こんにちは。

今年のゴールデンウィークも終わり日常が戻ってきました。

楽しい休暇を過ごせましたか?

 

さてさて。

先日のブログで、旧友がプレゼントしてくれたフランスの絵本「パリのおばあさんの物語」について書きましたが・・・。

 

今回もフランス・パリが舞台の絵本について書こうと思います。

 

実は、同じ友人が「この作品も素敵だよ」と教えてくれたものです。

「ルリユールおじさん」 いせ ひでこ・作 講談社

 

出版社からの内容紹介はこちらです。

たいせつにしていた植物図鑑がこわれてしまった、パリの少女ソフィー。
本をなおしてくれる人がいると聞いて、ルリユール(製本職人)を訪ねる。本への愛情と、時代をこえてつながる職人の誇りを描いた傑作絵本。


「ルリユール」というのはおじさんの名前ではありません笑。

 

フランス語で「製本職人」を意味するのだそう。

 

絵本の中では、製本職人のおじさんの手によって、ソフィーの目の前で植物図鑑がどんどん修復され、生まれ変わっていく様子が描かれています。

 

本の修復?何をするの?とお思いになるかもしれませんね。

 

少しだけ取り上げてみますと・・・まずは一度本をばらばらにする。紙のへりを切って大きさを整える。糸をかがる。背をのりでかためる。(途中、省略させていただきます)、表紙の革と紙を選ぶ。革のうらをヘラで削り、紙くらい薄くしていく。などなどなどなど・・。

 

絵本の中では、そんな細かい工程が絵とともに紹介されていて、

いつのまにか自分が工房に入って、おじさんの手元を覗かせてもらっているような気もちになってきます。

 

そして最後にはもちろん

ソフィーの大切な植物図鑑の修復作業は完成するのですが・・。

 

「まあ! 素敵なラスト」 と思うことがふたつありました。

それはぜひお読みになってくださいね。

 

いせ氏はRELIEUR、M氏に捧げる と題したあとがきを書いていらしてその中で、「ルリユール(RELIEUR)」について詳しく説明されていました。

 

ヨーロッパで印刷技術が発明され、本の出版が容易になってから発展した実用的な職業で、日本にはない文化であること

 

出版業と製本業の兼業が、長いこと法的に禁止されていたフランスだからこそ成長した製本、装幀の手工業だが、IT化、機械化の時代に入り、パリでも製本の60工程すべてを手仕事でできる製本職人はひとけたになっていること。

 

ちなみに、いせ氏は、モデルとなったRELIEUR、M氏の手仕事のひとつひとつをスケッチしたくて、パリにアパートを借り、何度も路地裏の工房に通ったそうです。

 

そんなことを知ってから改めて読み返すと、この作品は、ルリユールといせ氏の職人魂がギュッと凝縮されたような一冊であることが一層伝わってきて、何度も読み返したくなりました。

 

そして、つい言い忘れていました。

色合い、街並み、建物、そして工房で作業をするルリユールおじさんの佇まい。

文字を読まずに絵を眺めているだけでもフランスにいるような気分になれる美しい絵本です。

中をお見せできないのが残念です。

 

裏表紙はこんな感じです。※図書館シールを隠すためにペンケースを置いておりますことをお許しください。

これを機に、この休暇中、いせさんの他の作品もたくさん読みました♪折を見てご紹介させていただきますね。

 

勧めてくれた友人には感謝感謝です。

 

みなさまも、ぜひ!

 

薫20240507