声を発せない彼のジェスチャーを理解できずに
お互いの関係にわだかまりが生じていく。
理解したいから書いてという私に対して
書くことを億劫に感じて苛立っているTの様子が解かる。
ボードに書いて叩きつけられることが頻繁にある。
そんな態度に相当腹が立つけど
それだけ彼はストレスでいっぱいなのが解かる。
特に運転中に意味不明なジェスチャーをされると
心臓がバクバクしてくる。
理解しようと必死になっても解らない。
何も運転中に伝えなくてもいいのにと思う。
Tの心のストレスはピークを越えている。
物に当たるから家の中のものや家が破壊されていく。
頭に来て注意したところで
彼の怒りは度を越えているから止められない。
こんな状況を医師は理解してくれるのだろうか。
せめて声さえ取り戻せたらと思う。
簡単な手術なのに日本では僅か5%。
怒りで物に当たったりひっくり返る彼の爆音に
心が掻き乱される。
そんな音を耳にするたびにハッピーは怯えて
布団にもぐっているけれど
彼女は私よりTが大好きみたい。
諦めずにセカンドオピニオンを依頼しよう。
患者の権限でもある躊躇する必要など何もない。
以前の医師はきっと今フォロー診を受けている
彼の病院を敵に回したくなくて
手術を断った様な気がする。
ダメもとでもやって欲しいと言ったら
治らない手術を医者は施さないと言われた。
治らないという根拠は何処にあるのかと苛立った。
出来ない訳などない。
遊離空腸でもシャントは出来ると私は全て調べている。
他の医師が書いた論文にも目を通している。
不可能な事などけっしてないことは十分わかっている。
でも追及して言いすぎて角が立つのは
Tにとってマイナスになる。
あの時は黙って引き下がったけれど
彼に変わって私が動いてTの手術が出来る方向へ
持って行かれたらと思う。
話せない苦しみがどれだけ心にダメージを与えているのか
理解して欲しい。
彼が声を取り戻すまで負けるものかと思う。
頼りない自分だけど嫌われても彼に変わって前進していきたい。
地元で駄目なら他県まで行くつもりでいる。
私からしたら簡易な手術なのに
躊躇する医師たちにじれったい思いが募る。