初春歌舞伎公演@新橋演舞場 2019 | Studio Kanons memory スタジオ かのんズ メモリー

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新橋演舞場で開かれた「初春歌舞伎公演」は夜の部に行った。

 

夜の部の幕間が、20分、25分、30分とあって、上演時間は5時間を超えた。

なにか期することがあったのかもしれない、と思わせた。

 

演目

一 「鳴神」

  配役

   鳴神上人
   雲の絶間姫
 右團次
 児太郎

両者とも初役。

二人だけの会話劇になってから、

面白、可笑しくなってきた。

 

右團次「鳴神上人」が児太郎「雲の絶間姫」の色香に惑わされ、

女の身体に触れたこともなく、

お酒も飲んだこともない高尚な「鳴神上人」が

「雲の絶間姫」の誘惑に

世俗的ないやらしさを増し、

主導権を握られていく。

 

右團次演ずる「鳴神上人」は、

「雲の絶間姫」の体のまさぐる時に

ニタニタしないで欲しかった。

 

右團次は後半の六方の荒事になってからは

スピード感があって、

澤瀉屋風だった。

これまでなかった動きに感じられた。

 

児太郎は、歌舞伎座との掛け持ち

 

で「雲の絶間姫」「千鳥」さらに

芸者まで踊って大活躍。

 

思えば、去年観た「源氏物語」では

「葵上」を演じた。

今年は女形として飛躍の年になる、と思う

 

二、十一世市川團十郎生誕百十年

   牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)

配役
  鳶頭
手古舞
鳶頭
鳶頭
差配人
芸者
鳶の者
芸者
差配人
茶屋女房
世話役
芸者
海老蔵
堀越麗禾
堀越勸玄
右團次
男女蔵
児太郎
男寅
廣松次
市蔵
齊入
家橘
孝太郎

清元の「お祭り」をベースに、大向こうから「待ってました」のかけ声に応えて

海老蔵が「待っているのは俺のことでないだろう」みたいなことを言って、

祭りでほろ酔い気分の海老蔵が心得ているようで、

手古舞の麗禾ちゃんと若頭の勧玄君が登場して踊る、という一幕。

子役の二人が出てきたら、観客は大喜びだった。
 
子役は、どこでも人気者!
 
麗禾ちゃんはしっかりしていて、勧玄君のけん引力になっているようだった。
 
この日の勧玄君は、声が小さかった。
 
男社会の歌舞伎世界だから、麗禾ちゃんが見られるのも今のうちかな?と思った。
 
 
幕間に歌舞伎座で買った「梵」のビーフカツサンドを売店のコーヒーとともに食す。
 
幕間に下りた段通

三、平家女護島 「俊寛」

作 近松門左衛門

配役
  俊寛僧都
海女千鳥
丹波少将成経
平判官康頼
瀬尾太郎兼康
丹左衛門尉基康
海老蔵
児太郎
九團次
男女蔵
市蔵
右團次

「俊寛」は海老蔵の初役。

島流しになって、うらぶれた感じを出す俊寛という役柄は、
海老蔵のイメージではない、と思ったが、
チャレンジ精神に感服した。
 
彼の苦手な演目だった、と思う。
 
児太郎の「千鳥」、右團次の「丹左衛門」は好演していた。
 
大御所の吉右衛門も、この役を演じていたが、
海老蔵はまだ寒いと思う。
 
ただ、最後の船を見送る場面は、
彼自身の妻を亡くした悲しみと重なり、
リアルな演技に見えた。

四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

福地桜痴 作
  小姓弥生後に獅子の精
老女飛鳥井          
家老渋井五左衛門
 海老蔵
 齊入
 家橘


海老蔵は、ずっと出ていたから、体力的にきついはずだが、

十一代目生誕110年を記念しての上演だから

頑張ったと思った。

 

子役の胡蝶を演じた福太郎と福之助の踊りが素敵だった。

 

海老蔵の「彌生」の顔は、

がっちりした体格の着物美人

に思えたが、踊りは丁寧だった。

 

鏡獅子は、豪快だった。

毛ぶりも程よい回数だった。50回。

これ以上すると、海老蔵の体力が心配になる。

 

 

今年の初の歌舞伎鑑賞は、とても良かった。年中行事にしたい。