食べてくれた | Tへ

Tへ

ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

昨日作ったお弁当は

Tが食べてくれたけど時折

箸が止まっていた。

逆流せずにマイペースでゆっくりと

完食しようとしてくれる。

今朝もゴミ出しに神経質になっている自分がいる。

ゴミ出しに行くときは自分なりの楽しみを考える。

空を見上げて雲を探す。

広大な青空に巨大な龍神雲を探したい。

そうしていると人間なんて虫のように

小さな存在に感じてしまうけど

夜明けのまだ早い時間に外に出ると気持がいい。

きっと今日もTは調子が悪くて寝てばかりかもしれない。

買物は避けてゴミを捨てた後に飲み物だけ買いに行った。

帰宅して愛犬に朝食をあげてサークルから出して

一緒に過ごす。

その間にTの本を読む。

最近、この時間が結構好きでもある。

愛犬がオモチャを持ってきて私にちょっかいを出してくると

読書に集中出来ないけれど

なんとなく

こんな日常が平和で幸せな気もする。

片付けたいのに腰の重い自分。

永遠に片付かない家の中に違和感は拭えない。

もっと思い通りに部屋を寛げる状態にしたい。

人が来ても恥ずかしくないように整えたい。

フットワークが重くなっている自分が情けないけど

頑張りたい。

そう言いながら

夕方はダウンして眠ってしまった。

目が覚めても起き上がれない。

Tのことが気がかりだったけど起き上がれない。

しばらくまどろんでから起き上がると

冷蔵庫が開けっ放しになっていた。

Tが飲み物を取って行った形跡がある。

閉っていないのを確認することは

今の彼には無いのかもしれない。

夜は食欲があまりない様子だったので

ポテトサラダを作った。

男爵芋と人参を一緒に茹でて

ゆで玉子も作った。

スライスした玉ねぎを水に浸けて

カットした胡瓜は塩もみした。

ポークウインナーを1本そぎ切りにする。

茹で上がった男爵芋をマッシュして

人参を加える。

玉ねぎと胡瓜は水気を切って混ぜて

ゆで玉子は黄味を取り出し白身をザックリとカットした。

全てを混ぜて味付けは

ほりにしとマヨネーズと黒胡椒とリンゴ酢で整えた。

家で作るとジャガ芋1つだけでも

沢山のポテトサラダが出来る。

一部をよそって

Tの晩酌のアテに持っていったら

これもゆっくりと完食してくれた。

彼が食べたいと言って買ったウインナーも

2本だけ温めて持っていったら食べてくれた。

完食して薬を飲んでもずっと寝床に生きたがらない。


「もう寝る?」


問いかけると

首を振って天井を見上げて目をつぶっている。


「薬飲んでいるから動けるうちに横になった方がいいよ。」


そう言っても

まだ起きていたいとジェスチャーしてくる。

Tは声を失ったストレスだけでなく

呼吸の苦しさも重なって日々

生き地獄にさらされているほど苦しいのかもしれない。

病気の彼と知り合ってずっと傍らで見てきたけれど

舌癌の時もそうだったけど

彼の生きようとする意欲やエネルギーは

凄いと思う。

けれど

声を失い呼吸もままならない今の状態は

相当苦しいと思う。

腫れた瞼も険しい表情も

辛うじて耐えているからなのだとおもう。

弱音を吐かないがさつな人だったのに

今はきっと相当過酷でしんどいのだと思う。

悪くなることはあっても良くなることは無いと

医師に言われても信じたくない。

食べてくれるようになっただけでも

プラスに作用していると信じたい。

明日はTも私も

遠くの病院に行かなくてはならない。

運転して貰えるかな。

免許を持っている私はペーパードライバーだから

頼りなくて申し訳無い。

ヤクルトの小さな車なら運転できそうだけど暑いよね。

若い頃に免許を取って車の運転をしていたときに

人格が変わってしまう自分に気が付いた。

車は凶器でもある。

万が一謝ってぶつけたりひいてしまったらもう全てはアウトの世界。

運転していて怒りっぽくなる自分に自信を失った。

免許は持っているけれど

恐くてハンドルを握れなくなってしまった。

病気のTに運転を任せているのも不安で

もう一度、練習しようかと思うけど恐い。

Tの助手席に乗っていても

運転している目線で見ているから

かなりうるさいことを彼に言っている。

それならば自分で運転すれば良いのにね。

明日は病院へ行って医師と話したら

気持が楽になれるかな。

とても良い先生だから救われる。

通院を繰り返しても治らない病状を

私は諦めている。

それでも生かされている事に感謝したい。

病気が原因で

仕事も習い事も出来なくなってしまった。

動画のアップも辛うじて月に1本出せるか出せないかの状態で

情けなくなる。

元気でハツラツとしていた頃の自分を

遠い記憶の中で思い出す。

やりたいことが脳裏を過ぎっても

身体が付いていかない現状に悶えているような気分。

今は1日の中での楽しみを1つ考えるだけだった。

明日の楽しみは

病院の待ち時間に

冷たい麦茶を飲むこと。

とても居心地の良い待合室で医師も優しい。

事務員の人も親切で救われる。

Tと無言で待つけれど

苦にならないのは

憩いの時間だからなのかな。