なんだか
ふりまわされているのかな。
病気で大変なはずのＴなのに
深夜や明け方にコンビニへ行って
買い食いが止まらない。
夕飯を食べているのに足らないなんて
凄い食欲旺盛。
彼には彼なりの体質があって
足りなくてお腹が空いて
食べたくて冷蔵庫に何もないと
買いに行ってしまう様子。
食べられないよりも食べてくれればそれでいい。
けれど
病み上がりなのに凄い食欲なのが
返って気がかりでもある。
勿論食べられるに越した事はないけれど
異常に食べている。
昨日炊いたご飯も今日は空っぽになった。
食べられる様子が嬉しいから
彼が太っても良い。
寧ろ健康でいてくれるのであれば
沢山食べて欲しい。
彼と出逢った時
既に2回癌に罹患している人だった。
なのに彼はとっても元気で明るくて楽しくて
私を和ませてくれた。
会った瞬間、怖かったのは
野獣のように向かってきたから。
私の職場は人の多い企業だったけど
彼のような人は一人もいなかった。
それだけにＴに興味を持った。
会う前に付き合う事に躊躇したけれど
惹かれる気持ちには逆らえない。
彼を思いずっと思い悩んで考え続けて
下した結論。
これが
正しかったのかどうかは今になっては微妙だけど
この人ほど
オーラのある人に出逢った事はない。
それだけが事実であって
彼と関わった事が正解かどうかは謎だと感じる。
何故なら
彼の個性や自我が凄く強すぎて
私は負けてしまいそう。
彼と知り合い彼を見てきて思うけれど
Ｔの現役だった職業も適職なら
彼は役者になっても成功するくらい個性が素晴らしい。
声を失った事は悔しいけれど
もしも彼が声を取り戻したら
私は彼に役者になって欲しいと思う。
何故なら
過去に撮ってきた動画で
本人はひとこと言えば
希望を超えた行動のできる人だと知っているから。
本当にＴって面白いなと思う。
そしてそれを解っていながら
無表情に演じられる彼の役者魂が素晴らしい。
声さえ出れば最高の役を演じられる人だと
私は思っている。
初めて彼に出会った時
その目力の鋭さに驚いた。
病気を重ねても
きっと
彼は
選ばれた人なのだろうな。
側にいながら
何となく遠い人に感じる彼を思い
私の中で少しばかり
寂しい風が吹き抜ける。