こんにちは。
6月も最終日。
そろそろ紫陽花もお疲れ気味のようです。
瑞々しさが失われ、どことなくメタリックな感じに。
それもまた素敵です。
さて、今回は宮沢賢治の作品「水仙月の四日」を取り上げたいと思います。
この季節に、なぜ極寒の物語を取り上げたかと言いますと、皆さんにいっときでも蒸し暑さを忘れていただこうと思ったからです・・・・というわけではなく(笑)、
最近こちらのブログで取り上げさせていただいた画家のお二人、いせひでこさんと堀川理万子さんが、共にこの作品を描いていらしていると知り、嬉しくなり取り上げてみた、という次第です。
いせひでこさんの作品「ルリユールおじさん」についてはこちらから。
堀川理万子さんの作品「海のアトリエ」についてはこちらから
「水仙月の四日」のあらすじです。
雪の中、家路を急ぐひとりの少年を、雪婆んご、雪童子らがつかさどる猛吹雪が襲います。
少年を凍死させようとする雪婆んごと、密かに少年を助けようとする雪童子。激しい嵐の世界が展開されます。
ちなみに、雪婆んご(ゆきばんご)とは、東北地方の妖怪を元にした冬の魔女。
雪童子(ゆきわらす)とは2頭の雪狼(ゆきおいの)を従え、鞭をつかって猛吹雪を起こす少年で、この物語の主人公。
雪婆んご、雪童子、雪狼は、賢治のオリジナルキャラです。
ところで、タイトルにある「水仙月」ですが、私は勝手に3月頃のことを言うのかなーと思っていたら、これは暦上の月ではなく、賢治が創作した月なのだそう。
1月説から4月説まであり突き止められていない、という説。
それとは別に、文字通り水仙が咲く月を指しており、地方ごとに異なっているという説もあり。
この説に従えば、盛岡の水仙月は4月となり、4月4日近辺は統計上、吹雪や寒波の特異日ということが判明しているのだとか。
さて、物語の方は是非じっくりと読んでいただくとしまして。
この賢治の世界をいせ氏、堀川氏がどのように表現されているのか、表紙だけではありますが、ご覧いただきましょう。
まずは、いせひでこさんが描く「水仙月の四日」の世界。
「水仙月の四日」 宮沢賢治・作 伊勢英子・絵 偕成社
出版社からの内容紹介
雪童子たちが起こした吹雪はひとりの子どもを巻きこんだ。東北の風土と賢治の想像力が生んだ物語を幻想的でイメージ豊かに描く。
そうそう。エッセイ集「七つ目の絵具」の中に、「水仙月の四月」の絵を描くために雪深い地を訪れた、という話がありました。
そして、堀川l理万子さんが描く「水仙月の四日」の世界。
「すいせん月の四日」 宮沢賢治・作 堀川理万子・絵 岩崎書店
出版社からの内容紹介
ひたすら「カリメラ」のことを考えながら家路を急ぐ子どもを、雪ばんこ、雪童子らがつかさどる吹雪が襲う。春にむかう厳しくも美しい雪国の自然と、雪童子の友情の物語。
同じ物語ながら紙面から受ける印象はまったく異なり、非常に興味深かったです。
それぞれの出版社の紹介文の書き方にも、絵本の世界観の違いが出ているように思いましたが、私の考えすぎかな?
ここではそれぞれの本の中までお見せできないのが残念です。
ぜひ手に取ってご覧になっていただければと思います。
色々な画家さんが描く宮澤賢治の世界。
同じお話でも画家さんが違うと伝わってくる空気が違ってきます。
見比べてみるのは、やっぱり楽しいなーと改めて思いました。
(私の趣味です笑。)
異なる画家さんが描く 宮澤賢治の世界。「どんぐりと山猫」も併せてご覧ください。
薫 20240630