナリズムの世界に入った後、イギリスへ来て、詩人・作家として大衆的な人気を集めた。この作品は短篇集『往来と発見Traffics and Discoveries』(1904年)に収録された。
『不案内な幽霊』 (原題:The Inexperienced Ghost) H・G・ウェルズ著
『マダム・ジャンの商売』 (原題:The Business of Madame Jahn) ヴィンセント・オサリヴァン著
 →作者はニューヨーク生まれ、オックスフォード大学を中退した後、作家になった。オサリヴァンは第一次世界大戦後パリに住み、同地で亡くなった。本篇は書肆レナード・スミザーズから出た怪談集『A Book of Bargains』(1896年)中の一篇である。
 ※作中、顔に硬貨のはりついた亡霊が登場するが、死人の眼に貨幣をのせるのはヨーロッパの一部にある習慣で、冥途の船の渡し賃ということだろう。
『中国魔術』 (原題:Chinese Magic) アルジャノン・ブラックウッド著
 →本篇は短篇集『The Wolves of God and Other Fey Stories』(1921年)の収録作品。
『シートンのおばさん』 (原題:Seaton's Aunt) ウォルター・デラメーア著
『深き淵より』 (原題:De Profundis) ロジャー・ペイター著
 →ロジャー・ペイターは筆名で、本名ギルバート・ロジャー・ハドルストンというベネディクト会派の僧である。『Mystic Voices』(1923年)、『My Cousin Philip』(1924年)という二冊の著書があり、いずれもフィリップ・リヴァーズ・ペイター師という、大地主であり司祭でもある人物を主人公としている。前者は本篇を含む短篇集。後者はフィリップ師の生涯と生活を描くという体裁で書かれた長篇だが、どちらにも「霊聴」というテーマが扱われているのが特徴だ。ペイターは、イギリスでは少数派のローマ・カトリック教徒の立場で怪談を書いており、その特色は本篇にもうかがわれる。
『小さな幽霊』 (原題:The Little Ghost) ヒュー・ウォルポール著
 →ヒュー・ウォルポールは英国国教会の聖職者の息子としてニュージーランドのオークランドに生まれ、ケンブリッジ大学に学んだ。1920年代のイギリスを代表する人気作家の一人。『オトラント城奇譚』のホレス・ウォルポールは父方の、『インゴルズビー伝説』のリチャード・バーラムは母方の係累にあたる。本篇は、短篇集『All Souls' Night』(1933年)に収録の作品。
『罌粟(けし)の野の家』 (原題:The House by the Poppy Field) マージョリー・ボウエン著
『紅い別荘』 (原題:The Red Lodge) H・R・ウェイクフィールド著
 →本篇は作者の実体験に基づいて書いたもので、ウェイクフィールドは一時、この「紅い別荘(レッド・ロッジ)」のような凶宅に住んでいた。
 ティモシーの愛称ティム。
『見た男』 (原題:One Who Saw) アルフレッド・マクレランド・バレージ著
 →本篇が収録された短篇集『Someone in the Room』(1931年)はフランク・レランド名義で出版されたもの。
『よそ者』 (原題:The Stranger) ヒュー・マクディアミッド著
 →本名はクリストファー・マリー・グリーヴという詩人で、スコットランド生まれ。低地スコットランド方言と英語で詩と散文を書いた。彼と親しかった詩人のジョン・ゴーズワースは、アンソロジー『New Tales of Horror』(1934年)に本篇を含め、マクディアミッドの短篇を四つ収録している。
『魔性の夫(つま)』 (原題:The Demon Lover) エリザベス・ボウエン著
 →アイルランド、ダブリン生まれの女流作家。本篇は同名の短篇集『The Demon Lover and Other Stories』(1945年)に収録されている。本篇は同名の有名なバラッド(譚詩)を下敷きにしている。
『名誉の幽霊』 (原題:Ghost of Honour) パメラ・ハンスフォード・ジョンソン著
 ヘンリーの愛称はハリー。
 ジェレマイアの愛称はジェリー。

小止(おや)みない雨:少しの間も中断することがない。少しの間もやむことなく続くさま。間断ない。
雲霞(うんか):雲と霞(かすみ)。雲か霞のように見えるほど,人が大勢集まっていること。
赫(かく)たる名声: 光が輝くさま。. 明るく強烈な感じを表わす。. 転じて、人間の名誉の輝くさまにも用いる。. 「武勲赫たり」
一言半句(いちごんはんく)も言い終えぬ:「いちげんはんく」とも読み、「半句」とは「一言にも満たないほどのわずかな言葉」という意味。
人生の蹉跌(さてつ):《つまずく意から》物事がうまく進まず、しくじること。挫折。失敗。
懶惰(らんだ):めんどうくさがり、怠けること。また、そのさま。
森(しん)として:静かになった。「森閑(しんかん)」とは、物音がまったくせず、ひっそりと静かな様子を表しています。 「森閑」の「森」は、おごそかな様子を意味し、「閑」はのどか、静かな様を言います。
出来(しゅったい)する:1 事件 が起こること。 2 物事 ができあがること。
何を言っても風馬牛(ふうばぎゅう)な様子:慕い合う馬や牛の雌雄でさえ会えないほど遠く離れていること。転じて,自分には関係ないこと,また関係がないとして無関心な態度をとること。
寂寞(じゃくまく)たる:一般的には「せきばく」と読まれている。1 ひっそりとして寂しいさま。2 心が満たされずにもの寂しいさま。
闇雲な衝動:「闇雲」は闇夜であるため見ることが出来ない雲を掴むという、不可能の中で更に不可能なことをするという意味になります。 全くできないことの譬えです。 「闇雲にことを行なう」は後先を考えずに物事を推し進めることです。
 

書名:チャーリーとフロッグ 手話の町の図書館となぞのメッセージ
原題:Charlie & Frog
著者:カレン・ケイン(アメリカ作家)
出版:岩崎書店
内容:10歳の少年チャーリー・ティクラーの両親は野生動物の保護活動をしていて、彼らは世界各地を移動する生活を送っている。夏休み、チャーリーは初めて会う祖父母の家に預けられ、9月になれば寄宿学校に送られることを知る。両親からは寄宿学校が嫌なら祖父母と仲良くなって一緒に暮らせば良いと言われるが、二人はテレビの犯罪番組に夢中で孫への興味は薄そうだ。祖父母の住む小さな町はニューヨークから北に一時間ほどの場所にあるキャッスル・オン・ザ・ハドソン。町の探検に出かけたチャーリーは、図書館で耳の聞こえないおばあさん、アギーに出会う。泣きだしそうなアギーに事情を尋ねると、「今すぐ図書館に入らなくてはならない。間違って秘密を漏らしてしまった。ひどいことが起きるまえにどうにかしたい」と筆談で答えた。そのアギーを探して不審な二人組の男が図書館に現れ、おびえた彼女は編みものバッグを残して窓から逃げてしまった。筆談の内容を知っている図書館の職員に相談すると、アギーが手話で残したメッセージの謎を解くために手話の専門家フロッグ・キャッスルに会いに行くよう勧められる。ロープウェイで川を渡った先にあるのはキャッスル家が建てたお城で、此処はろう学校になっており、カフェも併設されている。手話のカフェで注文を取りに来たのは、チャーリーと同じ年頃のろう者の少女。なんと彼女こそがフランシーン・キャッスルことフロッグで、アギーが残した手話のメッセージは『死んだ』という意味だと教えてくれる。さらに探偵志望のフロッグは、アギーの事件を自分たちで捜査しようと言い出して……。
※物語の舞台、キャッスル・オン・ザ・ハドソンは架空の町。
※手話は国によって違う。この物語に出てくる手話は、イラストもふくめて、アメリカの手話である。

チャーリーはチャールズの愛称。
オーガスタの愛称ガス。
ソロモンの愛称ソル。
アガサの愛称アギー。
イーニッドの愛称のEweとyou(ユー)は英語では同じ発音だ
ジェラルド。ジェリーはニックネーム。
「トニーはアントニーのニックネームだ」
Tony(トニー)とToni(トニー)という名前は、耳では同じように聞こえる。
「こっちのトニーは女の人のニックネームだから、本名はたぶん――アントワネット」

フレネミー:友人のふりをした敵。
 

書名:ルーパートのいた夏
原題:The Skylark's War
著者:ヒラリー・マッカイ
出版:徳間書店
内容:1902年英国プリマスでクラリッサ・ペンローズことクラリーは、生まれて三日で母を亡くす。3歳年上の兄ピーターと子供嫌いの父との暮らしは使用人頼り。そんな生活を送るクラリーの楽しみは、毎夏コーンウォールの祖父母の家を訪問すること。海岸近くの家で、広々としたムーア(荒地)や海辺で遊ぶ毎日。そして、優しい従兄のルーパートに会える。いつしかクラリーは淡い想いをルーパートに対して抱くようになる。しかし、第一次世界大戦が始まり、ルーパートは軍に入隊、平和な日常は終わりを迎え……。20世紀初頭の英国を舞台に、少女の成長と独り立ちを描く。
※2018年初版

「夏といえば、わしにとってはヒバリの季節。ムーア(荒れ地)の上を高く舞うヒバリの歌が聞こえる」
「あの子らが来るんだ……うちのヒバリたちが。小さなクラリーと坊主たちが」

「クラリッサという名前は、明るくかしこいという意味なのよ。ねえ、クラリー」
ルーパート。愛称はループ。
ロビー。愛称はロブ。
「あたしはヴィー。ヴァイオレット、スミレね」

物語の時代の硬貨(お金)は本物の銅や銀や金、最上級の銀や二十二金でできていた。一シリングは、銅でできた大ぶりなペニー硬貨の十二枚分。銀のシリング硬貨が十二枚で一ポンドになり、一ポンドは、金でできた美しい硬貨だった。
当時の英国の貨幣単位は、十二進法と二十進法が組み合わさっていて、きわめて複雑だった。
現在の英国の通過の単位はポンドとペニーのみで、百ペンスが一ポンドになる。
 

書名:ライブラリー・ツインズ ようこそ、月島大学図書館へ
著者:日野祐希(ひのゆうき)
出版:アリス館
内容:月島大学附属中学三年生の本郷菜織(ほんごうなおり)と健史(けんじ)は双子の姉弟。一学期の終業式の日、菜織は内部進学の枠に成績が届かなかったことを担任教師に告げられる。大ショックの菜織に、担任教師は救済措置として大学図書館でのボランティア活動を勧める。菜織のお目付け役として弟の健史もボランティアとして参加することになり、8月7日に催される月島大学のホームカミングデイの展示を手伝うことが決まる。一週間後、担任教師に引率された菜織と健史は、月島大学図書館で職員の山口とボランティアの大学院生真紀美鈴(まきみすず)と顔合わせをした。菜織たちの役目は、図書館が特別展示する『世界の三大美書』にちなんだ企画展示の内容を考えて制作することだ。附属高校へ進学するためにボランティアで大活躍したい菜織は張り切るが……。
 

書名:おとぎカンパニー 遅刻する食パン少女
著者:田丸雅智(たまるまさとも)
出版:光文社
内容:学校に遅刻しそうになり、慌てて食パンをくわえて家を飛び出した女子高生。ところが、その食パンは恐ろしい力を秘めており、そのまま走りつづける事になった。走りっぱなしの彼女とぶつかることで劇的な大恋愛をしたい男子高校生の池田と、彼に付き合わされている友人の水島。果たして街角の恋は叶うのか?――表題作『街角の恋 遅刻する食パン少女』を始め、ドラマや漫画で定番の台詞や設定を題材にした全10編のショートショート集。

<収録作品>
街角の恋 (遅刻する食パン少女)
お客様の中に (お医者様はいらっしゃいませんか?)
自供の崖 (崖の上で殺人を自供)
つながれた窓 (窓から行き来する幼馴染み)
嵐の研修 (孤立した洋館で事件が起こる)
本の二人 (本をとろうとして手が触れ合う二人)
肩車士 (前の車を追ってください)
天使と悪魔、それから私(天使と悪魔)
グラスレース (あちらのお客様からです)
スカイレザー (屋上で空を見上げる一匹狼)
 

書名:アルセーヌ=ルパン全集6 続813
著者:モーリス・ルブラン(フランス作家)
出版:偕成社
内容:世間から「ダイヤモンド王」と呼ばれている南アフリカの億万長者ルドルフ=ケッセルバッハ。彼はある計画を立てており、そのためにピエール=ルデュックという男を探していた。だが、ケッセルバッハ氏は滞在していたパリのホテルで殺害され、彼のワイシャツにはアルセーヌ=ルパンの名刺がピンでとめられていた。さらに捜査に駆けつけた国家警察部長ルノルマンの指揮下で、犯人のシガレットケースを拾ったボーイと犯人に心当たりがありそうだった秘書のチャップマンが次々と殺されてしまう。世間はルパンが連続殺人を犯したと考えたが、ルノルマン部長はシガレットケースに記された頭文字L・Мこそが殺害犯だと推理する。ルノルマン部長はホテルの宿泊客であるパーベリ少佐を疑って監視するが、彼は行方をくらませてしまう。ルパンは新聞にケッセルバッハ事件を解決すると声明文を発表し、謎の男ルデュックを探し出すが、彼は意識不明のまま衰弱死してしまう。仕方なくルパンは困窮した青年詩人ジェラール=ボープレをルデュックに仕立てて囮にする。そして、ルパンはロシアのセルニーヌ公爵と名乗ってケッセルバッハ夫人に近づく。さらにルパンの乳母だったエルヌモン夫人と暮らす娘ジュヌビエーブとケッセルバッハ夫人が仲良くなるように仕向けた。そのうえでルデュックと二人の女性を交流させる。ジュヌビエーブはパーベリ少佐に誘拐されそうになるが、ルノルマン部長に助けられる。そんなとき、ケッセルバッハ氏にルデュックの存在を教えた老人シュタインウェークがアフリカのケープタウンからパリに到着する。ところが、シュタインウェーク氏は尋問を受けていた警察署内で拉致されてしまい、後を追うルノルマン部長は敵の手に落ち行方不明になってしまった。敵の一味はケッセルバッハ夫人の召使を手下にしており、パーベリ少佐はアルテンハイム男爵と名乗ってセルニーヌ公爵と接触する。二人はケッセルバッハ計画の主導権を争って対立するが、アルテンハイム男爵は仲間である謎の殺人犯L・Мに殺され、セルニーヌ公爵ことルパンは逮捕されてしまった。囚人となったルパンは警察の監視するなかアルテンハイム男爵の屋敷を調べ、隠された場所に監禁されていたシュタインウェーク氏を救出するが……。ケッセルバッハ氏が遺した謎の数字8・1・3と、不可解な文字APОとONに隠された秘密とは何か?フランスとドイツ、両国にまたがる陰謀とは?ドイツ皇帝に依頼されたシャーロック・ホームズに謎は解けるのか?
※本書は『813』の第二部『アルセーヌ=ルパンの三つの犯罪』。

よろこびを意味するレティシアという名

 

書名:アルセーヌ=ルパン全集5 813
著者:モーリス・ルブラン(フランス作家)
出版:偕成社
内容:世間から「ダイヤモンド王」と呼ばれている南アフリカの億万長者ルドルフ=ケッセルバッハ。彼はある計画を立てており、そのためにピエール=ルデュックという男を探していた。だが、ケッセルバッハ氏は滞在していたパリのホテルで殺害され、彼のワイシャツにはアルセーヌ=ルパンの名刺がピンでとめられていた。さらに捜査に駆けつけた国家警察部長ルノルマンの指揮下で、犯人のシガレットケースを拾ったボーイと犯人に心当たりがありそうだった秘書のチャップマンが次々と殺されてしまう。世間はルパンが連続殺人を犯したと考えたが、ルノルマン氏はシガレットケースに記された頭文字L・Мこそが殺害犯だと推理する。ルパンは新聞に声明文を発表し、スリルにみちた事件の解明に乗りだす。ケッセルバッハ氏が遺した謎の数字8・1・3と、不可解な文字APОとONに隠された秘密とは何か……。
※1910年初版
※本書は第一部「アルセーヌ=ルパンの二重生活」の部分。

「ラテン語のドロール(Dolor)……つまり、苦痛という意味のことばか……夫人の名前はドロレス(Dolores)じゃなかったかな?」
 

書名:ブレイスブリッジ邸
原題:Bracebridge Hall, or The Humorists, A Medley
著者:ワシントン・アーヴィング(アメリカ作家)
出版:岩波文庫
内容:四月の初め、語り手の「私」であるジョフリー・クレヨンがブレイスブリッジ邸を訪問する。邸宅の主フランク・ブレイスブリッジは、近隣の人々から「地主」という呼称で親しまれ、英国の古い伝統を固く守り続けている。語り手のクレヨンはブレイスブリッジ氏が後見人となっているジュリア・テンプルトンと彼の次男ガイ・ブレイスブリッジの婚礼に招かれたので、客人として同邸宅に滞在することになったのだ。婚礼のためにやってくる人物たちの慇懃であったり、磊落(らいらく)であったり、武骨であったり、と様々な姿がユーモアを交えて赤裸々に描写されてゆく……。英国の風俗風習、あるいは美しい文化的な景観を豊かに描きつつ、婚儀にまつわるモチーフをもとに、登場人物でもある語り手クレヨンが、作者の代弁者として語りかける形態で紹介されてゆく連作短編集。
※初版1822年、本書の底本は1877年版。本書の口絵と挿絵も1877年版から、ランドルフ・コールデコットのイラストを使用している。
※物語の舞台となった邸宅のモデルは、英国のバーミンガムに現存するアストン邸である。アストン邸は、トマス・ホウルト男爵によって1635年に建てられたジャコビアン風の邸宅である。アーヴィングの英国逗留中にホウルト家九代目を襲名したのはメアリー・エリザベス・ホウルトであったが、彼女の結婚相手となったのはエイブラハム・ブレイスブリッジである。奇しくも、彼は『ブレイスブリッジ』という名を冠した人物で、本書に登場する人物の名称と符合しており、極めて示唆的である。
※『ブレイスブリッジ邸』は『スケッチ・ブック』の続篇的性格をもつ作品であるが、前作を読んでいなくとも問題なく読むことが出来る。

ニューゲイト監獄暦報(The Newgate Calendar):ニューゲイト監獄に収容された重罪囚人の経歴を記したもので、十八世紀から十九世紀初めまでの記録である。

コーディアル:風味に甘味が調合されたハーブ・コーディアル(英国の伝統的なハーブ飲料)。ノンアルコール飲料。

カドリール:四人組で方形を作って踊るフランスの舞踏。おもに八分の六拍子あるいは四分の二拍子のゆっくりした速度の踊りで、とくに十九世紀に流行した。
モリス・ダンス:イギリス北部を起源とする民族舞踏。踊り手は元来ロビンフッド伝説の人物などに扮して、とくにメーデーの祭りの際に催される。

ベラム皮紙は子牛、子羊、子ヤギなどの皮を文字を書くために加工したもの。
ブラックレター:十二世紀頃から十五世紀頃にかけてヨーロッパの手書きの文字や初期の印刷本に見られる字体。日本ではドイツ文字、ひげ文字、亀の甲文字などと呼ばれる。

ランセット窓:頂点が鋭くとがるランセットアーチを描いた高くて非常に狭い窓。槍に似ていることから「ランセット」の名前を取得した。

ヨーマン:郷士(独立自営農民)

転がる石には苔が生えない:つまり職業を変えてばかりいる人には金が出来ない、の意味。また米国では、動いていれば苔がつかない、常に活動している人は沈滞しないというよい意味でも使われる。