ティリー・ページズと物語の地図 | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:ページズ書店の仲間たち3 ティリー・ページズと物語の地図
原題:PAGES & CO.(3)―― Tilly and The Map of Stories
作者:アナ・ジェームス(イギリス作家)
出版:文響社
内容:マチルダ・ローズ・ページズことティリーは、ロンドンのページズ書店で祖父母に育てられた12歳の少女。あるときティリーは自分と友人のオスカー・ルーが物語の中を旅することのできる『ブックワンダラー(本の旅人)』だと知る。実はティリーの祖父母もブックワンダラーで、本の魔法を管理する『大英地下図書館』の存在を教えられる。祖父はかつて地下図書館長をつとめていたという。そして、ずっと行方不明になっていたティリーの母親であるベアトリスを閉じ込められていた本の中から救い出した。その一方、若い姿を維持するために本の魔法を悪用するアンダーウッド姉弟がティリーのことを狙っていた。というのも、ティリーの父親が物語の登場人物であることから、物語の不滅の性質を持っていると姉弟が考えているのだ。そして、メルビル・アンダーウッドが大英地下図書館の図書館長になり、姉のデシマを正式に顧問につかせたあと、この双子の姉弟は大英地下図書館にある『ソースエディション(原典版)』を封印し、自由に『ブックワンダー(本の旅)』を出来ないようにした。春になってもブックワンダーが全面禁止されたままで、歯がゆい毎日をすごすティリーたち。『ブックワンダー』を取り戻すためにも『アーキビスト(本の記録士)』を探して助けを求めるべきだとティリーは提案するが、祖父はアーキビストなど実在しない伝説の存在にすぎないと言って取り合ってくれない。ある日、ページズ書店にアンダーウッド姉弟が訪ねて来て、特別な存在であるティリーに研究に協力してほしいと要請される。しかも断れば、子供のブックワンダーを永久に禁止すると言って祖父を脅して帰っていった。話を聞いて悩むティリーに対して、ベアトリスはティリーとオスカーがアメリカへ行けるように手配をする。フランスの地下図書館の図書館員から手渡された『アーカイブ(旅の記録館)』への手がかりがアメリカ議会図書館を示していたからだ。ティリーとオスカーの二人はアメリカ合衆国ワシントンDC(ディーシー)に渡航し、ベアトリスの友人で書店を経営しているオーランドーと彼のパートナーでアメリカ議会図書館員のホルヘに出迎えられる。ティリーの手元にある手がかりの品は四つ。フランスの地下図書館の図書館員から手渡された赤い糸玉と小冊子にはさまれた小さな紙切れ、『秘密の花園』から持ち出した真鍮の鍵、童話の世界でグレーテルからもらったパンくずの入った小さな布の袋。アメリカ議会図書館に向かった四人は、まず小さな紙切れに記されたアルファベットと数字を参考にして本を探すことにした。アルファベットと数字の長い列は分類記号といい、図書館で本をさがすときに使う地図となるからだ。図書館員であるホルヘに案内されて捜索した結果、背表紙に金色の迷路がエンボス加工された『アレクサンドリア図書館』と書かれた本が見つかった。四人は『アレクサンドリア図書館』の中を旅してみるが、歴史上のアレクサンドリア図書館と同じように火事が起きたため慌てて本の中から戻って来る。そこへアメリカ地下図書館員たちがやって来て、四人を地下図書館へ連行する。アメリカ合衆国地下図書館長ジェイコブ・ジョンソンと面会した四人は、彼がアンダーウッド姉弟と手を組んでいることを知って驚く。オーランドーとホルヘが図書館員たちを阻んでいる間に、ティリーとオスカーはもう一度『アレクサンドリア図書館』の本の中に入り、『秘密の花園』の鍵を使って先へ進む。幾重にも重なる物語の中をさまよいながら、ティリーとオスカーは汽車セスクイップデリアン号を見つける。十二歳の少年マイロの機転でこっそり乗車した二人は、セスクイップデリアン号が純粋な物語のなかを想像力を燃料にして進んで行く魔法の汽車だと知る。汽車の持ち主であるマイロの伯父ホレイショーは、顧客の依頼する本を持ってくるという『ブック・スマグラー(本の闇取引屋)』らしい。三人が話している間も走行していたセスクイップデリアン号は、ティリーとオスカーの探していた『アーカイブ(旅の記録館)』に停車した。無賃乗車したティリーとオスカーは、ホレイショーに見つからないように下車しようとしたが失敗してしまう。ホレイショーと一緒にいた『アーカイブ』の女性が二人に気づいたからだ。アーティミスと名乗った彼女はビブリオグノスト(書誌学者)で、ティリーに地図を送った人物だった。アーティミスはティリーが経験した不思議な出来事はティリーが半分架空な存在、つまり半分は物語の世界に属しているからだと言い……。